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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

『ん?そんなに、はしゃいでどうしたんだ?』
「あっ、先生!!先生、先生、みてみて!!」
私は窓の外を指差す。

『あぁ、そういう事か(笑)。やっと花が咲いたな、桜の。』
「そうなの!満開じゃないけど、可愛い花がちらほら咲いてるの!!」
先生は子猫を見るような目で笑う。

「何??なんでそんな顔で笑うの!?」
『いやいや、珍しいなと思って(笑)。』
「何が??」
『そんなにテンションがあがってるの(笑)。』
「そうかな〜??いつも割とテンションあがってると思うんだけど……?」
『いつもと違うあがり方だ(笑)。』
「いよいよ春が来たって感じしない(笑)?」
『そうだな。春を感じるようになる時期だ(笑)。』
「私は季節の変わり目が好きなのかもしれない(笑)。いよいよ変わりますよって香りが好きなのかも(笑)。」
『ならば、年に4回程しか見れないテンションのあがり方だな(笑)。』
「も〜、いじらなくていいから!!桜見ようよ〜!」
『今度は満開になったら花見をしよう(笑)。』
先生はニコッと笑うと、私の隣に座る。

「次は、春休みに入ってからだね〜!」
『そうなるな。』
「楽しみにしてる(笑)。」
『あぁ。なにか食べたりしよう。……あっ、そうだ。良いものがあるぞ。』
先生はそういうとポケットの中を漁る。

『ほら、チョコレート(笑)。』
「なんでそんなとこに入ってるの(笑)?あっ、貰うけどね(笑)。」
『ぷち花見(笑)。』
「先生だって可愛いとこあんじゃん(笑)。」

私達はお互いの事を笑いながらぷち花見をした。
花が満開になる頃にはもう春休み。
先生の横顔を眺めながら、新たな学年へ向けての不安が少し募った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

『髪の毛、くるくるしてどうかしたか?』
髪をくるくるしながら触っていると先生が、心配そうに声をかけた。
「おっ!先生。なんで?」
『今までに、見たことが無い手癖だなと思って。』
「先生、よく見てるね〜(笑)。」
『そりゃそうさ。何かあったのか?』
先生は私の隣に座る。

「先生は髪の色、どう思う?」
『髪の色?』
「うん、そう。先生はキレイな黒髪でしょ?」
私は先生を見上げる。

『あぁ、そうだな。キレイかは置いといて黒髪だ。』
「私はね、自分黒髪だと思ってるんだけど、結構茶髪でさ。髪の毛染めたんじゃないかって言われたの。」
私がそう言うと、先生は私の髪をすくって太陽にかざす。
「先生?」
『太陽にかざすと茶色。陽が当たってないときにはちゃんと黒髪も混じってる。』
そう言うと先生は私の頭をポンポンした。

「先生はどう思う?地毛が茶髪なのに、地毛の人が地毛登録しなきゃいけないの。」
『私はもっと、生きやすい社会になればいいと思うよ。ハーフでも外国人でもなんでも。髪の色、肌の色、そんなものを気にしなくていい世の中になればいいと思う。もし学校が、染める事を駄目だと言うのなら、染めた人に罰則を与えるべきだと思ってる。』
「だよね(笑)。」
私は静かにニコッと笑う。

『ただ、これもまた倫理だ。自分の事を捨ててはいけないが、世間様と同じようにしなければならない。』
「わかってるよ(笑)。だから私も地毛登録出したんだもん。」
そう言った私を見て、先生は頭をなでる。
『偉いな。私は、君が髪を染めていない事なんてとっくの昔から知っている。』
「ありがとう、先生。私の髪の色、認めてくれて。」
『最初に言っただろう?私は君の事をよく見ている(笑)。』
先生は優しく、でも悪戯っ子のように笑った。

私は先生に笑顔を返し、太陽に手をかざした。

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「ねぇ先生、見て!!新入生。」
私は新入生を指差して、先生の方を向く。

『今日は、制服の採寸の日だ。』
「へぇー。もうそんな季節か……。」
『なんだ?その言い方。不満か?』
「そりゃそうでしょ!先生が他の人と仲良くなったらどうするの!?」
『そんな事気にしてるのか(笑)?』
先生は笑いながら、私の頭をぽんとする。

「そりゃ気にするでしょ!!!」
『君は私の性格を知っているだろう(笑)?』
「えぇ。でも、本当は先生、凄く優しいって事も知ってる。悪いとこだけじゃないでしょ?」
『だが私は、他の人とは仲良くする気はない。君は私の格言を知っているだろう?』
「尊敬してくれる人を尊敬するだけ。でしょ?」
『君は私を尊敬してくれているが、他の生徒はどうだ?新入生もきっと同じだ。』
「でも私は違う。それって、新入生の中にもそういう人がいるかもしれないって事だよ?」
『私の噂は悪いものばかりだ。仲良くする生徒はいないさ。』
「も〜!先生ってばマイナス思考すぎ!!!!先生、凄く良い人なんだから、もうちょっと自信持てばいいのに!」
『私は自信満々だぞ!』
「も〜、そういう意味じゃないってば!!」
『自信満々だからこそ、個人主義を貫き通しているのだ(笑)。』
先生は悪戯っ子のように笑う。

「私もそうだけどさ(笑)。先生、他の人と仲良くなってもいいから、この時間だけは変えないでね。」
『あぁ。もちろん。心配するな(笑)。』
「先生、ほんとうは優しいから(笑)。」
『私にとっても、君と喋る時間は大切だ(笑)。』
「ありがとう(笑)。」

私達は微笑みながらニヤニヤお互いを見つめた。
笑いが収まった頃には、新入生は見えなくなっていた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

『今日も何か考えているのか(笑)?』
外を眺めていると横から顔を覗かせる。

「いいや?まだ花、咲いてないのに桜の香りがするなぁ〜って。あと少しで開花しそうだなって考えてた。」
『そうだな〜。蕾もふくれてる。咲くのは時間の問題だな(笑)。』
「だよね!私もそう思ってたところ(笑)。」
先生は私の腰掛けていた場所の隣に座る。

「先生、いっつも私に“何考えてる?”って聞いてくれるけど、先生は何考えてるの?」
先生は少し考えて口を開く。

『守る価値のある人は誰か。』
「素敵なこと考えるんだね。」
『私はこれでも教師だ。“生徒”に守る価値があるのかぐらいは考えるさ(笑)。』
「あっ、そっち(笑)?でも、私はそういうの好きだよ(笑)?私も考えるもん。この教師との関係は保たないといけないのか。命をかけて守る価値のある人は誰か。」
『考えることは一緒だな(笑)。』
先生はニコッと笑う。

「私の出した答えは、命をかけて守りたい人は少人数ってことかな〜。心臓1つしかないからそんなに沢山の人は守れないけど(笑)。」
『私も少人数だ(笑)。そんなに命はかけられんだろう(笑)。』
「確かに(笑)。」
私は先生の微笑みに微笑みを返す。
『ただ1つ言える事は、この事を考えないといけないのは少し寂しいと言う事だ。』
「大切な誰かが危ない目に合うってことだもんね?」
『それももちろん。だが、君の場合は特に、君が危ない目に合うぞ。』
「わかってるって、自分も死なない程度に命をかけるんでしょ(笑)?」
『あぁ。それでいい。』
「私は先生のほうが心配だけどね(笑)。」
『君には心配はかけないさ(笑)。』
先生はイタズラをする少年のようにニコッと笑った。

私は心の中で“先生こそ100%命かけるくせに。”と呟いた。
そして私はもう一度、桜の香りを探した。

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廊下を歩いていると、前の方に先生がいたので駆け出す。
「先生!」
『あぁ。』
そう言うと先生は振り返り、ニコッと笑う。

「あれ?先生、その足どうしたの?」
『えっ?』
「そこ。いつ怪我したの?」
『……薬学の研究をしていたとき…か?』
「え?そんなに血、出てズボンも破れてるのに気付かなかったの?」
『…あぁ。』
「もう、しょうがないな〜。こっち来て。先生の部屋行くよ!」
私は先生の手を引き、部屋へ連行する。
『気にし始めたら、なんか痛くなって来た。』
「先生バカだなぁ〜、もう!早く行くよ!」

部屋につくと私は、救急箱を探した。
「先生、薬学するのはいいけど、もうちょっと道具片付けてよね!よくわからないものが多すぎる!!」
『だが、こっちでも使うものばかりだぞ。理科の授業で使った事あるだろう?』
「あるよ。ビーカーに…メスシリンダー?」
『それは試験管だ。』
「今それはいいから!」
『いや、君が言ったのだろう(笑)?』
「確かにそうだけど(笑)。ほら、救急箱あったよ。」
『ありがとう。』
「ほらほら、座って!」
『仰せのままに(笑)。』
「よろしい(笑)!」

私は先生の手当をする。
「先生は時々、集中すると周りが見えなくなるから気をつけないとね!」
『そうだな。熱中しすぎないように気をつけるよ。』
「まぁそういうおっちょこちょい?な先生が好きなんだけどね(笑)。」
『いじってるだろ?』
「いじってないよ(笑)!」
私は最期の仕上げに包帯を結ぶ。
「ほら、できた!!」
『命拾いしたな(笑)。ありがとう。』
「先生、大袈裟だから(笑)!」
私は救急箱を戻しながら言った。

「あっ。その代わり、指切りげんまんしよ?」
先生は小指を立てて私の前に差し出す。
「先生は無茶な事をしない!指切りげんまん嘘ついたら……。高級チョコレート奢らせる!指切った!」
『それは守らないとな(笑)。』
「楽しみにしてるからね(笑)。」

指切りをしたあと、少しの間笑っていた。
そして私は先生の部屋で、またキレイな魔法の薬学を見せてもらった。

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〜二人の秘密〜

『まだ何か気になるものがあるのか?』
今日もまた、いつもの窓辺にいると後ろから先生が声をかけてくれた。

「今日は何もない!!」
『今日は?じゃあ、今日は何をしてるんだ?』
そう言うと、先生も腰掛ける。
「今日はね、春のにおいを楽しんでたの。」
『春の匂い?』
「うん。春のにおいがする。」
『花のにおい……っていう事か?』
「う〜ん、花の匂いとか、空気の匂いとか、暖かさとかかな〜?」
『まぁ確かに、何かの花の匂いはするし、暖かくなったな。春はもうすぐだろう。』
「だよね(笑)!!私、季節の変わり目の匂いって好きなの。」
『楽しくなるか?』
「そうね〜。それもある。なんて言ったらいいかわからないけど、好きなんだよね〜(笑)。」
私はニコッと笑う。

先生はニコッと笑い返すと、春のにおいをかいだ。
私も深呼吸をして空気を肺の中へ入れた。

『確かにこれは、春のにおいなのかもな(笑)。』
先生はもう一度笑うと校舎の外を指差した。
『桜の花ももうそろそろ咲きそうだ。』
「楽しみだね!」
『あぁ。桜が咲いたら、ここで花見をしよう。』
「おっ!いいね!!楽しみだ!!」

私はこの春のにおいを楽しみながら、
明日からまた頑張ろうと背筋をしゃんと伸ばした。
先生は、猫のように日向ぼっこを楽しんでいた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

お気に入りの窓がある所に行こうと廊下を歩いていると後ろから左手首を掴まれた。
私は驚いて振り返ると、そこには先生がいた。
「っ先生!!びっくりした…。どうしたの急に?…ん?」
私は先生の顔を覗き込む。
「今からいつもの所行くけど、一緒に来る?」
『あぁ。』
私はニコッと笑って、先生の手を引き駆け出す。

窓の前につくと、くるっと振り返る。
「到着!」
そう言うと、またニコッと笑う。
『今日は私も座っていいか?』
「何で聞くのよ(笑)?もちろんだよ。一緒に座ろ?」
私達は窓の外に足を出して座る。

「何か聞いてほしい事があったんでしょ?」
『聞いてほしいというか…。普通の話をしたくてな。』
「世間話とか?」
『あぁ。』
「先生は相変わらず可愛いねぇ(笑)!」
『別に可愛くはないと思うが…?』
「いいや、可愛い!!」
『…ありがとう(笑)。』
「あっ、照れたっ!!!可愛いっ…。」
私はニコニコ笑みを浮かべながらマジマジと先生の顔を見る。
『そんなに見ないでくれっ!』
先生はそう言いながら手のひらをこちらに向けて顔を隠す。
「ちょっとは元気になったじゃん。先生(笑)。」
今度はイタズラにニコニコ笑った。
『やはり、君には上手に隠せないな(笑)。』
「先生、隠す気なかったくせに(笑)。」
私はケラケラともう一度笑った。
すると先生が口を開いた。
『バレたか(笑)。』

先生は本当に隠す気はなかった。
それは、皆にバレないように私にSOSを送ってくれていたからだ。
私は、先生が真っ直ぐな目でSOSも、助け舟も出してくれることをとても嬉しく思っていた。
そして、今日も私の前だけで笑顔を見せてくれる先生にとても感謝している。

私達は二人でいつまでも笑い続けた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

「先生!!捕まえたっ!!」
私は先生を見つけると、右腕を後ろから引っ張った。
『おぉ、なんだ?今日の授業わからなかったか?』
「いや、全然わかったよ?なんで?」
『君がいつもと違う捕まえ方をするから聞いただけだ。』
「あれ?いつもこんな感じじゃないっけ?」
『掴まれたことはなかったはずだ。』
「あ、痛かった?」
『いいや、痛くはないさ。そんなことより、私に用事があったのだろう?』
「あぁ、そうそう。倫理についてなんだけどね。」
『倫理?』
「うん。私のクラスは選択科目で成り立ってるでしょ?だから、その選択科目のせいで倫理の授業が受けられないの。」
『そうだったな。選択科目のせいで、私も君と授業ではなかなか会えないのだったな。』
「別に選択したくて、選択したわけじゃないよ。やりたくないものをやってる。嫌だって言ったら、学校辞めて働けって言われるし。やりたいことできないのにここにいる意味は、先生に逢えるっていうそれだけよ(笑)。」
『そうか。』
「そう。それでね、先生に倫理を教えてほしいの。」
『私は倫理の担当ではないが?』
「でもそういうの得意でしょ?」
『あぁ。確かに。教えられなくもない。』
「先生。約束ね。放課後、先生の空いてるときに授業してよ(笑)。」
『もちろんだ(笑)。』
「そういう先生大好きよ(笑)。じゃあ、また後でね(笑)。」

『待て。』
先生は次の授業に行こうとした私を呼び止める。
「何??」
『辛くなったら、またおいで。いつでも私は待ってる。いつもお互いがお互いを必要としている(笑)。』
「知ってる(笑)。私もこの間、先生の事待ってるって言った気がする(笑)。じゃあ、授業始まっちゃうから行くね!!」
『あぁ。』
「私、先生の事は大好きだよ(笑)。」
イタズラに笑うと教室の方向に足を向ける。

次の授業は選択科目。
先生の笑顔が、私をそっと救ってくれる。
もう少しだけ頑張ろう。
そう決意して教室の扉を開けた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

今日はなんとなくだがいつものようにお気に入りの窓がある廊下へと向かっていた。
いつもは私が先にいるが、今日は先客がいた。
「先生??今日は用事ないのにいるんだね、珍しい。」
『あぁ。君が見ている景色を見たくなってな。』
「結構いいでしょ?ここ。」
私は先生の隣で、窓に手をつく。
『君がお気に入りにしている意味がわかったよ(笑)。』
「先生、何かあった??」
『何を言ってる?(笑)何もないさ(笑)。』
先生は誤魔化すかのように笑う。
「そっか〜。じゃあ、私の話聞いてもらおうかな〜。」
『もちろん。何だ??』
「あっ。1つ約束。途中で口挟まないでよね!」
私は先生を見ていたずらに笑う。
『あぁ、わかったよ。保証はできないが。』
「じゃあ、いくよ?」
『あぁ。』

「先生にはね、もう愛着しかないの(笑)。初めはね、嫌な奴って見てた所も、今となってはもう、あぁ〜好きだなぁ〜って見てる。こんなにも愛おしくなる人なんだなぁ〜って(笑)。先生、自暴自棄になってたでしょ?でも、その事憎めないな〜って(笑)。なんて素敵な人なんだろうって。もう好きすぎて心臓持たないよ(笑)。あっ、好きって先生としてだからね〜?(笑)。」
言いたい事を放った後に先生を見ると、頬から涙が伝っていた。
先生が何を思って何に悩んでいるかなんて実際にはわからないけど、一度は伝えておきたかった事だ。

「だからね、先生の事だけは信用してるの。先生、これからもよろしくね。」
『何で今、それを言うんだ?(笑)』
先生は涙を隠して笑う。
「なんとな〜く、なんとなく言いたくなっただけ〜。」
『ありがとう。ここに来て良かったよ。』
「先生、悩む前にここ来たらいいよ。私はいつでもここにいるから。」
『言っただろう?悩んでないさ(笑)。』

先生は嘘が下手くそだ。
私の言ったことが少しでも先生に届いていれば私の出番は終わりだ。
「私は先生の事見てるからね(笑)。」
そう言ったとき、春の温かい風が二人を包み込んだ。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

屋上の踊り場で、舞のようなダンスを踊っていた。
裸足でペタペタ、トンと音を立てながら飛んだり回ったり、まるでバレリーナかのように舞っていた。
『そのダンス、嫌いじゃない。』
後ろから先生の声がしたので振り返る。
「私も、このタイプのダンスだけは好きなの。」
『裸足で踊るんだな。』
「裸足だと、何か悪いものが身体から出ていきそうで(笑)。」
そう言った私に缶のおしるこを差し出す。
『まだ寒いだろう?差し入れ。』
私達は階段に座っておしるこを飲む。
「おいしい。」
『糖分は大切だ。』
「っていうか、よくわかったね?この場所。」
『音がした。踊ってるんだろうなって音。』
「まぁ、屋上とかほとんど人、来ないもんね〜。」
私はもう一口、おしるこを飲む。
『何でここにいるんだ?』
「人がいると自分が死にそうだから…??」
『わからないこともないな(笑)。』
「人の声が私には雑音にしか聞こえない(笑)。」
『わからないこともないが、一人でいるからだろう?君は何で1人でいるんだ?私とは違うだろう?』
「先生とは違うよ。でも私は、、私は、仲良くできない。」
そう言うとまたダンスに戻る。
『何か嫌なことでもあったか?』
私は踊りながら答える。
「何もないよ。でも、ただただ上手に馴染めないだけ。」
『私には話しかけるのに?』
「みんな私の事はいない存在だと思ってる。」
『そんな事ないだろう?』
「私には、クラス全員の声は大きすぎる。」
私は舞っていた足をとめる。
「先生。私はどうすれば良かった?どれが正解だった?」
『“私と話す事。”それが正解だ。』
「何それ(笑)?変なの(笑)。」
私はもう一度先生の隣に座る。
『1人だけ話す相手がいればそれでいい。君にとってその相手は私だし、私にとってそれは君だ。』
「先生、本当に変な事言うね〜(笑)。でも、ありがとう。あっ、そうだ。先生も一緒に踊らない?ダンスパーティーみたいなの。」
『ダンスパーティーみたいな踊りならできる。』

私は裸足のまま、先生と一緒に踊った。
先生の温もりは私が築いてきた壁を優しくノックしてくれるものだった。

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テスト週間に入った今日、教科書やノートを開いたままやる気にはなれなかった。
机に座って窓の外を眺めていると、先生が顔を覗き込んだ。
「うわぁ!びっくりした!」
『勉強、進まないのか?』
「やる気が出ないんだよね〜。」
『それなら、教えてやろうか?』
「1人よりはそっちのほうがいいかも。教えてくれる?」
『あぁ。もちろん。』

先生はノートにキレイな字を書いて説明をしてくれる。
時々色を使って、“自主勉ノート”のように完成させる。
『ここがこうなって。ここ、こうなる。わかるか?』
「わかるよ。先生の書き方わかりやすいから。このまま提出したら提出点貰えそう(笑)。」
『わかりやすいなら良かったが、提出はするなよ?私がやったとバレたら他の人にも教えなきゃいけなくなるだろう?』
「えっ?そっち??(笑)」
『どっちの「そっち?」だ?』
「これ、提出したらいけない理由が自分が面倒くさいからなのと、他の人にも教えなきゃいけなくなるっていうこと。 ん?どっちも一緒か??」
『教師として注意しない理由か?(笑)』
「そう、それ!!」
『別に自主勉強ならどうやろうが勝手だろう?私が教えたって自主勉強だ。』
「じゃあこのノート、先生に提出するよ!(笑)」
『私が私を採点する事になるじゃないか!(笑)』
「嘘、嘘(笑)このノートは秘密にしとく(笑)。」
『そうだな、二人だけの秘密だ(笑)。』
先生はニコッと笑い、立てた人差し指を口元に持ってくる。
私も真似して、人差し指を立てると先生が口を開いた。
『少しはやる気になったようで良かった。この時期のテストだ。留年するなよ?』
私は先生を見て、大きく頷いた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

最近、窓辺にいる事が多くなった私を時々、先生が気にかけて訪ねて来てくれる。
『今日の君も見つけやすいな(笑)。』
先生がニコッと笑いながら言う。
「宝物探しゲームみたいに言わないで?学校狭いんだもん(笑)。すぐ見つかっちゃうよ。」
『また何かあったか?』
「特にないよ?な〜んにもない(笑)。」
ニコッと笑った私を見て先生は隣に座る。
『何かあったんなら、私には言え。私だけでいい。ちゃんと君を受けとめてやるから。』
「ありがとう(笑)。」
『笑いながら泣いてる。』
先生はそう言って私の頬に手を伸ばし涙を拭う。
「えっ?」
笑っていたつもりだったのに、先生が変な事言うからだ。
『何かあったか?』
「何もないよ(笑)。先生が変な事言うから(笑)。」
『私のせいか?(笑) ごめんごめん(笑)。』
「でも、ありがとう先生。嬉しいよ。」
『良かった。』
先生はニコッと笑顔を見せ肩を降ろす。

本当は沢山言いたい事があるし、先生に聞いてもらいたい事もある。
でも、先生にだけは迷惑をかけたくなかった。
それに、私の事をわかってくれるだけで、気にかけてくれるだけで良かった。
私は先生がいなかったら本当に1人になってしまう。
そう思いながら先生に言った。
「先生も何かあったら言ってね?私も先生をちゃんと受けとめるから。」

ただ1人、私の事を見てくれる先生には誰にも言えない秘密がある。
その秘密を二人で分け合った私達は、お互いを見つめていた。
私も先生もたった1人だけ、理解してくれる相手がいた。
それはきっと、どの星にいる誰よりも幸せな事なのだと思う。

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先生が窓辺で梟と話をしていた。
「先生?その子は??」
話しかけた私に気づき振り向く。
『可愛いだろう?この子が郵便配達をしてくれる。』
私は窓に腰掛ける。
「聞いたことある。伝書鳩みたいなお仕事よね?」
『あぁ。きっと鳩よりは賢いぞ。』
そう言って梟を差し出す。
「触っていいの?」
『この子は触っても問題ないさ。』
「この子がいるって事はお手紙、来たの?」
『いや、手紙を出すんだ。』
「へ〜、何処に?」
『そろそろ薬草がきれそうなんだ。』
「魔法の世界の薬草が必要なんだっけ?」
『あぁ。手紙を出せば送ってくださるからな。』
「あ、もしかして自分の事を尊敬してくれるから尊敬してる人?」
『よくわかったな。』
「先生、敬語になったから。」
『いつも人がいないときにこの子を送ってるんだ。』
「その人、きっと優しい人なんだろうね。」
『優しいさ。君は今、暇か??』
「えぇ、暇だけど?」
『ちょっとこの子を持っていてくれ、手紙を結びたいから。』
そう言って私の腕に梟を移す。
「お手紙はもう書いてるの?」
『あぁ。あとはこの子の足に結ぶだけだ。』
そう言って先生は手紙を足に優しく結ぶ。

『さぁ、おいで。』
先生は梟に話しかける。
『見ていろ。いくぞ?』
「うん。」
先生は少し手を引き梟が飛びやすいように助走をつける。
名一杯出した右手から梟が飛び出す。
「これでちゃんと届けられるの?」
『あぁ。向こうから来た子だ。あとは家に帰るだけだ。』
「先生も動物には優しんだね(笑)。」
先生は少し照れくさそうに笑う。
『バレたか(笑)』

私は先生に魔法の世界での話を詳しく聞いた。
先生の横顔を眺めながら、私は新しい秘密を受け取った。
二人の秘密。
誰にも言わないようにそっと胸の中にしまった。

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最近、先生が校長になるという噂が流れている。
手を伸ばしてもスルリと抜けていく先生に、少し寂しく思っていた。

廊下の角を曲がろうとすると声が聞こえた。
現校長の声だったので、隠れて会話を聞く。
先生と話をしていた。
“先生、校長になる気はありませんか?”
『今、答えを出さなければなりませんか?』
先生は質問を質問で返す。
“いやいや〜。今でなくていいんです。考えておいて下さい。”
『わかりました。考えておきます。』
会話が終わりそうだったので、私は静かに、でも急いで、踵(きびす)を返した。

私はお気に入りの窓に腰掛け、空を眺めていた。
『またここにいたのか?』
先生の声がするので振り返る。
「あ〜、先生。なんか久しぶり?」
『昨日会ったばかりだ。』
「そうだった、そうだった。」
『何かあったか?』
「別に何もないよ?」
『またここに来てるし、何もないと言ったときは大体何かある。』
「じゃあ、本当に何もないんだけど、1つ聞いていい?」
『あぁ。もちろん。何だ?』
「先生は校長になるの?」  『え?』
「先生、校長になるの?」  『何で?』
「噂がウジャウジャしてる。」
『私が校長になると君に何か不都合があるのか?』
「別にないよ?」
『じゃあ何でそんな事を聞くんだ?』
「先生が昇格すれば、おめでたいよ、そりゃあ。でも、今みたいに一緒にいれない。先生がどんどん遠くに行っちゃう気がする。ただそれだけ。」
『そうか。ただ、私は校長になるつもりは無い。』
「本当?」
『あぁ。本当だ。君もそう言ってくれているし、踏ん切りがついたよ。』
「何でならないの?校長。」
『私には似合わぬ職だろう?笑 それに、今のままで私は十分満足だからな。』
「ありがとう。」
『何でお礼を言うんだ?』
「今のままで良いって言ってくれたから?」
『何なんだ?それ(笑)』
私達は少しの間笑い合った。

先生が、これ以上スルリと抜けてしまわないように私はそっと“レプラコーン”にお願いをした。

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今日の天気予報では曇りのはずだったのに、昨日の気温よりもマイナス10度以上で、大粒の雪が降りしきっていた。
服の袖や手の中に落ちてくる雪が、体温で溶けて水へと変わる。
窓から身を乗り出していたが、寒すぎたので窓を閉めて布団に潜る。
寝転んだまま窓から空を眺める。
真っ白な世界に吸い込まれてしまいそうだ。
出たくないなと思っていた時、ノックの音が聞こえた。
「は〜い。」
返事をすると扉が開く。
『今日、寒いから外に出ないつもりだろう?』
入ってくるなり先生はそう言った。
「出たくないな〜って思ってたとこ。」
『私と雪だるま作らないか?』
「小学生じゃないんだから嫌!!!」
そう言って布団に潜ったが、すぐに布団を取られた。
「あ〜!!寒いっ!!!」
『ほら、着替えて。でないと雪合戦に変更するぞ!』
「も〜、しょうがないな〜!!!」
私はコートを羽織って外に出る。
手袋をしている先生は手を振る。
片方の手にはまだ小さな雪玉がある。
「どれくらい大きくするの?」
『できるだけ大きくする。』
私は小さな雪玉を作り雪の上で転がす。
「今日は先生、小学生みたいね。」
『あまり降らないからな。雪。』
「そうね〜。外に出てしまえば楽しいんだけどね(笑)。」
『真っ白な世界は、私の持っている濁りもキレイにしてくれる。』
「どっちかと言うと、濁りをなすりつけてるよね(笑)。」
『そうか?』
「私達は真っ白を汚してる。」
『確かにそうだ(笑)。』
「でも、それで私達は温かくなれる。今日は誘ってくれてありがとう。」
『こちらこそ。誘ったのは私だからな。ありがとう。』

私は小さな雪玉を新しく作って投げつけ、そして笑った。
その後、少し雪合戦をして、大きな雪だるまを作った。
私達は少しだけ雪の上に寝転んでいた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

『何を覗いているんだ?』
ビー玉を覗き窓辺に座っていると先生が声をかけてきた。
「ビー玉、覗いてるの。上下反対に見えて面白いんだよ?」
『そこからは何が見える?』
ビー玉を通して先生を見る。
「逆さまになって、こっち見てる先生が見える。」
『私は逆さまではない。外がどう見えるのか教えてくれ。』
「そうね〜。校舎が反対になってて、海に浮かんでるみたい。まるで不思議な形の船ね。 校舎についている灯りがキレイよ。」
『楽しそうだな。』
「ビー玉を通した世界の方がキレイに見えるわ。先生も一緒に覗く?」
『ビー玉、ひとつだろう?私はいいさ。』
「先生。私、2つ持ってるよ?」
ポケットからもう一つのビー玉を取り出す。
『用意がいいんだな(笑)。』
「覗くでしょ?(笑) はいっ!」
先生は横に座ってビー玉を覗く。
『今日の君は小学生みたいだな。』
「そう?スプーンとかさ、私達が見ているものと違う景色って面白くて好きなの。」
『確かに、ビー玉の世界は面白いな。』
「でしょ?(笑)」
私は先生を見て笑う。
「少し違う視点から見ると、ずっと見てきたものも新しく見えるんだよ。」
『小学生みたいな顔して大人な事言うんだな(笑)。』
「だって小学生じゃないもん(笑)。」

私達は次のチャイムが鳴るまで、二人でビー玉を覗き込んでいた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

“ねぇ。”
声を掛けられた気がしたので振り返ると女子生徒が立っていた。
「何でしょうか?」
“貴女、先生と仲良いわよね?”
「そうですが、何か?」
“先生との居残り授業をセッティングして欲しいの。”
「それ、私に何かメリットあります?」
“貴女も居残り授業に参加していいわ。今日の放課後ね。私達の教室で。それじゃあ、よろしく。”
そう言うと、女子生徒の塊に加わり消えていった。

とりあえず、先生を探しに行き見つけた。
「先生、貴方に居残り授業をして欲しいって言う生徒がいるわよ。何故か私もありで。今日の放課後空いてる?」
『空いている。……君は今、怒ってるか?』
「怒ってないわ。」
『じゃあ私との居残りは嫌か?』
「まさか。それはないわ。」
『じゃあ何故そんなムッとした顔をしている?』
「私に頼んだのは女よ?女!!自分で来ればいいのに。」
『そんな事で怒っているのか?』
「そんな事で悪かったわね!」
『君はその生徒のお陰で私に会えたのだからいいではないか。』
そう言うと、私にバックハグをする。
「先生、その手には乗らないわよ。」
先生がよくやる“賄賂”を渡す方法だ。
『バレたか?』  「バレバレ。」
そう言うと先生の手を取り、手のひらを出させる。
「チョコがある。賄賂は受け取らないわよ?」
『すまない、すまない(笑) ただ放課後は暇だ。』
「わかったわ。じゃあ、そう伝えておくわね。」
『君も来るのだろう?また後でな。』
「えぇ。また後でね。」
          ︙
その日の放課後はもう最悪だった。
他の生徒がいるから、先生はいつもの“イジワル先生”になるし、「先生、ちょっとイジワルしすぎじゃない?」と言おうとすると隣の席からどつかれるし、先生から『君はどう思う?』と聞かれる度に足を踏まれた。
何の為の居残り授業かわからないまま授業は終わった。

その日、私はすぐに部屋に戻り、誰とも話さず寝る事にした。

先生がまた少し遠くなった気がした。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

今日は一年のうちに何回かある、校外に出かけてもいい日。
生徒も教師も、買い物や遊園地など、それぞれ思い思いの場所へ出かける。
今日は朝から校舎が静まり返っている。私は朝が苦手なので昼前まで寝ていた。
ご飯を食べようと思い部屋を出ると、私のものではない足音が聞こえた。
『まさか、この時間まで寝ていた訳ではないだろうな。』
“げっ。”と思い振り向くとやはり先生だった。
「先生は出かけないの?」 『今起きたからな。』
「先生も今起きたんかいっ!!笑」
『私は教師だからな。』
「も〜。あっ、あと私は出かける相手居ないから出かけないかな。だから今起きてもセーフ!!!」
『君も私も同じだな。ご飯は食べたか?』
「まだ一食も食べてないよ。」
『じゃあ、一緒に食べよう。その後、一緒に出かけよう。』  「えっ?いいの?」
『もちろん。 私も用事がないからな。』

私達は大広間に行くとご飯を食べ、それぞれ準備をし、校門に集合した。
「先生、どこ行く?」
『君は何処がいい?二人で行くんだ。好きなところを選ぶといい。』
「何処でもいいんだったら、水族館かな。先生は好き?」
『あぁ。 じゃあ、行こう、水族館。』
          ︙
「先生は何が好きなの?」  『……海月。』
「じゃあ海月、見に行こう。」
フワフワ流され、キレイにライトアップされた海月を見る先生の横顔は少し寂しそうだった。
「先生は何で海月が好きなの?」
『昔、好いていた人に似ている。あの頃が懐かしくなる。』  私は少し、はっとする。
「先生にも素敵な思い出があるんだね。」
『私はもう何年もずっと彼女の事を忘れられないよ。もう二度と逢う事は出来ないのだがな。』
「せんせ、甘酸っぱいんだね。」
ニカッと笑った私の心の内を先生が知る事はないだろう。
「もう見終わったし、帰ろっか。」
『そうだな。』
“楽しかった”と物語る先生の笑顔が私の胸を締め付ける。
「きっと私には無い物を持っていらっしゃる方なのね。」私は立ち止まってそう呟いた。
『何か言ったか?』
「いいや、何も言ってないよ!今日の夜ご飯何かなって思って。」
『早く帰って確かめよう。さぁ、おいで。』
先生の元へ駆け寄る。
『さぁ、行こう。』

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

もうすぐバレンタインデー。 
普通は男性から女性へ贈り物をするのがノーマルなんだろうけど、ココでは違うから、私も先生に何か贈り物をしようと思う。
先生が使ってくれそうなものは何かと考える。
せっかくなら先生が持っていない物をプレゼントできたらと思い、ペンダントを手に取る。
楕円形のペンダントで中に写真を入れる事ができる。
これなら、服の下に隠す事が出来るし、先生の好きな物も入れられるから使ってくれるかもしれない。

ペンダントを手に取りレジへ向かう。
同じくバレンタインの贈り物を買いに来たであろう生徒がちらほら見える。
会計を済ませると、先生にプレゼントを渡す為、寮へと戻る。
私の学校はイベントを大切にする為、何故かクリスマスなどは外出が出来る。
あっ…。もちろん今日の外出は教師に許可を得ているが、先生には内緒で来ている。
校内へ入ると、みんな出かけているからか静まり返っていた。
私は先生が居そうな場所を巡る。
教室や先生の部屋、そんな所には居なくて、いつの日か私が腰掛けていた窓から外を眺めていた。
「先生。どうしたの?」
『あぁ……。その格好は出かけて来たんだな。おかえり。』
「うん。ただいま。」『ほら、あっち、見て。』
「あっち?」
先生の指差すほうを見てみると、そこには沢山の鳥達と見た事のないキレイな赤い、火のような鳥が一匹集っていた。
「先生、あのキレイな火の鳥は何?」
『火の鳥に見えるか?あれは不死鳥だ。』
「不死鳥ってあの、死なない鳥……だよね?」
『あぁ、そうだ。』
「何でこんな所に幻の鳥がいるの?」
『“私が魔法を使えるから”だ。魔法界では普通に存在する鳥だ。稀少だがな。』
「へぇ〜。そうなんだ…。キレイね。」
『キレイだけじゃないさ。これから、良い事か悪い事が起こる象徴だ。……私の場合は、だが。』
「あっ!そうだ!今ので思い出した。良い事にカウントされればいいけど……。はいっ!これ。」

〜すみません。長すぎるので続きます。〜

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んでくださると嬉しいです!

今夜、学校主催のダンスパーティーがある。
私の学校では何故か“女性”が“男性”へとダンスを申し込む。
私は紳士な男性はいないのかと思いつつも少し嬉しく思っていた。
もちろん今日は休日の為、それぞれがダンスパーティーの準備をしている。
私はキラキラした赤いドレスとシンデレラのような靴を選んだ。
皆がドレスコードをしはじめた頃、私もドレスを着て大広間へと向かっていた。
沢山のキレイな女子生徒達と、そわそわしている男性達を横目に廊下を進む。
大広間に着いた頃、テーブルも全て退けられ、半分ほどの生徒が集まっていた。
男子生徒や教師が壁に沿って円を作り、女子生徒の入場を待っている。
今や、この学校にいる全員がドレスコードをしている。

生徒全員が集まり、ダンスパーティーが始まる。
それぞれ男性の元へ歩きダンスを申し込む。
私も男性の元へ真っ直ぐ歩き目の前で止まる。
長いドレスの裾を両手で少し持ち上げ、ひざを曲げてお辞儀をする。
「先生。私と踊って頂けませんか?」

実を言うと、ずっと前から先生と踊る事を決めていた。
そのために、先生がよく着ている黒色の服に合わせてドレスを選んだ。

私が顔をあげると、何も言わずに左手を差し出した。
私は先生の左手に右手を重ね、もう一度お辞儀をする。
そのまま踊れる場所まで歩いて行き、先生に体を預けて踊る。
“ダンスパーティー”の為、今日のダンスは男性がリードをして女性が体を預けなければキレイに舞うことはできない。
私と先生はまるで鳥のように舞い続けた。
『今日の君はキレイだ。』
先生がそう呟いた。
「今日の先生もキレイよ。」
私がそう言ったとき、先生は優しく微笑み、私も優しく微笑み返した。
私達はそのままダンスパーティーが終わってしまうまで踊り続けた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んでくださると嬉しいです。

『おはよう。』
後ろから先生が挨拶をしてくれた。
「あっ先生!!おはよう!珍しいね先生から挨拶。」
『いつも君が私を見つけてくれる。』
「いつも先生が私を見つめてくれる。」
『返しにくいな。』
「えっ?そう? ごめん、ごめん。」
『今何してた?』
「別に何もしてないよ。暇。」
『そうか……。』
「何よ!!話しかけて来たと思ったら相談!?何!?」
『私はあっちの寮や他のクラスの奴らに“イジワル”しすぎか?』
私の学校ではいくつかの寮に別れている。
「う〜ん。………えっ?今さら!?そんな事!?」
『そんな事で悪かったな。』
「先生。“今更?”だよ。私達は昔から知ってる。」
先生は私の心中を探ろうと目を覗き込む。
「先生。私はね、時々嫌いになるよ。そりゃあね。でもね、私は先生の事、大好きだよ。」
先生は静かに何かを考えている。
「でもね。先生、少しやりすぎね(笑)。先生はすぐ減点するもの。皆、留年しちゃうわ。まぁそんな先生が好きなんだけどね!(笑)」
先生の求める答えにはなっていないだろうと思ったがイタズラに、でもニカッ!と笑った。

『そうか……。私はこのままでいいのだな…。』
「えっ?(笑) 先生、私の話聞いてた?(笑) 先生、直す気ないじゃん!!(笑)」
『ごめんごめん。減点は少し減らすさ。』
「いや、イジワルも減らして下さい!!」
私がそう言うと先生は笑った。
『ありがとう。君だけだ。私をちゃんと見てくれているのは。』
「先生も私を見てくれたでしょ?私は私を尊敬してくれる人を尊敬するだけよ。」
『そうだな。私と一緒だ。』
「うん、そうよ。知ってる(笑)」

『あっ、ほらチャイムが鳴ってしまうよ。早く教室に入りなさい。』
「先生、何かあったら言ってね。私も報告するから。」
『あぁ。』  「じゃ、教室行ってくるね。」
『ありがとう。』
「先生も話してくれてありがとう。」
私は手を振り笑った。
「じゃあ、またあとで。」
先生も笑って手を振り返す。

二人の秘密。
その一つは私の前だと笑う、そしてイジワルなんてしない先生の姿なんだろうなと改めて思う。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んでくださると嬉しいです。

はぁ…。 はぁ……。 ……。
バンッ! ガタッ!
私は何が起きたのか一瞬考えた。
「あっ……。」
先生と目が合う。
まさか先生の授業で眠りにつくとは…。
しかも悪夢を見るなんて……。
机に手をついた音と、立ち上がった時に椅子を引いてしまった音で皆が振り向く。
『授業中だ。前を向け。……お前も座れ。』
「はい。……すみません。」
あぁ。先生の授業で眠ってしまうなんて……。やってしまった。先生はすぐ減点しちゃうし…。
そんな事を考えていたらいつの間にか授業は終わった。
教室を後にして、大きな窓の大きな額縁に腰掛ける。
窓を開けて外側に足を出し、壁に寄りかかって目を瞑る。
ここはほとんどの生徒が来るのを避けている廊下だ。
人は来ないと思っていたが、遠くから足音が聴こえる。……聴こえたと思ったら、一瞬の静寂が訪れる。
かと思ったら、走って近づいてくる。
そう思っていたら、本当に後ろで止まった。
『何をしている??早まるな!落ち着け。』
先生の声がしたので目を開けて振り向く。
「先生……??なんの話?」
『いや……。今、そこから……。』
「うん。先生の早とちりだと思う……。飛び降りると思ったの?」
そう言いながら外に出していた足を廊下に戻す。
先生は安心したように肩を降ろす。
少し面白かったので笑ってみせた。
「早とちり先生、ここ、座る??」
そう言うと、また外側に足を出す。
「先生。ごめんね。授業中、寝ちゃって。」
『そんな事は正直どうでもいい。何かあったか?君が悩んでいるならそっちの方が重要だ。』
「ふふふ。ありがとう。でもね、別に悩みがある訳じゃないの。」
『悪い夢でもみたか?』
「うん。………ねぇ先生。1つ質問してもいい?」
『あぁ。何だ?』
「先生はさ、何処にも行かないよね?」
先生は少し悟ったようだった。
『何を言っているんだ?今もこうして君の側にいるじゃないか。』
そう言って微笑んだ。
その笑顔を見たら、悪夢の話なんてできなかった。

先生は多分、悟れてない。
私は夢の中で少しずつ遠ざかっていく先生を見た。
暗闇の中へ突き進み遠ざかっていく先生を。

私は本当にそうなってしまわないように、
先生のローブをそっと、けれども強く握りしめた。

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〜二人の秘密〜長文なので暇なときに読んでいただけると嬉しいです。

「あっ!先生〜!!」
廊下で先生を見つけたので駆け出す。
『何だ?』
「ん〜、特に用事がある訳ではないかなぁ〜。」
『次は昼休みだろう? ぶらぶらするか?』
「その前にご飯、一緒に食べよっ!!」
そう言ったとき、向こうから他の教師が来るのが見えた。
「あっ……。ちょっと失礼しま〜す。」
先生が着ている丈の長いローブの中に潜り込む。
『おい……。』「先生、しっー!!!」
『まったく。しょうがないな。』
先生が壁に向かって少しずつ後ずさり、持っていた教科書を窓辺に置く。
向こうから来た教師が近づいてくる。
先生の前で止まると“どうかしましたか?”と声をかけた。
『いや、教室に忘れ物をしたような気がしたのだがポケットに入っていた。』
そう言うと、ポッケの中から教師全員が使っているチョークの入った箱を出した。
“気をつけてくださいね”
『あぁ。』
そんな会話が聞こえた後、遠のいていく足音が聞こえた。
『もういいぞ。出ておいで。』
「ぷはぁ! 先生、魔法使った?」
『彼奴は視野が狭い。魔法なんぞ使わなくても君を隠せるさ。』
「ふふ。ありがとう。しかも先生、チョークなんて使わないのにねっ(笑)。」
『……君は私には話しかけるのに、何故他の教師には懐かないんだ?』
「犬とか猫みたいに言わないで!なんでって嫌いだからよ。単純でしょ?(笑)」
イタズラに笑う。
『まったく君は。』
「“まったく”ってさっきも聞いた!ほら、ご飯いこう!!」
『まったくもって可愛い生徒だ……。』
そう呟いているのが聴こえた。
こういう事を言うから私は先生が好きだ。
けど、恥ずかしかったから聴こえないフリをした。
「ほら!早く来て!!!私の事ちゃんと見てくれるの先生しかいないんだから!!」
『わかった、わかった。さぁ行こう。』
私は昔、教師の言葉で傷ついていた。もちろん今もだが、全人種“教師”は全く同じ事を言う。
だが、昔いろいろあった先生はイジワルはするものの、命の恩人だった。
そんな先生をキライにはなれなかった。
私達は予定通りご飯を食べ、広い校舎をぶらぶらした。
春の風が心地良かった。

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〜二人の秘密〜長文なので暇なときに読んでくださると嬉しいです。

「げっ。風邪引いた……。今日の授業、休まなきゃな。」
私は寮の部屋から担任に電話をかけた。
「1時間目、先生の授業なのにな……。」
          ︙
1時間目。
『おいっ。あいつ、どうした?休みか?』
“えっ?あ〜、はい。風邪引いたらしいです。”
ある生徒がそう答える。
『そうか……。欠席はひとりか? 授業を始める。』
          ︙
          ︙
放課後。
「暇だなぁ〜。ラジオ体操でもしようかな〜。」
そう考えているときだった。
コンコン。
ノック音が2回聞こえた。
「はぁぁぁ〜い!!」
返事をすると扉が開いた。
『何だ。元気じゃないか。心配して損したぞ。』
「えぇ〜。心配してくれたんだね、先生。」
手にはホットミルクの入ったカップが2つとチョコレートの乗ったお盆を持っている。

『見舞い持ってきた。』
そう言いながら、持っていたお盆を数センチ上にあげる。
先生からの“心配”が少し嬉しかった。
「ありがと、先生。暇じゃなくなったよ!(笑)」
先生はチョコレートをホットミルクの中に入れ、
魔法を使ってスプーンでかき混ぜる。
「先生の魔法は便利だね。」
『便利だけじゃないさ。』
そう言いながら、ホットチョコレートミルクになったカップを差し出す。
そして、“ニヤリ”ではない本当の顔で少し笑った。
「先生にはその顔が似合ってるわ。その顔が一番ね。」
先生は照れくさそうに笑い、ホットチョコレートミルクを一口飲んだ。

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〜二人の秘密〜長文なので暇なときに読んでいただけると嬉しいです。

部屋の扉から少し顔を出す。
「あっ。先生?……ちょっと相談があるんだけど。」
私の学校には寮があり、もう12時を回っている。
『何だ?こんな時間に。いくら“寮だから”と言っても遅すぎるんじゃないか?』
「うん。だから相談なんだってば…。」
『ほら、こっちに来い。他の教師に見つかるだろう?』
「あっ、うん。ありがとう。」
『相談とは何だ?』
『何かあったか?  ……まさか虐めか!?』
最高に質問攻めをしてくる。
「うん。違うから話し聞いて?」
『あっ。すまない。』
少し首を傾けて目を覗き込んでくる。
「あのね、寝なきゃいけないのに寝れないの。」
「…いや、違くて。眠いのに寝たくないの。…だから寝れない。」
『そうか。私にもあったなぁ、そんな事。』
「でしょうね(笑) だから聴きに来たんだもん。」
先生には、私とは違うが昔いろんな酷い事があった。
『なら、私の部屋を使うといいさ。』
先生は唐突に切り出す。
「えっ?何で?寮あるのに?」
『私が子守唄でも歌ってやろう。』
「いや、私がここで寝たら、先生何処で寝んの?」
『こんなに大きなベッドなんだ。2人で寝れる。』
大体の教師部屋はベッドは大きくキッチンさえある。
「でも、子守唄なんかで寝れるの?」
『きっとひとりだから寝れないんだろう。』
『ほら、寝ていいよ。』

私達は背中をくっつけて寝転んだ。
背中で先生の温もりを感じながら、子守唄を聴く。
ショパンだったかモーツァルトだったか、子守唄はとても綺麗だった。
久しぶりに感じた人の温もりで、
子守唄が終わる前には私も先生も眠っていた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んでくださると嬉しいです。

トントン。私は先生がいる部屋の扉を叩く。
『先生?入ってもいい?』
爆発音とともに、
「ちょっと待て」という声が聴こえる。

5分ほど経つと扉が開いた。
「お待たせ。」
『先生、また魔法の薬学してた?』
「あぁ。少しだけだ。」
先生は魔法を使った薬学を“隠れた専門教科”としている。
先生の使う魔法の薬学はとても綺麗で素晴らしい。
『今日は失敗したの?』
「掛け合わせができると思ったのだが何処かで間違えてしまったようだ……。 片付け、手伝ってくれるか?」
『えぇ。もちろん。その代わり、チョコレートね。』
「わかってる。魔法の事は誰にも言うなよ。」
『もちろん、わかってるわよ。』
私は魔法使いでも魔女でもない。
いや、普通はみんなそうだ。でも私は、夢のような彼の秘密を知っている。

手伝いをしながら彼に問う。
『ねぇ。先生の魔法の事、私にバレたけど何もないの?お仕置きとかさ。』
「君が黙ってるから何もない。私も何も言わない。」
『誰かが魔法を使ったら、“魔法の存在がバレた”って事がバレるんじゃないの?』
「あぁ。もうバレてるだろうな。」
『大丈夫なの?』
「君が秘密にしてくれているんだ。何もないだろう。」
私は“そっか”といい一息つく。
『だいぶキレイになったんじゃない?』
「そうだな。元通りだ。」
『良かった 良かった。』
「そういえば、何か用事があったのでは?」
そう言いながらチョコレートを渡してくれた。
『えっとね〜……。 忘れた……。』
「まぁいいさ。思い出してからまた来るがいい。」
彼はホットミルクを差し出す。
『ありがとう。……魔法の事、先生にお仕置きがなくて良かったよ。』
先生と話したかっただけとは言えなかったが、帰宅のチャイムがなるまで話し合っていた。

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『あっ。また意地悪してんの?先生。』
私のかけた声で、
意地悪されていただろう他の生徒が逃げる。
「私は意地悪なんてしていない。何処がそう見えるのだ?」
『先生、悪い顔してるけど?(笑)』
「私の何処が悪い顔なんだ??」
本気で問いかけてくる。
『ふふふ。嘘。私は先生の事知ってるから、悪い顔だとは思わない。たださ、もう少しだけマシな顔できないの?(笑)』
「笑うな。私にとったらこれはマシな顔だ。」
『そんな顔じゃあ、ただでさえ意地悪な先生がもっと意地悪に見えるわよ?』
少しだけ俯いた様に見えた。
『私は先生の事を知ってるから、なんで先生が意地悪してるか知ってるけどさ…』
「意地悪じゃない。」
先生は私に隠そうとしているが私は知っている。
意地悪する時には必ずニヤリと笑うのだ。
途中で話しを遮った先生を無視して続ける。
『他の生徒からしたら贔屓とか言うやつになるのよ〜?』
「贔屓をしているのはあっちの方だ。」
『それは何年も前の話でしょう?貴方が同じ事繰り返してどうすんのよ、先生。』
少しだけ考えて先生が口を開く。
「私は私なりに守ってるつもりだ。」
彼は自分なりのやり方で生徒を守っているのだ。
『わかってるわ。でも意地悪するのも程々にね。』
先生に手を振り、進路を元来た道へと戻す。

後ろで“アイツらを逃してしまった”と声がする。
私は微笑みながら彼に想いを馳せる。
彼の意地悪は、彼が学生のときにうけた傷のせいだと知っているのはこの学校で私だけだろう。
もしあの悪戯と言う名の虐めがなければ、彼はとても良い人になっていただろうに。
彼は何処でひん曲がってしまったのだろうか。

………ため息をつきながら、次の授業へと向かう。