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ラボルト

「2年になって最初の課題は石膏デッサンだっけな」
ふと、美術科に通うきみは言う。
「実は高校入ってから石膏デッサンは1回しかやってないんだよね」
「ふーん」
普通科の学校に通っていたぼくはうなずくことしかできない。
あの子はよく学校での出来事を語ってくれるのだが、いかんせんぼくは一般的な学校(と言っても大分環境が特殊だったが)に通っていたため、理解しきれないことも多い。
ついでに他人の課題のことなんていちいち覚えていられない。
「最初の方に石膏を描いたくらいだよ…何て名前だっけ」
あの石膏像、ときみは呟く。
「何だったかな」
前に調べた気がする、とぼくはスマホでWikipediaを開いた。
「写真、撮ったはずなんだよな」
そう言いながらきみはスマホのカメラロールを漁る。
「確かポセイドンの身内だった気がする」
ぼくはWikipediaの「ポセイドン」のページからその妻「アンフィトリテ」のページに飛んだが、石膏像についての情報は得られなかった。
面倒だな、と思いつつぼくはGoogleを開いた時、きみは急に言った。
「そうだ、”ラボルト“だ」
そう言いつつきみはぼくに石膏像の写真を見せる。
あーこんなだったね、とぼくは答える。
「コイツポセイドンの嫁なんだよ」
「へー」
そう呟きながらきみはこの部屋を後にしようとする。
「コイツ鼻が嘘くさいんだよね」
発見当時欠けてたのを直したらしい、ときみは付け足す。
「だから整形したみたいな鼻なんだよ」
「ふふふ」
ぼくは笑いながらきみの後を追う。
「元々はパルテノン神殿の破風の一部だったんだって」
「破風?」
何それ、と君は聞く。
「破風…って何だったけな」
よくよく考えたらよく分からない、とぼくは呟いた。
「でもパルテノン神殿か」
行ってみたいな、パルテノン神殿、ときみは呟く。
「いいね」
ぼくはそう笑って答えた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 解説編 ⑥

「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」解説編、今日はこの物語の象徴的キャラクター「滋賀 禰蕗」の紹介です!

・滋賀 禰蕗(しが ねろ)/ネクロマンサー
身長:約140cm(自己申請)
学年:中学1年生
誕生日:12月18日
異能力:その場に残された人やモノの記憶や人やモノが持つ記憶を扱う能力
イメージカラー:赤紫/黒
サヤカが最初に出会った異能力者。
ワガママ気味で実年齢より子供っぽい。
でも友達のことはすごく大事にする。
たまに感情に任せて動いて大変なことになったりする。
色々と偶然が重なって一般人であるサヤカに異能力の存在をバラシてしまった。
平日は寿々谷駅前をほっつき歩いており、たまに高い建物の上で異能力を使っては人々の記憶を眺めているらしい。
基本毎週日曜は耀平たちと集まってショッピングモールや商店街の駄菓子屋などでダベっている。
好物はココアシガレット。
背が低いのでよく小学生に間違われる。
あと、数年前から不登校らしい。
能力発動時の目の発光色は赤紫色。
強力な異能力故に黒い鎌の形をとった「具象体」を呼び出せる。
ちなみに黒鎌の刃は触れたモノの記憶を奪う性質を持っている。
基本的に黒いパーカーに膝上丈のズボン、黒タイツ黒スニーカーの黒だらけファッション。
パーカーのフードは基本いつもかぶっている。
髪の長さは肩をギリギリ掠めるくらいの長さである。

明日もキャラ紹介!

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緋い魔女 Act 44

「いやぁ、今回は本当にありがとうございました」
雪がちらつく中、屋敷の主人はグレートヒェンに頭を下げる。
「これで我々も領民も、安心して過ごせます…」
グレートヒェンは早く終わらないものかと屋敷の主人の長話を聞き流していた。
「流石は”緋い魔女”、我らには到底出来なかったことを…」
「ちょっと」
とうとう長い話に耐えられなくなったグレートヒェンは、思わず話を遮った。
「あ、はい?」
屋敷の主人はぽかんとした表情をする。
「”コイツ”、本当に貰って行っても良いのかしら?」
グレートヒェンは親指で背後にいるナツィを指し示した。
「え、えぇ、大丈夫ですけど」
そもそも貴女様が報酬に欲しいと言いましたし…と屋敷の主人は答える。
「むしろ、”アレ”は優秀な貴女様にお似合いだろうと思われます」
屋敷の主人にそう言われて、グレートヒェンは、お似合い、ね…と反芻する。
ちら、とナツィの方を見ると、ナツィは何だか恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「まぁ良いわ」
グレートヒェンは屋敷の主人に向き直る。
「こちらこそ、色々とありがとう」
またどこかで会えると良いわね、とグレートヒェンは屋敷の主人に背を向けて歩き出そうとした。
だがすぐに足を止め、ナツィの方を見やった。

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緋い魔女 Act 43

精霊は光の壁に体当たりして罠から脱出しようとする。
しかし光の壁はびくともしない。
唸りながら悪足掻きを続ける精霊を、グレートヒェンは見上げた。
「お前の負けよ!」
グレートヒェンがそう叫ぶと同時に、精霊の真上からナツィが飛び込んできた。
「はぁぁぁぁぁっ‼」
ナツィは思い切り黒鉄色の大鎌を振りかざす。
精霊は抵抗する間もなく両断され、光の粒子となって消滅していった。
勢いよく飛び込んだナツィは、そのまま雪原に突っ込んだ。
雪煙が立ち込める中、グレートヒェンは思わず駆け寄る。
ナツィは雪の中に突っ伏していた。
「…」
グレートヒェンに気付いたのか、ナツィはむくりと起き上がる。
「濡羽色の羽根」
グレートヒェンはぽつりと呟く。
「さながら悪魔、ね」
グレートヒェンがそう言うと、ナツィの背から羽根が消えた。
グレートヒェンはナツィの頭に付いた雪を手で払う。
ナツィは嫌そうな顔をしたが抵抗はしなかった。
「それにしてもよくやったわ」
グレートヒェンがそう言うと、子ども扱いするなとナツィは返す。
ふふふ、とグレートヒェンは笑った。
「屋敷に戻りましょう」
グレートヒェンはすっとナツィに手を差し伸べる。
「…そうだな」
ナツィはグレートヒェンの手をとって立ち上がった。

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