表示件数
3
9
4
3

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑰

「…あいつの能力の話、ちゃんと聞いてた?」
あ、そうだった、とわたしは思い出した。そもそも目が発光してるし…そういえば、どういう能力だっけ?
「あいつの『人やモノの行動の軌跡が見える』能力を使って、お前の行動を追っかけてるんだよ。でも、あいつの能力じゃ、行動の”軌跡”は見えても、誰のものかの特定はできない。ここでネクロマンサーの登場だ。ネクロマンサーの『過去そこにいた人やモノが残していった記憶を扱う』能力で、記憶を見て誰のか判別してんだよ」
わたしの心を察したのか、師郎がご丁寧にも説明してくれた。
「…なんか、探偵みたいだね」
ふと思ったことを呟くと、師郎は目を丸くした。
「は? あの2人超バカだぞ? ぶっちゃけ俺以下だから」
「ちょっと気が散るから黙ってくれる?」
不意にコマイヌが振り返った。その黄金色の目はあの明るくおしゃべりな耀平のものではなく、むしろ獣のような恐ろしさが灯っていた。
その恐ろしい目に睨まれて、わたしは恐怖で沈黙したが、師郎は慣れているのか、すまんなと言うだけだった。
これ以上文句を言われるのは嫌だったから、わたしは黙って彼らの後を付いて行くことにした。

6

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑯

「”コマイヌ”、能力発動時はただでさえ目の色目立つんだからフード被れよ」
そう言いながら、ネロは彼のウィンドブレーカーのフードをひっつかんだ。
「あー忘れてた。でもお前の赤紫もめっちゃ目立つじゃん」
耀平、いいや”コマイヌ”が笑いながらフードを被った。
「そうだネロ、お前もちょっと手伝えよ」
何を思いついたのか、不意に彼は言った。
「は…あーはいはい、分かった分かった」
ネロは一瞬、意味が分からないという表情をしたが、すぐに理解したのかその目をあの時と同じ赤紫色に光らせた。
「んじゃ、行くぞー」
そう言って”コマイヌ”はおもむろに歩き出した。
その少し後ろにネロ、いや”ネクロマンサー”が付いて行った。
「そいじゃ俺たちも行くかーっ」
師郎のその言葉に、黎が微かにうなずいた。
「…ちょっと待って行くって…」
わたしはまた目の前でことがどんどん進んでいるせいで、混乱していた。
「ぐずぐずしてると置いてかれるぞ? アイツどんどん先へ行くから」
そう言って笑いながら師郎はコマイヌの背を指さした。
「そもそも彼…”コマイヌ”はどうやってわたしのストラップ探すの? 探す対象見たことないだろうし、そもそもわたしがどうやってここまで来たか知らないよね?」
思わずそう聞くと、師郎はちょっと驚いた。

3

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑫

「もう面倒くさいしいいじゃん、この通りベラベラ喋っちゃったし、そもそもある程度時間が経って定着しちゃったから、下手に記憶を奪えないよ。―記憶は人間の人格を、魂を構築する。それを下手に改変すれば、そいつだけじゃない…社会だってブッ壊す可能性があるんだ…」
どことなくこの言葉に、彼女が”ネクロマンサー”を名乗る理由があるような、そんな気がした。
「あ、そうだ―ちょっと聞いていい?」
わたしはふと、さっき聞こうと思ったことを尋ねた。
彼らの視線が、すっとわたしに注がれる。
「みんな仲いいけどさ…どうして?」
全員が、ほぼ同時に吹き出した。
「どうしてって…なぁ?」
「こうなってるのも多分縁とかってやつだろ?」
「そもそも、縁じゃなかったらこうも年齢層バラけないだろ?」
「それな」
薄々気づいてたけど、みんな歳違うの? じゃあなんで…
「この街異能力者多いもん…みんなここに集まっちゃうから、自然とこうなるよ」
ネロがショッピングモールの床を指さしながら言う。
「ここ結構田舎だからな~どーしてもここに…」
「学校のヤツに出会った時が一番嫌だ」
「それな、おいおいどこの誰だよとか聞かれそうだしな…」
またわたしのことを放置して話を進めているから、わたしはさっき気になったことを質問する。

2

No music No life #8 アディショナルメモリー

結月視点

翌日、時雨ちゃんがあまりにも喋らなかったので、話しかけてみた。すると、突然、怒り出した。「なんで!なんで、涼香が死ななきゃいけないの!なんで、結月じゃないの!」あまりにも突然だったのと、目も、表情も、怒ってはいたが、
いつだって、時雨ちゃんの瞳の奥にあったはずの優しさは、なかった。まるで、機械のように、取ってつけたような表情をしていた。
僕はそんな時雨ちゃんを、突っ立って見ていた。そして、同様に、時雨ちゃんの異変に気づいて美月と玲が時雨ちゃんをなだめていた。すると、突然、時雨ちゃんは倒れた。その後、医務室に運ばれた。
僕達は、時雨ちゃんについて話していた。
「何があったんですかね?時雨さん。」
不安そうに、美月が言った。
「でも、一つ言えるのは、結月さんに怒っていたということですね。」美月に続けて玲が言う。

「でも、時雨ちゃんは怒ってなかったよ。」
僕のその言葉に二人は目を見開いた。

【続く】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私、イカとにゃんこは先週金曜日、無事に小学校を卒業しました!ここまで頑張ってこられたのは、みなさんのおかげです!ありがとうございます!そして、これからもよろしくお願いします!


5

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑪

「…一応黎はちゃんと喋るからな」
驚きが顔に出ていることに気付かれたのか、師郎が真顔で言う。
黎自身は喋れないとでも思っていたのかと言わんばかりに冷たい視線を送ってきた。
「…なんか、すごいね…わたしなんかよりもずっとすごい」
「いや別にすごくなんかねーよ。某マンガや某アニメや某ラノベに出てくるヤツよりずっと地味だし、第一日常生活やっていく上では出番あんまないし」
わたしの誉め言葉に、耀平は苦笑する。わたしはそうかなと首を傾げた。
「なんだかんだ言って1番実用性あんの黎じゃね? 暗視効果なら暗い中でも便利じゃ…」
「現代社会生きる上ではあまり出番ない。あっても停電時。ぶっちゃけ師郎のが1番役立つだろ… 逆に実用性1番ないのは多分ネロの」
「ちょ、黎それはヒドイよ!」
師郎の発言を否定しながら、しれっと毒を吐いた例に、ネロは抗議する。
「んなこと言ったら1番使用率低いの耀平じゃん? ボクはちょいちょい『他人に能力使ってるとこバレたから証拠隠滅してくれ』って頼まれるけど、耀平のその能力はあんま使い道ないじゃん!」
「あるわ! 落とし物したときとか… あとさネロ、今回は自分の証拠隠滅忘れてるぞ」
多分わたしのことを指摘され、ネロは頬を膨らます。

4

雨の中

「…」
日本の夏は結構雨が多い。地域によっては違うけど、最近は地域に限らず本当によく降る。俗にいう、『ゲリラ豪雨』ってやつである。
あいにく、今自分はゲリラ豪雨に遭っていた。残念ながら折りたたみの傘すらない。
家まではそれなりに距離がある。別に誰かの傘に入れてもらうことは最初から考えていない。―そもそも、そんな友達などいない。
だから濡れても構わない、と豪雨の中を歩いていた。
でもさすがに雨のせいで風邪をひくのは嫌だから、普段通らない公園を突っ切る近道ルートを歩いていた。
あたりはもう暗いけど、公園の街灯でわりと明るかったし、―これぐらい暗くても、十分あたりは見えるから、困らない。
こういう時ばかりは、こんな自分でよかったなとちょっとだけ笑えた。もちろん心の中で。
ただ夜目がきくんじゃない―暗くてもほぼ平気なのだ。でもこんなことができるのはこういう”人がいない”ところだけ。
そういうことを考えながらぼんやりと歩いていると、後方から人が走ってくる音が聞こえた。自分と同じように、傘を持っていないから濡れたくなくて走っているのだろう。
近付く足音を聞きながら、パーカーのフードを深くかぶりなおした。
足音が近づき自分を追い越す、そう思ったその時―
「―ほい」
不意に、後ろから呼び留められた。ちょっと振り向くと、そこには小柄な少女がいた。
「…」
少女は真顔で折りたたみの傘を突き出している。
「…使いな」
「…」
「遠慮はいらない。この通りこっちには傘あるし…明日回収するからさ」
少女はちょっと笑って自分が持つ傘を傾けた。
こういう時は受け取るべきなのか―困惑していると向こうからもう1つの足音が。
「おい、急に走り出すなよ… 誰こいつ」
少女の友達らしき、走ってきた少年がチラッとこちらを見た。
「誰だか知らない…でもかわいそうでしょ? 傘ないし」
少女はなぜか面白そうに笑った。
「まぁそうだな… てかお前、早く帰らないと親にまた怒られるぞ?」
「はいはい分かってます~ それじゃあね、ちゃんとそれ回収するから」
少女はこっちに傘をやや強引に押し付けると、向こうへと歩き出した。
「あ、おめ…じゃ、気を付けて…」
少年はこちらにちょっと会釈してから少女を追いかけた。
あの2人にも、自分と同じような匂いがした。

4

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑩

細かく説明されると逆に意味が分からなくなる。困り果てたわたしに気付いたのか、耀平が補足してくれた。
「ま~どうやら人とかって一瞬でも1つの場所に留まってると、記憶というか感情ていうか…その手の”何か”を残していくんだってさ。それがこいつには見えるらしい」
へぇ~とわたしはうなずいた。
「じゃ、耀平や師郎は? 何か持ってるの?」
その何気ない質問に、ネロは眉を寄せた。
「…それも聞くのかよ」
「え、だって気になるじゃん」
まぁまぁまぁと耀平はネロをなだめた。そしてわたしに向き直る。
「おれのは―おれのヤツは”コマイヌ”っつーんだけど、『モノや人の行動の軌跡が見える』能力」
へーすごいじゃん、思わずそう呟くと、本人は少しわざとらしく照れた。
「で、俺のが『他者から見た自分の姿や聞こえる声を違うモノに見せたり聞こえさせたりする』能力。ま、要するに『他のモノに化けてるように見せたり聞こえさせたりする』能力だよ。―そして能力者としての名前は”イービルウルフ”。それで―」
師郎に続いて口を開いたのは、なんと―
「―『暗闇の中でも昼間と同じくモノを見ることができる』能力、要約すれば『暗視』がオレの能力。もう一つの名前は”サイレントレイヴン”」
急に黎が喋りだしたから、わたしは肝心の話の内容を理解できなかった。

7

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑨

「あの~…」
わたしのこのつぶやきに、師郎が反応した。
「あぁ、黎のことだろ? アイツ元々そんな喋んねーから。だろ?黎」
当の本人は無言でうなずいた。
「元々そーゆー奴だからねー黎は。分かっててボクらもやってるしー」
ネロは黎の方を見る。彼らはかなり仲が良いようだ。
「…とりあえず、異能力のことは大体分かった、かも…」
「うそこけ、本当は全然だろ?」
ネロはわたしをちょっと睨みつける。まさにその通りだった。
「とりあえず、異能力は生まれつきとかじゃなくて後天的なものであることと、発動すると目が光ることは分かった」
おかげで、初めて会った時と今でネロの目の色が違う理由が分かった。
「…でさ、ネロの能力は、『記憶を消すこと』?」
ふと思ったことを尋ねてみた。
「あれはボクじゃなくてネクロマンサー。『記憶を消す』というよりかは『記憶を奪う』が正しいかな」
「え それってすごくない?」
わたしの反応に、ネロは冷たく返す。
「…別に異能力があってもなくても変わらないよ? あと補足だけど、ネクロマンサーの能力は『過去その場にいた人やモノの記憶や、今いる人やモノの記憶を扱える』能力」

2

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑧

「…そしたらさ、異能力はどうやって引き継がれるの? 生まれつきとか…そんな感じ?」
この質問に、耀平が吹き出しかかった。
「あ~っ、もしそうだったら異能力なんぞ常人も知ってるハズだぞ~」
え、とわたしはちょっと思考停止した。じゃあどうやって…
「異能力っつーのはな、大体10歳前後で発現するんだよ。しかも、急じゃなくてジワジワとな~」
師郎は笑いをこらえながら言う。だが隣にいる黎は無表情だった。
「最初はなんか変だなって思ってたケド、完全発現して記憶が一気に来てから納得したー」
「あーそれな! でもさ、記憶が顕れる時結構キツくね? おれ気持ち悪くて仕方なかったー」
「ほんの数秒だけどヤバいよなあれ。けど、目が発光してんのに気付いた時が何気怖い」
「あ~あれはね~。でもボクはそれに気付いた時に記憶来たから、うん、平気だった」
「いいな~、俺はさ、友達になんか一瞬目が緑っぽかったって言われたからマジ怖かった」
「発光する目って一目で発動してるか分かるけど、地味に困るよな」
いつの間にか3人は、わたしそっちのけで雑談を始めていた。が、わたしはふと、黎だけが彼らの会話に入っていないことに気付いた。

0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑦

「”メモライザー”ってどういう意味?」
「それも聞くのかよ」
耀平が嫌そうに言う。説明が面倒だからだろうか。
「”メモライザー”って言うのは、ボクら”異能力者”は、前に同じ能力を持っていた人間の記憶を引き継ぐから。だから、”記憶する者”で”メモライザー” 」
…まぁそんな風に言う人はほぼいないんだけど、とネロは付け足す。
「ふーん…そういえば、ネロが言っていた”力”って、”異能力”?」
わたしがそう聞くと、ネロはちょっと舌打ちした。
「あれ言ってたのは”滋賀禰蕗”じゃない。”ネクロマンサー”だ。」
ネロの言っていることがよく分からない。どう考えても同一人物なのに、別人扱い?
「あ~、異能力者っつーのは、能力発動すると自分が意識する”自分の名前”が切り替わっちゃうんだよ~ 何でだか知らないけど」
耀平が慌てて解説する。要するに、異能力を発動している時と、していない時では、”同じ自分”だけど、”違う存在”になるということ? 全く意味が分からない。
「どれだけ多くの人に”力”が引き継がれても、異能力者としての名前は絶対に変わらねぇんだ…”力”は記憶そのものだ」
師郎はそう言ってにやりと笑った。時間をかけてなんとなく理解できたけど、ここで新たな疑問が。

2
0
0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ①

寿々谷市には、正直言って学生が遊べるようなところは非常に少ない。
遊べるところといったら―例えば寿々谷駅近くのショッピングモール。
寿々谷駅から徒歩5分のところにあるショッピングモールには、週末になると多くの学生が集まる。
わたしだってその1人だ―だが残念ながら、一緒に行けるような友達はいない。
中1の最初のうちは、少ないながらも友達はいたのだ。―だが、いつの間にか、わたしは1人になっていた。
中2になってもその現状は変わらない。自分なりに努力してるはずなのに。
どうにか周りの人となじもうとするけれど、上手くいかない。
おかげさまで、学校は楽しいと感じないし、部活も完全にサボっている。
誰からも相手にされないから、誰も自分のことを必要としていない。むしろいなくても変わらない。自分の存在意義はないと信じるようになっていた。
でも、そんな自分にも、わずかな楽しみというか―習慣がある。
それは毎週末、ショッピングモールにある本屋に通うこと。
別に商店街の本屋でも良いのだが―ショッピングモールの本屋のほうが大きく、品揃えも豊富だから、よく通っている。
本を買うことは少ないけれど、気になった本を立ち読みしたり、ただただ棚を眺めたりしているのが結構楽しい。
今日は珍しく気に入った本があったから、レジで精算を済ませたところだ。
店員から袋を受け取って、本屋を出て、ショッピングモールの出口に向かおうとした時、わたしはふと足を止めた。

0
3
0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 1.ネクロマンサー ②

真っ黒なパーカーで、そのフードをしっかり被った少女。
下はデニムのショートパンツと黒タイツ、そしてありふれたスニーカー。髪はギリギリ肩につかないぐらいの長さだ。―だが、その目は恐ろしく鮮やかな赤紫色だった。
「…なに」
暫くの沈黙ののち、”死に神”は問いかけた。その声からは警戒心が剥き出しだった。
「あ、あの…”死に神”さん、ですよね?」
恐る恐る尋ねると、”死に神”は舌打ちし、立ち上がってこう言った。
「ごあいにくだけど違うね。そもそも、神なんてこの世に存在しない。いたらここまで酷い世界にならなかったハズだよ?」
このときわたしは驚いた。”死に神”は、わたしよりも頭一つ分背が小さいのだ。「じゃ、じゃあ…何なの?」
”死に神”の口調に気圧されて、わたしの声は震えた。
「何って…聞きたいっていうのかい?」
わたしは深くうなずいた。”死に神”じゃなければ、何なのか。
「…ボクは”ネクロマンサー”、和訳すると”死霊使い”」
”ネクロマンサー”はそう言って両腕を広げる。 
「ネクロ、マンサー…」
「そうさ、都市伝説上の存在じゃない。第一、どっかの誰かさんがボクを見て”死に神”だと思っただけなんだろう?」

2
0

すべての受験生にエールを込めて

「…どうした?」
「…」
「…まさか、泣いてる?」
「んなわけあるか‼ でも、」
「…でも?」
「…すっごく、緊張する」
「いやおれも緊張してるって」
「落ちたら約束守れないじゃないデスカ!」
「…まぁな」
「なんでそんなサラっと言えるんデス⁇ 普通…」
「まぁまぁまぁ」
「…落ちたくないデスよ」
「うん」
「…怖い。落ちたら、ボク…」
「…行こ」
「へ?」
「まだ時間あるけどさ、余裕もって行こう」
「…そうデスね」
「とりあえず、行こう。それで、ふたり一緒に合格しよう」
「…うん」
「あ、でも、合格したら…何します?」
「え、えーと~」
「卒業までの短い時間、エンジョイしましょ」
「あ、あとさ、久しぶりに互いの家行く」
「あ、それいいデスね!」
「よし、決まりだ!」
「ハイ!」
「…そういや、」
「?」
「ここでこーんな会話繰り広げてるおれたち、周りの受験生から見たらさ…ただのバカップルにしか見えなくね⁉」
「あぁ~っ‼ ボクら付き合ってないのに! ただの親友なのに‼」
「ほら行くぞ~」
「あぁ待って! 置いてかないで!」
「置いてかねーし。そもそもこーなるからバカップルに見えんだよ」
「ぅ… もう、ほら行きましょ!!」
「おうよ」
「絶対合格」
「しなきゃな」
「うん‼」

これ見てちょっとでも多くの受験生が元気出してくれたらいい。皆さんの健闘を祈ります。そして、自分も。

5

No music No life #6 フィクサー

結月視点



数日後、僕の裁判が行われた。3人が証人になって、面会の日に僕に言ったことを証言してくれた。
だが、美月は僕にも言ってなかったことがあったらしい。それは、「橘副司令、あなたは、ライフルの名手、川上春樹なのではないですか?」
美月が言った瞬間に、辺りがざわめき始めた。
春樹は笑いながら、「よく知っているね。さすが、俺の妹だ。」そう、言い放った。
「私は、もうあなたなんかの妹じゃない。」
美月と春樹の口論になってきている。
そして、美月が
「あなたでしょう?涼香さんを殺したのは。」
と言うと
「ああ。そうだよ。悪い?」
春樹が返した。
「お前!」
美月が言うと同時に、時雨ちゃんが美月を止めた。そして時雨ちゃんは、
「裁判長、これで分かりましたよね?
高嶺涼香を殺したのは、川上春樹です。
これで、御影結月の無罪が証明されましたよね?」と言った。
そして、裁判長は、
「これより、判決を言い渡す。
被告人御影結月は、無罪である。」
この言葉により、僕は釈放、関係者の人に、めっちゃ謝罪された。人が、自分にヘコヘコ謝ってるのってなんか、こっちにも、罪悪感が芽生えてくる。
けれど、僕は、体調不良で、涼香が殺されたショックで精神疾患になりかけていたため、入院した。


【続く】
—–———–———–———–———–———–——–––
私、イカとにゃんこは、志望校に合格できました!なので、これからもガンガン書き込んでいきます。
これからもよろしくお願いします!

イカとにゃんこ

0

死にたがりのお人形 第一弾

びゅーぅびゅーぅと、高層マンションの屋上には、風が吹いています。
日が暮れる頃、空が紫色になる頃―その屋上に人がたたずんでいます。
―都会の光は、綺麗ね―
その人はぼんやりと思いました。
(ここでなら、―)
「…おい」
その人に誰かが話しかけます。その人が振り向くと―
「…よぉ」
白い狐の仮面を被った少年が、ポツンと立っています。
「なんの御用かしら」
その人は尋ねます。
「―まさか、死ぬのか?」
唐突な質問に、その人は動じません。
「初対面にその物言いとは、随分と命知らずね」 
「別に? 俺もぶっちゃけ言うと、消えに来た」
狐の仮面がそう吐き捨てます。
「あらそう? 私は、ただ高いところが好きでここにいるの」
その人は言います。
「ふぅん」
尋ねる側は興味をなくしたよう。高いところが好きなその人は、会話が続かないのがつまらなく、不機嫌そうにこう尋ねます。
「あなた、なんていうの? 名前」
「フン、名乗りたくもない。名乗るとしたら霊狐(レイコ)とでもいうか?」
「…そうね。確かに、狐の仮面を被っているし」
霊狐の顔は見えませんが、何となく、にやりと笑ったのがわかりました。
「そういうお前は?」
「あなたが、実名を名乗らないなら、私はおあいこで、朱鷺(トキ)と名乗りましょう」
「ほう…」
霊狐は感嘆します。
「一つ聞きますが、あなたは人間ですよね」
「当たり前だ。仮面をつけているのは、ここで消えた後、すぐに身バレしたくないだけだ」
「あらまあ…」
「もう暗くなるぞ。帰れよ」
「あら、あなたは消えないのです?」
「お前と話したら、消える気が失せた。だから帰る」
霊狐はくるりと踵を返してエレベーターへ向かいます。
長い髪の少女朱鷺は、不思議な笑みを浮かべながら、霊狐のあとを追いました。

はい。フッと思いついた小説です。日常系のお話です。しばらく続きます。ちなみに彼らは本名を語りません。次回は…いつ書くか未定。忘れたころかも。今月・来月は、きっとない(笑)

2

Advent the greeting of writter ~作者からのごあいさつ~

26日まで連載(投稿)していた小説の、あとがきみたいなものです、コレ。ホントは昨日投稿するはずが、書き込み確認へボタンを押したら、書き込み吹っ飛びました…だから今日書き込んでます。「Advent」という物語は、クリスマス(12月25日)に開催される、「クリスマスフェス」という架空の音楽イベントに向けての日々を、6人の中3男女の視点で描いた、わたしのちょっとした思い付きからできた物語です。全31回(実質は全25話。第25話はそれぞれの視点⦅side R/Sa/I/Y/Su/K⦆の6回とホントのホントの最終回に分かれている)で、12月1日~12月25日まで毎日投稿!のつもりが、最終回は26日に投稿しちゃいました(笑)。まぁこの物語を投稿して分かったことは、自分には計画性ってないな!ってことです… でも書いてて楽しかったな。物語が進むにつれ、キャラにどんどん血が通うようになっていくというか、自分の意志を持って動くようになったというか…彼ら・彼女らは、1人の人間になったんですよね(笑) 物語の中のキャラクターじゃなくて、我々と同じ人間… ちなみに!各主人公の名前は、クリスマスや冬に関係する言葉にしていて…紹介するとこんな感じ↓
・柊リイ(ひいらぎりい)→クリスマス飾りのリース⇒リースからスを抜いてリー
=リイ。柊(ひいらぎ)もクリスマスの飾りから。
・十文字参太(じゅうもんじさんた)→サンタクロース=サンタ⇒漢字を当てて、参太。十文字はキリスト教から(クリスマスはもともとキリスト教の行事)。
・栗木イチゴ(くりきいちご)→イチゴはクリスマスケーキに載ってる苺から。んでもって、クリスマスケーキを無理やり省略・当て字で栗木。
・郡雪夜(こおりゆきや)→雪の夜で雪夜(ホワイトクリスマス。ちなみに彼の住む町は雪国)。郡(こおり)は、氷の当て字。
・神宮寺鈴(じんぐうじすず)→クリスマスソング⇒ジングルベル⇒ベル=鈴。ジングルベル⇒ジングルをもじって神宮寺。
・入間コウ(いるまこう)→イルミネーション⇒イルミ⇒当て字で伊留美(初期設定)⇒もじって入間(いるま)。イルミネーション⇒光⇒音読みでコウ⇒違う字を当てて洸⇒カタカナ表記でコウ。
とりあえず、「Advent」って物語は完結しましたが、彼ら・彼女らの人生はこれからも続いていきます。読んでくれたみんなありがとう! 

0

Advent 12/25 PART1

「…あ、来た来た!!」
「えマジ⁈」
「来なかったら困るでしょ」
なかなか来なかった人物が、やっと姿を現して、みんな騒ぎ出した。
「おーい!」
遅れた本人は、笑いながらこっちへ走ってくる。人混みでうまく進めてないけど。
「遅いぞ参太」
「ほんとゴメン。やっぱりこの人混みキツイよ…」
遅れた本人、参太はちょっと息切れしている。多分慌てていたのだろう。
「あ~、わかる。これはキツすぎるよね」
「東京の通勤ラッシュはこれ以上もあるぞ~」
「うわ! じゃイチゴ東京に生まれなくって良かった!」
「あれだったら雪夜にでも守ってもらえばいいじゃん」
「ええええええ! そういうこと言わないでくださいよ鈴!」
「ごめんごめん~ だって一緒にここ来たし」
「…」
全員がそろって安心したのか、雑談が始まった。
「移動時間どれくらいかかった?」
「2時間とか…」
「私30分~」
「いいなぁリイ、こんなに近くって」
「逆に長いほうがよくない?」
「おいおい、コウあんた開き直ったのか~」
「あ、でも移動時間長くても短くても、楽しめるっちゃ楽しめるか」
「そっちが開き直んのか」
あきれる参太、笑うリイ、何も言えないコウ。
「あ、そーだ。クリスマスプレゼント持ってきたんだけど」
「え見せて!」
「ほら、ちゃんと全員分作ったんだよ~」
「えカワイイ!」
かわいいモノに飛びつく女性陣。対して男性陣は
「…女子だね」
「当たり前だけど?」
「あ、わかった。うらやましいんだろ~」
「そんなわけないし!」
「あ、男子分もあるよ~」
「おう、サンキュー!」
男性陣は男性陣でプレゼントを受け取った。中身は手作りのストラップ。イチゴが勉強の合間を縫って作ったもの。
「ふーん、よくできてる」
「そのリアクションつまんな!」
「別によくね⁉」
「まーいいから、いいから」
よくわからないツッコミの応酬を続ける2人を、リイはなだめた。
「あ、写真撮ろうよ!」
「いいね!」
「去年も同じこと言ってたぞイチゴ」
「え~別にいいじゃん」
「とにかく撮ろっ、ライブ始まっちゃうし」
「でもどうする? 誰かに撮ってもらうのか?」
「あー…自撮りで!」
「じゃ、あたしがやるよ。一番腕長いのあたしだし」
「何その自慢~」

0
0

Advent 12/25 side Y

いくら東京とはいえ、自分家の近所とはここはえらく違っていた。
とにかく人が多い。あと建物が多い。建物の規模も全然違う。
初めてクリスマスフェスに来た時、その何もかもに驚きっぱなしだった。
2回目だから、そこまで驚かないけれど、相変わらず人の多さには引いていた。
会場は混んでいるし、ついでに自分は道に迷いかけてるし…
せっかく手に入れたマップもなくしてしまって、もはや八方塞がり。
途方に暮れながらも、どうにか集合場所へ向かおうとあがいていると、
「…」
ふと視界に、見覚えのある人影がうつった。人影はすぐにどこかへ走り出そうとしたから、誰かまでは分からなかったけれど、そのときにぽとり、と帽子を落としていった。
「…これ」
手に取った帽子は、明らかに見覚えがあるものだった。でも、どこで…
「!!」
思い出した。これ、去年も拾ったんだよ。目の前で落としていったから。
そう、その持ち主は―
「あの」
考えるより前に、体が動いていた。
振り向いたその人は、僕を見て目を丸くしている。
「これ…!」
「あ!」
あちら側は興奮して叫んでいた。
「あのときの、あのときの…!」
「そうそうそうそうそう!」
「あ、でも待って、名前は…」
「え嘘、忘れた⁈」
想定外の事態。相手側が名前をド忘れしてるなんて、ちょっとひどい。あの6人の一人なのに⁈
「…名前は、」
「雪夜。」
よかった、思い出してくれたみたい。にしても、よく忘れてたな…
「早く行こっ!」
「もちろん!」

ラスト、書き込む側も大興奮です…(なんなんだ自分)

0

Advent 12/25 side Sa

「次は~東京、東京~」
普通は聞かないようなこのアナウンス、あの時決死(?)の作戦を遂行しなければ、こうして聞くことはなかっただろう。
新幹線を降り、混み合うホームをかき分けかき分け、やっとのことで改札についたとき、その外によく知っている顔があった。
「ようこそ、東京へ~」
「聖名(せな)…」
皮肉めいた笑顔を浮かべる大学生の姉に、おれはため息をついた。
「お母さんが、参太一人じゃ心配だからついて行ってあげて、って頼まれたアタシが、わざわざ迎えに来てあげたんだからね~ 感謝なさい」
「へいへい」
感謝なんてするかよ、とおれは口をとんがらせた。
「そういえば、お父さんとかお母さんとか、おじいちゃんとかおばあちゃんとか、元気? あとネコのクリスも」
クリスとは、聖名が家で可愛がっていた白ネコだ。
「みんな元気だよ」
おれは素っ気ない返事をした。
「なら、よかった」
聖名は、冨院、地元が恋しいみたいなことを電車内で言ってたけど、おれはほぼ聞いていなかった。
頭にあるのは、みんな、無事集まれるかどうか、それだけだ。
「つぎは~」
「あ、次降りるよ~」
アナウンスを聞いて、聖名は言った。ああ、もうすぐなんだ、とおれは思った。
あと少しで、みんなに会える。

え~、悲報です。最終回「12/25」は、今日中に書き込めないことが確定しました。ごめんなさい…

0
0

Advent 12/24

遅れちゃってて、確実にツッコミくらうだろうけど、最終回の一話前! スタート↓!

今日は、12月24日、クリスマスイブ、今年は天皇誕生日の振り替え休日。
いつの間にか、25日が―クリスマス当日が、迫ってきていた。
明日はクリスマスフェス、なんとか俺も親から許可をもらって、行くことができる。
そういうことを考えながら、駅前の塾に向かっていると、
「よっ!」
「先輩なんでここにいるんです?」
「友達と待ち合わせ」
「ああそうですか」
相変わらずのご登場。去年まで、同じ部活の先輩だった光ヶ丘先輩。
「どこ行くの?」
「塾です」
「あそ、じゃ頑張ってね~」
ちょっと待て! 普段は立ち去ろうとすると意地で止めに来るのに、なんで今日に限って止めに来ない!?
「え、それだけ?!」
「…いや塾あるんでしょ? ちゃっちゃか行かないと…」
「…」
思わず沈黙。裏がありそうだけど、この人のことだから、なさそう。
「ウチさー、去年の今頃そーとーヤバかったんだよね~。一秒も惜しかったぐらいにさー」
このセリフで、ふと思い出した。少し前の先輩からの質問、まだ答えていないはずだ。
「…先輩」
「?」
「志望校の話なんですけど…」
「?、どこにした?」
先輩の顔見て気づいた、この人、1週間前のセリフも忘れてるっぽい。
「もしかして自分が後輩に志望校聞いたこと忘れてます?」
「あ~、えーとえーと… あったっけ?」
あーあ、案の定忘れてる。まあ忘れっぽいトコが後輩から好かれてるんだけど。
「やっぱり忘れてるんですね」
「とにかく! どこにしたの?!」
先輩は、自分の失敗を隠そうとするかのように、こっちの発言を促してきた。
「…耀(かがや)」
「え、え?! えマジで?! ウチんトコ…え、ちょ、ま…なんで?」
「なんとなく、です」
別に理由なんてものはない。なんとなく雰囲気がよかっただけだし、先輩と同じなのはたまたまだし。
「えーえー、え、なんか嬉しい…!」
先輩はちょっと興奮気味だ。そこまで喜ぶ…?
「そろそろ時間なんで、失礼しまーす」
「あ、じゃーねー」
塾に行ってから気づいたけど、どうやらさっきのやり取り、同じ吹奏楽部員たちに見られてたっぽい。…あそこで話すんじゃなかった…