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皇帝の目・回復魔法のご利用は適切に_設定

前回のやってないですね。やってないのでどっちもまとめて書きます。

回復魔法のご利用は適切に
シオン:中学1年生、13歳。魔法はほぼ無知、あんまり頭はよろしくなく、ちょっと(かなり)脳筋な女の子。とにかくでかい。運動神経は全校一で回復魔法の持ち主。怪我を治したり壊れたものを直したり結構幅広い能力。一部の人に看護師呼びされている。出てきてないけどお兄ちゃんがいる。かっこいいので慕っている。

エリザベス:中学1年生、14歳。良家のお嬢様なので魔法に詳しく勉強もできるが残念ながら変人。ドリルな縦ロールでハーフツイン、しかもゴスロリでかなり目立つが上品な性格でもある。爆発魔法の持ち主。「シルバーバレット」と詠唱することで爆弾を銃弾のように打ち出せる。家族が過保護で面倒。

レオン:28歳教員。生徒との距離が近い。(物理精神ともに)重力・引力操作魔法の持ち主。

皇帝の目
梓:人付き合いの下手な中学2年生。自由人だが環境は大事にしたいタイプ。面倒事は嫌いで結構ズボラなところがあるため家族に呆れられている。小さくて貧弱で、ある日ビーストの襲撃に巻き込まれてなんか目も悪くなったので生きづらさを感じている。チトニアのことは好きなので彼女に対しては愛想が良く、可愛がっている。

チトニア:とにかく喧しくてよく叫ぶ元気なドーリィ。テンションが高く物理的距離も近く若干束縛気味なのでマスターになる人がいなかった。皇帝ひまわりのドーリィで、皇帝という名にふさわしく蝶や蜂の眷属がおり、ひまわりらしい明るい金髪と黄色の服が目立つ背の高い少女。武器などもいろいろ持っている。今は梓にべったり。

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エッセイ的な何か

世の中には「孤独が耐えられない!」「ひとりぼっちだと死んじゃう!」って人、結構いるよね。
それに対して今のウチは、ずっと1人でもなんとも思わないし、むしろ1人の方が気が楽な時があるのよ。
「孤独を好むのは発達障がいのせい」と言えばそれまでなんだけど、正直それじゃあ腑に落ちない。
じゃあなぜか、色々調べたり考察したりしてみると「自己を肯定できているか」って所に行き着く。
「孤独を感じない人」は自分のことを1人で評価できているから自己肯定感が高くなるが、「孤独を感じる人」は他人にばかり己の評価を求めているから寂しがってるそうなんだ(ネット調べ)。
まぁホントかどうかはさておき、寂しがってる人って他人に肯定されたがっているのかなとは思える。
そういう人って、認識の有無を問わず自己肯定感が低そうだしさ。
自分が一時期友達が欲しくて仕方なかった時も、自己肯定感が低かったんだよね(あと普通の人間は友達がいて当然という思想)。
それがどうでもよくなったのって、ある意味学力とか他人への信頼とか色んなものを失って最後に自分の中に己が愛した創作活動しか残らなくて、ひたすらそれを続けていたからだし。
あと歳の近い妹に「大学では好きなことをやっていい」って言われたこともある。
好きなこといっぱいやってる内に気付いたら寂しさを感じなくなっていったんだ。
だから孤独を感じる人は“(コンプライアンスに抵触しない程度に)1人でもできる”好きなことを見つけることから始めてみようぜ。
きっと好きなことに没頭してれば寂しさなんて感じないはずだからさ。

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魔狩造物茶会 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
予告通り「魔狩造物茶会」のあとがきです。
どうぞお付き合いください。

今回のエピソードは「とりあえずナツィたちがバトってるシーンを書きたい!」という願望から作りました。
ただそれだけじゃ無理があるので、今まで出してこなかった設定を出すことにしました(ナツィの“保護者”とか)。
まぁまだ謎は多いですが、次のエピソードはメインキャラのかなり重大な設定が出てくる予定ですので楽しみにしていてください。

さて、今回はかなり短いですがこの辺で…と言いたい所ですが、少し言っておきたいことがあるので少し。
いつも「ハブ ア ウィル」と「造物茶会シリーズ」を交互に投稿してきたので、「造物茶会」を投稿した次は「ハブ ア ウィル」を投稿しようとしているのですが…
なんと、次のエピソードを全く執筆できてないんですよね〜(笑)
ここ最近、大学での所属サークルの会誌の原稿のネームを描いたり、身内が危篤になってお見舞いに行ったり(ちなみに今は持ち直した)したので全然執筆している余裕がなかったんですよ。
あと今後も夏休みの最終盤になってゼミの発表会が2日連続であったり、学園祭実行委員会の活動があったり、実行委員会の仲間と遊びに行く約束してたりと怒涛の展開が待っているんです。
今さっきだって、学園祭で実施するスタンプラリーの台紙のデザインの下書きを急遽作ってたし…
まぁだいぶ忙しくて書いてる余裕がない訳です。
そういう訳で、次は結構前に書いた「ハブ ア ウィル」の番外編を投稿しようと思います。
いわゆる「過去話」ですが、お楽しみいただけたら幸いです。

という訳で、今度こそこの辺で。
「造物茶会シリーズ」第9弾もお楽しみに。
それでは、テトモンよ永遠に!でした〜

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Flowering Dolly:釣り人の日常 その⑩

結局、空間は広げてもらえないままバリア内部にて待つこと数分。ようやくいつものドーリィが来て、巨大ウミヘビを海の方まで押し返してくれた。
「ようやく安全になったか……。おいカリステジア、もうバリア解除して良いぞ」
「えー」
「何が『えー』だよ」
「せっかくだし、もう少しだけこのままじゃ駄目ですか?」
「駄目」
「むぅ…………まあ、お兄さんが言うなら……」
ようやく解放され、バリアの壁にもたれていたものだからそのまま倒れる。軽く頭を打った。
「痛って……」
「お兄さん、大丈夫ですか? 治しましょうか?」
「いや大丈、夫……あん?」
ふと、自分の右手首を見る。カリステジアのと同じ場所に、同じ紋様が刻まれていた。
「……あーお前と契約したからか…………これ、銭湯とか入れるのかな……」
「えっ可愛いドーリィと契約した証を見て最初に思うのが刺青判定されるかどうかなんですか?」
「そりゃまあ、そもそも押し売られたものだし。思い入れも何も無ェ」
「そんなぁ」
釣り道具を片付け、立ち上がる。
「あれ、今日はもう帰っちゃうんですか?」
「いや、場所変える。流石にあのウミヘビに粉砕された堤防で釣りは居心地悪いし」
「あっ釣りはやめないんですね」
「まーな。ドーリィが守ってくれるんだろ?」
「っ……! はい! 全身全霊を以て!」
この場所も気に入ってたんだが、壊された以上は仕方がない。新しいポイントの開拓といこうか。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON 解説編 1

企画参加作品「Flowering Dolly;STRONGYLODON」の解説編その1です。

・ストロンギロドン Strongylodon
モチーフ:Strongylodon macrobotrys(ヒスイカズラ)
身長:167cm 一人称:僕 紋様の位置:左手の甲 固有武器:翡翠色の長剣
翡翠色のジャケットとスラックスに白いブラウスで青緑色の髪のドーリィ。
飄々としており、掴みどころがない。
過去にマスターを失ったことで戦意を失い、ドーリィとしての本能が次のマスターの元へ自らを引き寄せようとも適合者と契約しないようにしていた。
物語の中で強かったのは覚醒による補正みたいなものかもしれない。

・幣島 祢望(少年) Heijima Nemo(The boy)
身長:153cm 一人称:ぼく
ストロンギロドンに何かと遭遇していた少年。
学年は小5。
平凡な感じの子だが芯はある。
ストロンギロドンの正体と自分に近付く理由、そしてその過去を知って、彼女のマスターになることを選んだ。
ちなみにフルネームは本編内で出そうとしたけど上手くいかず、ここで出すことになってしまった。
ちなみにリコリスのマスター・喰田 麗暖は同級生である。

・ストロンギロドンの前のマスター The former master of Strongylodon
ストロンギロドンの前のマスターだった少女。
年齢は中学生くらい。
ドーリィ・マスターとしてその責務を全うしようとした健気な子。
住んでいた街がビーストの襲撃にあった際、ストロンギロドンを置いて避難できなかったのか彼女の元に戻ろうとして亡くなってしまう。
彼女の死はストロンギロドンの心に影を落とすことになった。
実は名前が一応あるけど出さなくていいかなってことで出さない。

その2へ続く。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 11

「…」
青緑色の髪の少女は地面に着地すると、静かに後ろを振り向く。呆然と少女の戦いを見ていたドーリィたちはハッと我に返った。
「貴女…」
リコリスはそう言いかけるが、青緑色の髪の少女は前を向いて歩き出す。リコリスはあ、ちょっと⁈と彼女を追いかけ始めた。ゼフィランサスとアガパンサスもリコリスに続く。
「どこへ行くんですの⁈」
「どこって少年たちが避難している所だよ」
「それは分かっていますけれど…」
貴女、どうして急に戦う気になったんですの?とリコリスが尋ねると、青緑色の髪の少女はぴたと足を止める。
「やっぱり、アテクシたちを…」
「別に、君たちを助けたいからとかじゃないよ」
リコリスが言い終える前に青緑色の髪の少女は返す。
「僕はまた戦う理由ができた、それだけさ」
少女がそう言っていると、あ!と聞き覚えのある声が聞こえた。
ドーリィたちが見ると裏通りから避難所に逃げていた少年の姿が見えた。その傍にはドーリィ・マスターたちもいる。
「さて、マスターたちの所に戻ろうかね」
青緑色の髪の少女はそう呟くと、少年たちの方へ歩き出す。リコリスたちはその様子を後ろから黙って見ていたが、不意にリコリスはねぇ!と呼び止める。
「貴女、そう言えば名前を聞いてなかったけれど」
名前は?とリコリスは青緑色の髪の少女に尋ねる。少女は振り向かずに答える。
「…ストロンギロドン」
それが僕の名前さ、と少女はまた歩き出す。
リコリスたちはその様子を静かに見送った。

〈おわり〉

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 10

「ご機嫌はいかがかい」
僕はまぁまぁなんだけど、と少女は首を傾げる。ビーストは唸り声を上げるが、少女はこう言った。
「…残念だけど君にはここで退場してもらおうか」
青緑色の髪の少女はそう言うと、ビーストの目の前から消えた。ビーストは目の前の少女がどこへ行ったのか困惑するが、突然背後に気配を感じた。ビーストが身をよじって後ろを見ると、翡翠色の長剣を持った少女が斬りかかってきていた。
「“{”{$‼︎」
ビーストは咄嗟に光壁を張って少女の攻撃を弾く。しかし少女は即座に姿を消して今度はビーストの頭部の右側に現れた。
ビーストはそちらに顔を向けて火球を吐くが相手は手に持つ長剣で火球を弾く。そしてまた瞬間移動してビーストの右目に長剣を突き立てた。
「€|${‘|*$]$\>\^]$\‼︎」
ビーストの右目からはドス黒い血が溢れ、ビーストは悲鳴を上げた。そのまま少女は瞬間移動し今度は左目に長剣を突き立てる。先程以上にビーストは絶叫し、その場でじたばたと暴れた。
「君には街を破壊したお仕置きが必要だね」
不意にビーストの目の前で少女の声が聞こえる。ビーストは火球を吐こうとするが、青緑色の髪の少女はすぐに高く飛び上がった。
そして少女は数十メートルの高所から長剣を構え、ビーストの目の前に来た所で長剣を振り下ろした。
ビーストの脳天は斬り裂かれ、ビーストはその場に崩れ落ちた。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 9

しかし逆に頭部分の皮膚はあまり硬くないため頭部を狙えば勝ち目がありそうだったが、このビーストは火球を口から吐くため簡単には攻略できなかった。
「アガパンサス」
不意にリコリスが名前を呼んだので、アガパンサスはどうしたのリコリス?と彼女の方を見る。
「貴女…ビーストを囲うようにバリアを張ることってできるかしら⁇」
急に聞かれてアガパンサスはえっと…と少し考える。
「多分できるわ」
「ならお願い!」
そう言うとリコリスはゼフィランサス!と声をかける。ゼフィランサスははいっ!と返した。
「貴女はアテクシと共にアガパンサスからビーストの気を逸らすわよ!」
「あ、はい!」
リコリスはビーストの後ろへ回り込むように走り出す。ゼフィランサスもそれに続く。
ビーストは2人を追いかけ始めたが、突然目の前の何かにぶつかった。アガパンサスがビーストの周りに光壁を張ったのだ。
「$~€|+{£|>|*{£_€_>‼︎」
ビーストは光壁を破壊しようと体当たりするが、光壁はびくともしない。
「今よ!」
2人共‼︎とアガパンサスが叫ぶと、リコリスは高く飛び上がって赤い2振りの刀を構える。そしてビーストがいる光壁の中に飛び込んでいった。
ビーストは口から火球を吐いて応戦するが、リコリスは火球を刀で弾く。そのまま彼女はビーストの脳天目がけて斬りかかった。
しかしリコリスはビーストの目の前で見えない壁のようなものに弾かれた。
「⁈」
何が起きているか分からないままリコリスは地面に落下する。ビーストがバリアを張った、そのことに彼女が気付いた頃には、ビーストが自らが生成した光壁でアガパンサスの光壁を破壊していた。
「…嘘でしょ」
ゼフィランサスが慌ててキャッチしたことでリコリスは無事地上に着地できたが、ビーストは逃げ出してしまった。
リコリスは思わず呆然とするが、不意にビーストは通りの真ん中で立ち止まった。ドーリィたちが見ると、ビーストの目の前には青緑色の髪で翡翠色のジャケットとスラックス、白いブラウスの少女が立っていた。その左手には青緑色の花の紋様が浮かび上がっている。
「貴女…まさか‼︎」
あの少年と!とリコリスは驚く。ゼフィランサスとアガパンサスも目を丸くした。
青緑色の髪の少女はビーストを見上げてやぁと微笑む。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 8

「どうせ戦えないし戦う気もないのだから、ここで全部終わらせるのが1番いい」
そうすれば、あの子の所にと青緑色の髪の少女は空を見上げる。少年は思わず俯いた。
「…そんなの、間違ってる」
間違ってるよ!と少年は叫ぶ。その言葉に青緑色の髪の少女はちらと少年の方を見た。
「大切な人を失ったからって、自分もいなくなっていい訳がないよ!」
なんで諦めちゃうんだよ!と少年は言う。青緑色の髪の少女はだってと呟く。
「もう僕には戦う意味なんて」
「意味はあるよ‼︎」
少年は彼女の言葉を遮るように声を上げる。
「…ぼくは、知ってる人に死んでほしくない」
例えあなたであっても、と少年は続ける。
「あなただって、知ってる人に死んでほしくないんじゃないんですか⁇」
だからぼくに逃げろって言うんでしょ、と少年はしゃがみ込む。
「なら、一緒に生きましょう」
せっかくならぼくはあなたと契約したって構わない、と少年は青緑色の髪の少女の目を見る。青緑色の髪の少女は思わず目を逸らす。
「で、でも、僕のマスターになったら君は」
「大丈夫です、ぼくは死にません」
ビーストなんかにやられないから、と少年は真剣な面持ちで言う。青緑色の髪の少女は目をぱちくりさせた。
「…本当にいいのかい、少年」
君は、もしかしたら過酷な目に遭うかもしれないよと青緑色の髪の少女は訊く。少年は分かってますと頷く。青緑色の髪の少女は暫くの沈黙ののち、ため息をついた。
「分かった」
そう言って青緑色の髪の少女は立ち上がる。
「君と契約しよう」
「うん」
少年がそう頷くと、少年と青緑色の髪の少女の左手の甲に青緑色の花の紋様が浮かび上がった。
「じゃ、行ってくる」
彼女がそう言って右手の指を鳴らすとパッとその場から消えた。

避難所となっている小学校近くの通りにて。
大型爬虫類のような姿のビーストが、3人のドーリィと戦っている。ドーリィたちはそれぞれ武器を携えて果敢に攻めるがビーストは周囲の建物を崩したり火球を吐いたりして応戦していた。
「…このままじゃラチが空かないわね」
2本の赤い刀でビーストに斬りかかったリコリスがふと呟く。相手のビーストの胴体の皮膚は鱗に覆われている訳でもないのに硬質で、魔力による強化をしても中々刃が通らなかった。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 7

「彼女は積極的に僕の“マスター”であろうとした」
学生ながら僕の戦いのサポートをしてくれてたし、僕も彼女に寂しい思いをさせないようにしてた、と青緑色の髪の少女は呟く。
「…だけどある日、僕らがいた町にビーストの群れが襲来した」
僕は町で数少ないドーリィだったから本気で戦ったし、マスターは住民の避難を手伝ってたと青緑色の髪の少女は言う。
「なのに」
マスターは、僕を置いて自分だけ逃げたくなかったのか、町に戻ろうとして…と青緑色の髪の少女は顔を手で覆う。
「ビーストに殺されてしまった」
青緑色の髪の少女は震える声で言う。
「僕が、どうにかビーストを倒し切って、マスターを探しに町の外の避難所へ行ったけど見つからなくて、それで町に戻ったら…」
青緑色の髪の少女の声に嗚咽が混じった。
「…僕のせいだ」
ドーリィにとってマスターは守らなきゃいけないものなのに、守りきれなかったと青緑色の髪の少女は肩を震わせる。
「こんな僕に戦う資格も、マスターを得る資格もないと思ったよ」
それなのに、と青緑色の髪の少女は続ける。
「僕の、ドーリィとしての“本能”が、僕自身を新たなマスターに適した人間の元へ引き寄せてしまうんだ!」
僕の“本能”が、戦えと言っているんだと青緑色の髪の少女は声を上げた。
「なんで、なんでなんだよ」
なんで僕は人間と違って、悲しむ余裕も与えられないんだよと青緑色の髪の少女は拳を膝に打ちつけた。少年はただ黙ってその様子を見下ろしていた。
「大変だ‼︎」
不意に、2人の耳に体育館の正面入り口の方から騒ぎ声が聞こえた。
「ビーストが、ビーストが、避難所に向かってきてる‼︎」
なんだって⁈やそんなぁと避難所の人々に動揺が広がる。少年は思わず避難所内の方を見て呆然とした。
「…少年」
不意に青緑色の髪の少女が呟いたので、少年は彼女の方を見る。
「今すぐここから逃げた方がいい」
じきにビーストがここを破壊する、と青緑色の髪の少女はこぼす。
「…あなたは、どうするんですか?」
少年がそう尋ねると、青緑色の髪の少女はどうするも何もと返す。
「僕は、ここに残るだけさ」
その言葉に少年は言葉を失う。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 6

ビーストが出現した場所から1kmほどの場所にある小学校にて。
ビーストの急襲により小学校は多くの人が集まる避難所となっていた。
「少年」
体育館と体育館の裏手を繋ぐ出入り口に座り込む少年に、青緑色の髪の少女は体育館の外壁にもたれながら話しかける。
「そんな顔してどうしたんだい?」
もしや同級生のドーリィを心配しているのかい?と青緑色の髪の少女は微笑む。少年はちらと彼女の方を見て、それはそうだけどと答える。
「…あなたのことを考えてたんです」
あなたがなぜぼくに絡んでくるのか、と少年は続ける。青緑色の髪の少女は目をぱちくりさせる。
「それって」
青緑色の髪の少女はそう言いかけるが、少年は遮るように続ける。
「最初は偶然だと思ったんです」
あなたが何かとぼくの前に現れるのは、と少年は淡々と言う。
「でも喰田(しょくだ)さんが…リコリスのマスターが“あの人はドーリィだ”って言ってきて、気付いたんです」
あなたがぼくの前に現れる理由が、と少年は青緑色の髪の少女を見上げる。青緑色の髪の少女は気まずそうな顔をしていた。
「…ぼくは、“あなたと契約できる資格のある人間”なんでしょ」
少年が静かに尋ねると、青緑色の髪の少女の目が泳いでいた。
「…そ、それはね、少年」
「ごまかさないでください」
あなたにとって、ぼくは“適正のある人間”なんですよね?と少年は立ち上がる。青緑色の髪の少女はうぐぐ…とたじろぐ。
「もう嘘はつかないでください」
全部バレてるんですよ、と少年は青緑色の髪の少女に詰め寄る。
「なんで黙ってたんですか」
言ってもよかったのに、と少年は呟く。青緑色の髪の少女は俯いたまま暫く黙っていたが、やがてため息をついた。
「…嫌だったんだ」
青緑色の髪の少女はそう言って地面に座り込む。
「“大事な人”を失うのが」
彼女はポツリとこぼした。少年は黙ってその様子を見つめる。
「…僕には、半年くらい前までマスターがいたんだ」
君より少し年上くらいのね、と青緑色の髪の少女は付け足す。
「彼女はビーストのせいで身寄りを失って、独りぼっちだったんだ」
そんな所に僕が現れた、と青緑色の髪の少女は続ける。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 5

だがゼフィランサスが走りながら自身の周囲に緑の短槍をいくつも生成して、ビーストに向かって放つ。槍はビーストの頭部に次々と突き刺さり、ビーストは思わず悲鳴を上げて体勢を崩した。
「よし、このまま…」
ゼフィランサスはそう呟いて右手に槍を生成するが、ビーストは突然口から赤い火球を吐いた。
「⁈」
ゼフィランサスは驚きのあまり動けなくなってしまう。しかしそこへ赤髪をツインテールにした少女が両手に赤い刀を携えて飛び込む。
そして彼女は刀で火球を切り捨てた。
「リコリス‼︎」
ゼフィランサスが思わず名前を呼ぶと、リコリスは貴女、と振り向く。
「ビーストを前にして動けなくなるなんて全然ダメじゃない」
もっと攻めていかないと、とリコリスはゼフィランサスに詰め寄る。ゼフィランサスはご、ごめん…と申し訳なさそうにした。
「ま、いいですわ」
ここからはアテクシに任せなさいとリコリスは後ろを見る。しかしビーストは既にそこにいなかった。
「あ、あれ⁇」
ビーストは…?とリコリスは思わずポカンとする。ゼフィランサスも慌てて周囲を見回す。周りには人気のなくなった街が広がっており、先程まで光壁を張っていたアガパンサスの姿も見えない。
『リコリス、ゼフィランサス‼︎』
するとここで2人の頭の中に響くように声が聞こえた。アガパンサスからのテレパシーだ。
「どうしましたのアガパンサス」
『さっきビーストが移動し始めたから追いかけてるんだけど、あのビースト、避難所の小学校の方向に向かってるみたい!』
「なんですって‼︎」
リコリスは思わず声を上げる。
「避難所って…あの少年と戦う気のないドーリィが逃げている所じゃない!」
『ええそうなの』
アガパンサスは落ち着いた口調で答える。
『だから…私があのビーストを足止めするから、リコリスとゼフィランサスは急いで来て!』
「分かったわ」
リコリスはそう答えるとゼフィランサスの顔を見る。ゼフィランサスが静かに頷くと、2人の姿が一瞬にしてその場から消えた。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 4

「マスター、行ってきます」
エプロンを外しながらアガパンサスは喫茶店の主人に言う。主人は行ってらっしゃいと優しく答える。
「…リコリス」
麗暖がそう言うと、リコリスは分かってるわと頷いて青緑色の髪の少女に向き直る。
「貴女、戦わないのなら逃げた方がよろしくてよ」
戦えなくても貴重なドーリィを失うのはあまりに惜しいわ、とリコリスは続ける。青緑色の髪の少女は少しの沈黙ののち分かったと答えた。
「それじゃ、避難しようか」
少年と青緑色の髪の少女は目の前の少年に言うと、あ、はいと彼は答えた。
そしてドーリィとマスターたち、そして少年と青緑色の髪の少女は喫茶店の出入り口へと向かった。

“喫茶BOUQUET”から数百メートルの、街の中心部にて。
5階建ての建物ぐらいの大きさの大型爬虫類のような姿をしたビーストが、街中を逃げ惑う人々をのっそのっそと追いかけている。そんな中、警察や対ビースト対策課の職員が人々の避難誘導に当たっていた。
「避難所はあちらでーす」
落ち着いてくださーいと対ビースト対策課の職員は人々を誘導していたが、不意にビーストの雄叫びが彼ら彼女らの耳に届いた。
彼らがビーストの方を見ると、ビーストが突然人々に向かって走り出していた。
「ひっ!」
避難誘導をしていた人々も声にならない悲鳴を上げ、慌てて走り出す。しかしビーストはその巨体故に歩幅が大きくあっという間に人々に追いつこうとした。
しかし不意にビーストの目の前に巨大な光の壁が出現し、ビーストはそれに弾かれた。
「⁈」
人々が驚いて振り向くと、そこには青髪をハーフアップにした少女が大きな盾を地面に突き立てていた。人々は呆然と立ち尽くすが、そこへ白髪の少女が逃げてください!と駆け寄る。その言葉で我に帰った人々は、慌てて避難所に向けて走り出した。
「アガパンサス!」
白い髪の少女ことゼフィランサスは青髪の少女ことアガパンサスに声をかける。アガパンサスがゼフィランサスと振り向いた。
「私が足止めしている内にあなたとリコリスであいつを倒して」
「わ、分かった」
ゼフィランサスはそう答えるとビーストに向かって走り出す。光壁に弾かれ地面に倒れていたビーストは既に立ち上がっており、アガパンサスの光壁に向かって再度体当たりする。

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Flowering Dolly:魂震わす作り物の音 その⑭

「さて……それじゃ、もう終わらせよっか」
“フィスタロッサム”を軽く持ち上げ、音楽を1回止める。
「2曲目行くよー! 〈S21g〉!」
続いてこの管楽器から放たれますは、荒々しいドラムセットのリズム。
「それ、打楽器も行けんのかよ。万能じゃん」
「そうだねぇ」
そこから始まるハード・ロックが、捻じれた家屋群に到達するのと同時に、それらに深い亀裂が走り破裂するように崩壊していく。
「そして当然お前も……『破砕』する!」
ヤツの全身に罅が入り、主旋律が一層激しくなったのに合わせて吹き飛んだ。その破片もまた、1拍ごとに細かく砕け続け、最後には塵とすら呼べないほどの微粒子にまで細分しきってしまった。
「討伐完了っ!」
「……いやすげえな。マジであっという間じゃん」
「へへん、凄かろう。褒めてくれても良いんだよぉ?」
わざとらしく胸を張ると、彼は私の頭をぐしぐしと撫でてくれた。
「手つきが乱暴ぉー。DEXクソ雑魚めー」
「悪かったな……ところでお前の魔法」
「ん?」
頭を撫でていたあいつの手が、髪の表面を滑って持ち上げ、私の眼前に持ってくる。彼の手の中にあったのは、ツインテールにまとめられた、私の「鮮やかな緑色のロングヘア」。
「……何これ? アリーちゃんブロンドなんだけど? 長さもこの3分の1が標準だし」
「魔法で変わったんじゃねーの? ついでに服も」
その言葉に視線を下に移すと、着ているものが普段の簡単な衣装とは全く違う、ごてごてしたパンクなファッションに変わっていた。
「え、何これ⁉ やだ見ないで恥ずい!」
「いや恥ずかしいこと無くねーか? 似合ってるし」
「いやだってぇ……いつもと違う格好ってちょっと恥ずかしいじゃん……取り敢えず元の格好にもーどれっ」
魔法で髪と服を普段通りに戻し、あいつに背中を向ける。
「ほら、行こ? 帰ってご飯にしようよ」
「帰る家も台所も食材も残らず食われたけどな。さーて、これからどう生活すっかなー……SSABに相談したら何とかなっかなー」

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 3

「そんなドーリィなのに戦わないなんて恥ずかしいわ!」
ねぇ、アガパンサス?とリコリスはカウンターの方で彼女たちの様子を見ていた青髪の少女に目を向ける。アガパンサスと呼ばれた少女は慌ててそうねと答えた。
「確かに、私たちドーリィは戦うために作られたから、戦って当然…」
アガパンサスが言い終える前に、リコリスはでしょう!と手を叩く。
「アテクシたちにとって戦いは義務も同然」
それなのに戦わない貴女は…とリコリスが言いかけた所で、でもとアガパンサスが遮る。
「世の中に色んな人間がいるように、ドーリィの中にもそういう子がいたっていいと思う」
…へ、とリコリスはポカンとする。
「今まで色々な人間と出会ってきたけど、ビーストとの戦いに消極的な人も結構いるし…」
アガパンサスが苦笑いしながら言うと、リコリスはそうだけれど!と言い返す。
「アテクシたちにとっては戦いは宿命なの!」
それから逃れることはできないわ、とリコリスは拳を握りしめる。
「だからアテクシは…」
「んじゃしつもーん」
リコリスが言いかけた所で、ゼフィランサスの座っていた椅子の反対側の席に座っている若いポニーテールの女が手を挙げる。リコリスはなんですの雪(ゆき)?と彼女に目を向ける。
「ドーリィにとって戦いが宿命なら、その宿命は誰から与えられたものなの⁇」
君たちを作った人って奴?と雪は首を傾げる。リコリスは…そうですわと返す。
「アテクシたちドーリィを生み出した、太古の人々よ」
異界から差し向けられるビーストから人類を守るために、彼らはアテクシたちを作ったのとリコリスは腕を組む。
「でもその時代の人たちは今どこにも残ってないじゃん」
それならその宿命を多少無視してもいいんじゃないの?と雪は笑う。
「いつまでもいなくなった人に囚われる訳にはいかないし」
その言葉に青緑色の髪の少女は複雑な面持ちをする。一方リコリスはそれでも!と続ける。
「アテクシたちは与えられた使命を全うすべ…」
リコリスがそう言いかけた時、不意に喫茶店内にいる大人たちのスマホが鳴り始めた。各々がスマホの画面を確認すると、近くにビーストが出現したとの情報が入っていた。
「ゼフィランサス」
雪はスマホから顔を上げて目の前のドーリィに声をかける。ゼフィランサスは了解です、マスターと答える。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 2

「僕は別に君に会いたくて会ってる訳じゃないんだし〜」
仕方ないんだよ〜と青緑色の髪の少女は口を尖らせる。少年はため息をつきつつじゃあ、と続ける。
「早くマスターを見つけてくださいよ」
ドーリィなんでしょ、と少年は目の前の人物にジト目を向ける。青緑色の髪の少女はうっと焦る。
「少年、どうしてそのことを」
青緑色の髪の少女がそう言いかけた時、近くでそれはアテクシたちが教えたことですのよと声が聞こえた。
パッと2人が見ると、近くの2人がけのテーブル席の椅子から赤い髪をツインテールにして黒い和服風ワンピースを着た少女が立ち上がっていた。
「貴女が全くこの少年に正体を明かさないから、アテクシと麗暖(れのん)が教えてさし上げましたの」
ねぇ?と赤髪の少女は目の前の椅子に座るツーサイドアップの少女…麗暖を見る。彼女はええ、と頷く。
「クラスメートに親切にしないのは麗暖たちの道理に反してるから」
だから教えてあげたのよ、と麗暖は微笑む。青緑色の髪の少女はなんとも言えない顔をした。
「アテクシたちドーリィは適正ある人間と契約して戦うのが使命というもの」
それなのに貴女はなぜフラフラしているのかしら?と赤髪の少女は青緑色の髪の少女に詰め寄る。あ、いや〜と青緑色の髪の少女は思わず目を逸らす。
「僕はあまり戦いたくないというか〜」
「そんなことを言うんじゃありません!」
貴女…と赤髪の少女は声を上げるが、ここでり、リコリス!と諫めるような声が飛んでくる。彼女たちが声の主の方を見ると、赤髪の少女と麗暖が囲むテーブルの隣のテーブルから、長い白髪で緑のジャンパースカートとボレロを着た少女が立ち上がっていた。
「ゼフィランサス?」
どうしましたの?とリコリスと呼ばれた赤髪の少女が尋ねると、ゼフィランサスと呼ばれた白髪の少女はあ、えーととうろたえる。
「ちょっと、言い過ぎかなーって…」
ゼフィランサスは小声で呟く。リコリスはため息をついた。
「貴女、アテクシたちの使命をお忘れになったの?」
アテクシたちは異界からやって来るビーストから人類を守るために生み出された存在なのよ?とリコリスは腰に両手を当てる。

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Flowering Dolly;STRONGYLODON Act 1

昼下がり、街の路地裏にある小さな喫茶店にて。
“喫茶BOUQUET”という小さな看板が下がったその店の中は、5人の客と店主、そして手伝いの少女が1人いるのみでがらんとしていた。
「今日は空いていますね」
青い長髪をハーフアップにしたエプロン姿の少女がカウンターに向かって言うと、そうだなとカウンターの向こうの椅子に座る初老の男は返す。
「今日は月曜の昼間だから、みんな“本職”が忙しくて来れないのだろうよ」
まぁいいじゃないかと男は手元の新聞に目を落とす。
「それにしても普段より少ない気がするんですけど…」
青髪の少女がそう言いかけた時、カランカランと音を立てて店の扉が開いた。彼女が扉の方を見ると、そこには小柄な小学校高学年くらいの少年が立っていた。
「あ、いらっしゃ…」
青髪の少女の言葉を気にせず少年は店の窓際のテーブルへ向かった。そこには青緑色で肩につくくらいのくせっ毛、そして翡翠色のジャケットとスラックスに白いブラウスを合わせた背の高い少女が座っていた。
「…お、やぁ少年」
青緑色の髪の少女は少年に気付くと笑顔で小さく手を挙げた。しかし少年はそれを無視して彼女の目の前の座席に座る。
「それにしてもどうしたんだい」
急に呼び出しなんて…と青緑色の髪の少女が言いかけた所で、少年はあのと顔を上げる。
「お願いがあるんです」
少年の真剣な眼差しに青緑色の髪の少女は少しポカンとする。
「え、なに?」
もしかして…と青緑色の髪の少女は慌てるが、少年は気にせず続けた。
「ぼくと関わるのをやめて欲しいんです」
少年の言葉にえ、と青緑色の髪の少女はポカンとする。
周囲の客たちも、その言葉で2人の方を見た。
「そ、それって…」
「もうぼくに会いに来ないで欲しい、それだけです」
少年がそう言うと、青緑色の髪の少女はなんとも言えない表情で椅子の背もたれに寄りかかった。
「…そんなこと言われてもねぇ」
青緑色の髪の少女は窓の外を見る。
「なんて言うか、どうしてもその辺でフラフラしていると君に遭遇してしまうと言うか」
「じゃあフラフラするのをやめてください」
少年は真面目な口調で言うが、青緑色の髪の少女はえ〜と不満げに返す。

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