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世にも不思議な人々⑩ 不審者は良い人その3

不良BとC、逃げようとするも再び展開された例のバリアに阻まれ諦める。
若者「ところでよォ…。ライターってさ…。火炎瓶に似てないか…?中に燃料が詰まってて、火をつけるためのアイテムってところがさ」
そう言って、若者さんコートのポケットからライターを取り出す。
不良A「……は、はい?」
若者「あ?誰が話して良いっつった?」
不良A「す、すいません……」
若者「『すいません』たァ何だ!キチンと『すみません』って言えや!……まあ良い。さて、ここにライターがある。火をつける。それを……」
若者さん、不良にそのライターをぽいと投げる。
不良A「え…?ひ、ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!」
不良、一瞬で大炎上(物理)。
私「あ、あの!」
若者「あぁ?…と、君か。すまないね、怖がらせるような返事をしてしまって」
私「いえ、そろそろ勘弁してあげたほうが…」
若者「むー…。君が言うならそうしようか」
若者さん、今度はコートのポケットから小さな折りたたみのバケツを取り出す。
若者「さて、最後の手品だ。5秒ほど待て。5,4,3,
2,1,はい、満水になった。すごいだろ」
そう言って水を不良にバシャッとぶっかける。不良についた火は無事消火されたものの、ショックで気絶した模様(残り二人も同様)。
私「こんな物騒な出来事100%トラウマなるので記憶は消しておきましょう」
若者「そんなことができるのか?」
私「できます」
若者「記憶の操作とかその手のやつか?」
私「いいえ。それも出来るってだけです……完了しました」
若者「へえ。お疲れ様。…一体どういう能力なんだ?」
私「『メトロポリタン美術館』。『出来ると信じたことは何でもできる』能力です。微塵も疑っちゃいけないのです」
若者「何それ、万能過ぎんだろ……」
私「あなたは?」
若者「僕のは、『おもちゃのチャチャチャ』だ。『触れた道具によって不思議な事象や変化を起こす』能力だよ」
私「あなただって私に負けず劣らず多機能な能力じゃないですか。……じゃあ、あなたのは、『チャチャ』、とかですかね?」
若者「何それ?あだ名?」
私「ええ、まあ。そんな感じです」
若者「まあ良いや。気をつけて帰りなよ」
私「はい。ありがとうございました」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ⑫

「まぁ…ここ田舎だし、みんなここに集まっちゃうし…」
「これだから田舎は! もう…」
赤いウィンドブレーカーの少年 耀平はあきれ気味に呟き、ネロは地団駄を踏んだ。
その後ろにいる師郎は苦笑いするばかりだったし、黎は相変わらず沈黙し切っていた。
「…つか、なんでまた異能力者と一緒にいるの? 関わらない方がいいって言ったハズだよねぇ?」
ネロは怪訝そうにわたしの顔を覗き込む。
わたしはちょっとびっくりして思わず後ずさってしまったが、1つ自分の中で引っかかるものに気付いた。
「待って、どうしてセレンさんが異能力者ってこと知ってるの? もしかして、知り合い?」
さすがにそうだったら嫌だな~と思いながら、わたしは彼らに尋ねた。
「いや、別に、アタシはこの子達のことぜーんぜん知らないよ? てかこの子達が、キミが異能力を知るキッカケになった子達?」
セレンさんは明るく笑いながら言う。
「ちょ、お前ーーーっ! ボクらのこと人に話したな⁈ マジ許さ」
「待て待て待て」
自分たちのことを他の人に話されたことが癇に障ったのか、ネロはわたしに飛びかかろうとし、耀平はそんな彼女を慌ててなだめた。

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悪友 2.ハー ポイント オブ ビュー

「悪友、ねぇ…」
私は彼の言葉を反芻する。
「確かに、よくヒドイ言葉をぶつけあったり、互いにイタズラを仕掛けたり…そういう意味では、”悪友”はピッタリね」
「そうだろう?」
鮮やかなコバルトブルーのウィンドブレーカーを羽織っている彼は、そう言って歩き出した。
「…そうだ、面白い話教えてよ」
私は、彼の後ろに付いて行きながら言う。
「お前はお前で面白い話とかがあればしてやってもいいが」
「それがあいにくないのよ」
「フン、じゃ無理だな。俺のモットーは等価交換なんで」
そう言って彼は後ろを向くと、にやりと笑った。
彼は知り合いが非常に多く、常にたくさんの、色々な人の話を持っている。だからよく、情報屋みたいなことをしているのだ。
「…代わりにジュース1本ぐらいはおごってやるわ」
「そんなんじゃ俺は乗らないぜ」
彼はそう吐き捨てた。でも私はここで引きはしない。
「じゃあどっかの誰かさんと、ココアシガレットとサワーシガレットのどっちが素晴らしいかで小競り合ったとか言う話を言いふらされてもいいの?」
「うぐっ…」
彼の余裕そうな顔がゆがんだ。私は得意げに続ける。
「どうする?」
彼は数秒考えこんだが、すぐに口を開いた。
「しゃーねぇ、ジュース1本プラス俺のオヤツ代おごれ」
「OK、でもおやつは500円以内まで」
厳しいなぁ、てかアニメの中の小学校の遠足かよ、と彼は苦笑いする。
「…で、何の話がいい?」
「別に何でもいいわ。とにかく聞かせて頂戴」
私は、よき悪友に駆け寄った。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ⑩

彼女はうつむきがちに苦笑した。
「”周りに影響を与える”系の能力は下手すると周りに滅茶苦茶な影響を与えちゃうから… いつの時代も、そのせいで自滅する異能力者がいるんだけど…ま、それを防ぐために”記憶の継承”が起こるんだろうね」
”過去に同じ能力を持っていた人間の記憶を引き継ぐ”―異能力者たち共通の特徴が存在する理由が、分かったような気がした。
「…やっぱり、すごいですね、異能力者は…」
「そぉ? アタシにとっては当たり前のことだから、何とも思わないんだけどね~」
セレンさんは宙を見上げながら呟く。その目にはきっと、わたしとは違う風に世界が見えているのだろう。
「…わたしも、異能力者の”当たり前”理解できたらなぁ…」
「なんで?」
セレンさんが、わたしのほうを見て首を傾げる。
「いや、もし分かってあげられたら、仲良くなれただろうな~って」
「…もしや、”異能力”を知るキッカケになった子?」
「あ、まぁ”子”っていうか…”人達”なんですけど…」
言いながらわたしは、ちょっと恥ずかしくなって下を向いた。
「仲良くできないってヤツ?」
「…そう、です」
ドンピシャすぎて、顔を上げる気にならなかった。

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No music No life #8 アディショナルメモリー

結月視点


涼香を家に連れて帰った日の夜。
様子がおかしかった時雨ちゃんの様子を見に行った。時雨ちゃんの部屋をノックする。でも、返事がない。
「時雨ちゃん?入るよ〜」
時雨ちゃんの部屋に入ったが、そこには誰もいなかった。そして、部屋の窓が開いていた。
綺麗な満月が見えた。そして、何か外の風景に違和感を覚えた。
気配を感じて後ろを振り返った。
すると、無表情で時雨ちゃんが立っていた。
「時雨ちゃん、何処にいたの?心配し((ドンッ」
言いかけた途端、時雨ちゃんが襲い掛かってきた。無表情のまま。



美月視点

時雨さんの部屋から物音がした。結月姉が時雨さんの部屋に行くと、言っていた。
急いで時雨さんの部屋に行ってみると、時雨さんが刀を抜いて結月姉に襲い掛かっていた。結月姉は鞘ごと時雨さんの刀を受け止めていた。
時雨さんの部屋が騒がしくなったことに気づいた玲さんが私と一緒に時雨さんを取り押さえてくれた。結月姉の方を見ると、少しだけ切られてしまったらしく、血を流していた。それでも結月姉は
ポケットから携帯を出して何かを検索し始めた。
その検索ワードは『AI洗脳 満月 暴走』だった。
その検索結果に結月姉は驚愕していた。


結月視点

時雨ちゃん。だからおかしかったのか。

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悪友 1.ヒズ ポイント オブ ビュー

昼とも夕方ともいえぬ時間帯、路地裏を歩く俺を、誰かが呼び止めた。
「あら、」
振り向くと、そこには長い髪を一つに束ねた長身の少女がいた。
「…フン、お前か。一体何の用だ」
「…別に用なんかないわ。たまたまアンタを見かけて話しかけただけよ…そう言うアンタは何してるの?」
少女はわざとらしく首を傾げる。その顔に浮かぶ笑みはいつになく憎たらしい。
「ちょっとコンビニにノート買いに行くところだ…お前は、塾にでもいくところか?」
俺は、彼女が背負うリュックサックに目をやりながら言う。
「ハズレ。友達ん家に遊びに行くところよ。…今思ったけど、アンタ、ホントはコンビニ行くついでに駄菓子屋にでも寄るつもりなのでしょう?」
「ぎくっ」
見抜かれた、と思った。やはりこの女を、俺は昔から騙しきることはできない。
「ふふふ、当たりね。どっちにしろ”ココアシガレット”のソーダ味バージョン買いに行くんでしょう? 私にはお見通しよ?」
「”サワーシガレット”な。いい加減名前覚えろ… てか、お前も行くんだろう? 駄菓子屋」
あら、お見通しなのね、と彼女はにっこり笑う。
「まぁな…お互いに色々お見通しなんだよ。そうでなけりゃこんな風に会話するようなことはなかろう?」
「そうね。一応私の方が年上だし、学校が違うのにこうやってお喋りできるのは、お互い似たようなものだからね…」
そう言い終えて、彼女はふっと目を細める。
「…こういうのを”腐れ縁”とかって言うのかしら」
それを聞いて、俺は違うな、と苦笑いした。
「…”悪友”が一番ちょうど良いな。…俺達は」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ⑨

「あの~、わたしが言うのは何か変な感じがするんですけど、…セレンさんの能力、上手く使ったら夢叶うんじゃないのかな…」
自信なくうつむきながらわたしは言った。
そんなわたしを見ながら、セレンさんは苦笑いした。
「まぁ、ね…確かに、”セイレーン”の能力って、上手く使えば人の注目集めて、有名になれるかもしれないけどさー…やっぱり、違うんだよねー」
セレンさんは、遠くの方を見つめながら続ける。
「結局さ、能力使って人の注目集めたとしても、それは”アタシ”じゃなくて、”セイレーン”の力なんだよねー。アタシ、”船戸 セレン”の力じゃない―歌手になりたいと願っているのは”セレン”だから、アタシの力で頑張らないと」
「…やっぱ、そうですよね…」
”使わない理由”は、なんとなく予想がついていたから、返答が思った通り過ぎて、聞いた自分にちょっとあきれてしまった。
「あと、”異能力”って、使い方間違えると危ないから…」
え、とわたしは思わず言った。どうして…?
「例えば、”セイレーン”。『周りの人の意識を集める』能力なんだけどさ、あんまり長時間使っていると、周りの人の”意識”がアタシに集中して、周りの人が周りの人自身がやっていることに対する注意が散漫になるでしょ? …色々事故とか、トラブルとか起こるかもしれないから、アタシも、”セイレーン”も、この能力はむやみに使いたくないんだ… ま、光る目が目立つから、ってのもあるけど」

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世にも不思議な人々⑦ 彼女らにも名前を

少女1「こんにちはー…」
キタ「おお、いらっしゃい。待ってたよー」
オータロー「あれ、確か……」
ラモス「あれだ。この間間違えて入って来た奴。……と、もう一人いるな」
少女1「こちら、私のお友達です。彼女も能力者なんですよ」
少女2「………」ペコリ
キタ「ああ、喋れないのか」
少女2『でも、こうやって会話できます。こちらからの一方通行ですけど』
キタ「へえ。面白い能力だ」
オータロー「え、何があった?」
ラモス「雑談はここまでにして話進めんぞ。今回はお前らに名前をつけようと思う」
キタ「つけるの僕だけどな。で、君、能力はどんなの?」
少女1「私のは、『メトロポリタン美術館』の能力で……」
少女1の能力『良イ?私ノ言ウ通リニ説明スルノヨ?』
少女1「えーっと………。『私ができると心の底から信じたことなら、何でもできる』、です」
キタ「ありがとう。そうだな……リータ。リータでどうだ?」
リータ「分かりました。それで大丈夫です」
少女2『ねえ、私は?』
キタ「そうだったね。何て曲なんだい?」
少女2『みんなのうたで、初めて流れたボカロ曲の「少年と魔法のロボット」です』
キタ「OK。じゃあ…、マホ。これで良い?」
マホ『はい!ありがとうございます!』
ラモス「案外とあっさり終わったな。何か話題ないか?」
オータロー「そうだな。今日来るとき見た変な奴の話とか?」
キタ「どんなの?」
オータロー「この暑いのに、コート着てフード被って歩いてた。流石に袖まくりはしてたけど」
マホ『えっと、不審者だね、ねぇリータ』
リータ「そうだね、マホちゃん。不審者だ」
キタ「不審者だね」
ラモス「不審者だな」
オータロー「これは新キャラか?」
キタ「真相はまた今度な。今日はもうお終い。解散!」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ⑧

「やっぱり、来てくれたんだね」
ライブが終わって周りから人がいなくなってから、セレンさんは自分の方に近寄って来たわたしに言った。
「まぁ…暇なんで…」
「暇って言ってられるのは今のうちだよ? 多分だけど」
セレンさんは、アコースティックギターをギターケースにしまいながら笑いかけた。
「そういえば…昨日、何聞こうとしてたの?」
「へ?」
わたしのポカンとした顔を見て、セレンさんは口を手で覆って笑った。
「昨日。アタシが時間だからって、会話が強制終了しちゃったでしょう? あの時、何が聞きたかったのかな~って」
「あ~っ」
そうだった、わたしは昨日、セレンさんに1つ聞こうとしたのだけれど、時間がなくてちゃんと聞けなかったんだっけ。
「じゃあ、聞いていいですか」
「どうぞ」
彼女はそうわたしに促した。
「…セレンさんって、いつもここでライブしてるんですよね?」
「まぁ忙しいから週1、2回ぐらいだね」
「もしかして、将来歌手とか目指してるんですか?」
「あ~、まぁね。本当になれるか分かんないけど。ここだけの話、家族に内緒でこういうことしてんだ」
セレンさんは恥ずかしそうに頭を掻いた。

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世にも不思議な人々⑥ 彼らとはまた別の人たち

私の住む街は、都会と言うほど発展している訳では無いですが、田舎と言うほど未開でもない、近くの都市のベッドタウンです。
子供の遊び場はもっぱら、駅近くのショッピングモールか、噴水のある大きな公園。気候は温暖で治安も良く、人々はみんな優しい、そんな平和な街です。地元であるのを差し引いてもかなり良い所だと思います。
この間、男の子が二人、とんでもないスピードで追いかけっこしているを見ましたが、特に変わったところもない所です。
しかし、事件は無くても事故はあるようで、目の前で私と同じくらいの歳と思われる女の子が、トラックに轢かれそうになっているところに遭遇してしまいました。何とか助けられないかと考えていると、頭の中に声が聞こえてきました。
『ネェ貴女、願イガアルデショウ?』
(はい?ああ、はい。あの子を助けたいです。けどここからじゃ間に合わない……)
『大丈夫。私ノ力ヲ貸シテアゲル』
(力?)
『イメージシテ。貴女以外ノ全テノ時間ガ止マッテ、貴女ダケガ自由ニ動ケルノ』
三日前に読んだ漫画に、時間を止める能力者が登場していたので、それは簡単でした。ちなみに私は、少年漫画も好きです。
『イメージシタラ、後ハ信ジテ。貴女ニハソレガデキルト』
こんな不思議な事は中々無いものですから、すんなり信じてしまいました。すると、頭の中に聞き覚えのある楽しげなメロディが聞こえてきて周りのあらゆるものが止まりました。
そして件の女の子を歩道まで引きずり、これで安全とため息を吐いた瞬間、また周りは動き出しました。
『ありがとうございます。あなたが助けてくれたんですよね?』
「うん。……あれ?」
助けてあげた彼女の声は、さっきの声みたいに頭の中に直接聞こえてきました。
「……どういうこと……?」
『あなたも能力者なんでしょ?私にも力があるんだけど、頭に聞こえる曲は、NHKみんなのうたで初めて放送されたボカロ曲、「少年と魔法のロボット」。能力は、自分から相手への一方通行のテレパシー。あなたはいったいどんな能力なの?気付いたら歩道に瞬間移動してたけど』
「えーっと、私の能力は…」
『貴女ノ能力ハ、自分ガデキルト信ジタコトヲ現実二デキル能力ヨ』
「できると思えばできる能力……?」
『アハハ、何それ!』
彼女は障害で話せないんだとか。ちなみにお友達になりました。

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名前をつけよう

少年「あれ、ここどこだ」
青年「詳しくは上を見てもらえれば」
少年「メタいこと言ってますな」
不良「おい!何だここ!何で俺縛られてんだよ!ほどけー!はなせー!」
少年「あ、起きた」
青年「まあまあ落ち着き給えよ。実はかくかくしかじかでして」
不良「ああ、そういうことかよ。けど何でわざわざそんなことを?」
青年「呼び合うとき不便だろ」
少年「現在の役名はだいぶテキトーですしねえ」
不良「じゃあ最初から名前考えときゃ良かったろーがよ」
青年「それには複雑な事情があってな……」
少年「というと?」
青年「作者が個人名を考えるのが苦手」
少年「確かに。過去の作品も個人名が出てないのが多いな」
不良「メタ発言はどうでも良いから、とっとと話進めよーぜ」
青年「えーっと、まあ、とりあえず僕のことは、能力の『北風小僧の寒太郎』から取ってキタさんとでも呼んでくれ…次にお前は『どこの東海道中膝栗毛だよ』と言う」
不良「どこの東海道中膝栗毛だよ……ハッ!」
青年「そして君は、『馬鹿だな。相手の言ったのと違うこと言やあ良いのに』と言う」
少年「馬鹿だな。相手の言ったのと違うこと言やあ良いのに……ハッ!」
不良「話進めんぞ。じゃあ、次は俺。能力は『まっくら森の歌』。『追跡・足止めのための行動に大きな補正がかかる』って能力だ。それを踏まえて何か良いのあるか?最年長のキタさんよォ」
少年「それで僕を追いかけられたのか。あの金属バットも僕が逃げようとしてたからあんなことになったんだな」
青年「え、何だろ。ラモス?」
不良「何でだよ。取るところ微妙だな」
青年「てかまっくら森の歌って…w。選曲が特殊だな。他にはもう…マックくらいしか」
不良「じゃあラモスで良いや」
少年「良いんだ。次は僕だね。能力は『およげ!たいやきくん』で、『逃走・回避に大きな補正がかかる』ってやつだ。曲名から取るならどんな感じになる?」
青年「およ……た………。オータロー!これでどうだ!」
少年「承太郎?」
青年「違う」
少女「すいません、ここで合ってましたか?」
少年・不良「「………誰?」」
青年「やあお嬢さん、君の出番はもう少し後だから、その時にまたね」
少女「ありゃ。うっかりしてました。それでは失礼します」
不良「何だったんだ………」
青年「新キャラかな」

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カップラーメンを語ろうの会 #1

結月「えー、作者がカップラーメンを語ろうの会やるって言っちゃったので、イカにゃんの小説キャラ全員集合してます。今回は僕が司会やらされるみたいです。よろしくね。」
全員「イエーイ(棒)」
雨月「作者〜全員居る必要あるの〜?まず私達3人とそっちの五人は出会ってもいないのに。
ねえ、風花?」
風花「それな〜。私ら居る必要ねえだろ。早く帰らせろ。」
結月「はあ?何先に帰ろうとしてんだよ。抜け駆けしてんじゃねえよ。」
風花「お前らみたいな人間、その気になれば。魔法一発で殺せんだよ。」
結月「は?お前なんのつもりだよ。」
風花「喧嘩売ってんのか?御影結月。」
美月・彩月・玲・時雨・涼香・雨月
「「「「「「二人共ストップ!」」」」」」
結月「…」
風花「…」
時雨「ここで喧嘩されると困るんだよ。本編だと喧嘩する予定ないから、あんまり喧嘩しないで。」
時雨以外(((((((なんか…メタい)))))))


五分後


結月「皆さま大変失礼致しました。早速、なんのカップラーメンを語ってほしいか、どんな意見があるかレスください。つまんなかったらつまんないって言ってください。すぐにやめます。」
全員「みなさんよろしくお願いします!」

【続く】

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ④

「いや~珍しいね~、常人なのに異能力のこと知ってるなんて~」
近代的な寿々谷駅の入り口近くの柱の陰で、その不思議な女の人は笑った。
「そうですか…」
「アタシだって、今までの記憶を漁っても、そんな人間に遭ったことないよ~ま、アタシが知らないだけで、わずかながらにいるかもしれないけど」
その人は苦笑する。意外なことに、異能力者であることがバレても驚いている様子はなかった。
「ねぇキミ、アタシが異能力者だって見抜いたってことはさ、異能力のこと結構知ってるってことだよね? 知り合いとかにいるの? 異能力者」
その女の人は、面白いものでも見るかのように、わたしの目を覗き込んでいた。
わたしは、自分が興味を持った人に、逆に強く興味を持たれてしまって、ちょっと彼女に気圧されていた。
「あー…まぁ、知り合いにいますね、異能力者」
わたしの言葉を聞くや否や、その人は目を輝かせた。
「マジで⁈ すごい! 異能力のこと常人にカミングアウトする人っているんだ! すっごい度胸の持ち主じゃんその人!」
「あ、いや、教えてくれたっていうか、バレちゃったってやつなんです、わたしのせいで…」
何か勘違いされたような気がして、わたしは慌てて付け加えた。
「あーバレちゃったってヤツかぁ…それは、しょうがないね」
その人はふふっと笑った。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ①

寿々谷市で一番栄えている所は?と聞くと、多くの人が「寿々谷駅前」と答えるぐらい、寿々谷駅前は栄えている。
市内に1つしかない鉄道路線が通り、駅前には大きなバスロータリーがある。
近くには市内で一番大きいらしいアーケード商店街があり、学生たちのたまり場、ショッピングモールもある。
他にも病院、市役所など、様々なものがあり―市の中心部、という言葉が相応しい場所だ。
わたしは、駅自体を使うことは少ないけれど、ショッピングモールや塾へ行くために、よく近くまで行く。
だが今週は、ショッピングモールに行こうとは思えなかった。―なぜなら、”彼ら”に出会ってしまうかもしれないと思うからだ。
一緒にいて、とにかく楽しかった”彼ら”。友達がほとんどいないような状態だから、友達になれると思ったのに、―なのに。
―”異能力”にまつわる物事に、常人は下手に関わっちゃいけない―
手を伸ばせば届きそうなのに、”彼ら”は自ら離れて行ってしまった。
もしかするとわたしは”誰かと一緒”は無理なのかもしれない、そう思った。
でもさすがに独りは嫌だった―が、かと言ってまた”彼ら”に会いに行くと、嫌がられそうな気がする。
学生が多く集まるショッピングモールに行って鉢合わせたら、ものすごく気まずくなりそうな気がして、今週は行こうとは思わなかった。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ㉒

「あぁ…まぁそうだよ。そうじゃなかったら追っ払ってる」
「俺もそんなだな。最初は耀平のノリに乗ってただけだけど」
「ボクは興味なかったよ? ただこれ以上関わり過ぎたら嫌な予感しかしないから、とにかく嫌だったけど」
今日一日、ネロの表情が終始不機嫌そうだった理由が分かってしまったような気がした。
少しの間、彼らはわたしを見つめていたが、耀平が「行こう」と言ったことで、また歩き始めた。
このままじゃ、彼らがわたしから離れていく―そう感じて、わたしは思わず叫んだ。
「わたしは、わたしは、ただみんなと仲良くしたいんです! だから興味だけで付き合ってるとしても―」
「―馬鹿なの?」
不意に、彼らは立ち止まった。
「…え?」
「…異能力者っていうのは、本来常人は絶対知らないものだ。その存在が知られないからこそ、今の”平穏”は保たれてんだ…」
耀平が、静かに振り向いた。その目は黄金色に光っている。
「…お前、異能力のことをすごいとか言ってたけど、アレはおれ達の”平穏”を崩すかもしれねぇんだ…―”異能力”にまつわる物事に、常人は下手に関わっちゃいけない…絶対にな」
いつの間にか、他の3人もこちらを向いていた。―彼らの目もまた、光っている。
イエローゴールド、ブルーグレー、ダークグリーン、そしてレッドパープルの光が、無言で強く訴えてくる。
―常人は、異能力に関わってはいけないと。
わたしは、金縛りにあったように動けなかった。
夕暮れの、薄暗い路地裏には、ただただ近くの大通りを走る車の音だけが、響いていた。

〈2.コマイヌ おわり〉

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ㉑

「…アンタ、ボクらにずっとくっ付いていたけど、そーとー暇なんだね」
先を歩いていたネロが振り向いて言う。
「いや、それでもいいじゃん。別に他のみん…」
「それな! ずっとおれも暇で暇で仕方ないんだと思ってた。ま、本人の前で邪魔とか言えねーし」
耀平の発言に、わたしは凍り付いた。
「まーそうだな~、でも今邪魔って言っちゃったじゃん」
師郎が耀平に向かって苦笑する。
「にしてもさー、耀平、何でアイツのこと助けたの? 例外中の例外の、本来なら異能力のことを知るハズはないのに、知ってしまった常人に、”異能力者”として情を持たせてもいいの? フツーアウトでしょ」
ネロの言葉に、耀平はぴたりと足を止めて応えた。
「え、単純に面白そうだったから、それだけだぞ? 異能力を知ってしまった常人という面白い存在の前で、能力使ったらどうなるか、そういうキョーミ」
え…? わたしは言葉が出なかった。わたし、面白いモノなの…?
「耀平はいつもそんな調子で生きてるよな。ま俺もそう思ったけど」
「だろ⁈ やっぱそう思ってただろ?」
彼らがわたしによくしてくれてたのは、ただの興味からだけ…? わたしは、自分が勘違いをしていることにようやく気付いた。
「…待って、みんな、わたしと仲良くしてくれたのは、ただの興味なの?」
彼らは少しの間沈黙する。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑰

「…あいつの能力の話、ちゃんと聞いてた?」
あ、そうだった、とわたしは思い出した。そもそも目が発光してるし…そういえば、どういう能力だっけ?
「あいつの『人やモノの行動の軌跡が見える』能力を使って、お前の行動を追っかけてるんだよ。でも、あいつの能力じゃ、行動の”軌跡”は見えても、誰のものかの特定はできない。ここでネクロマンサーの登場だ。ネクロマンサーの『過去そこにいた人やモノが残していった記憶を扱う』能力で、記憶を見て誰のか判別してんだよ」
わたしの心を察したのか、師郎がご丁寧にも説明してくれた。
「…なんか、探偵みたいだね」
ふと思ったことを呟くと、師郎は目を丸くした。
「は? あの2人超バカだぞ? ぶっちゃけ俺以下だから」
「ちょっと気が散るから黙ってくれる?」
不意にコマイヌが振り返った。その黄金色の目はあの明るくおしゃべりな耀平のものではなく、むしろ獣のような恐ろしさが灯っていた。
その恐ろしい目に睨まれて、わたしは恐怖で沈黙したが、師郎は慣れているのか、すまんなと言うだけだった。
これ以上文句を言われるのは嫌だったから、わたしは黙って彼らの後を付いて行くことにした。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑯

「”コマイヌ”、能力発動時はただでさえ目の色目立つんだからフード被れよ」
そう言いながら、ネロは彼のウィンドブレーカーのフードをひっつかんだ。
「あー忘れてた。でもお前の赤紫もめっちゃ目立つじゃん」
耀平、いいや”コマイヌ”が笑いながらフードを被った。
「そうだネロ、お前もちょっと手伝えよ」
何を思いついたのか、不意に彼は言った。
「は…あーはいはい、分かった分かった」
ネロは一瞬、意味が分からないという表情をしたが、すぐに理解したのかその目をあの時と同じ赤紫色に光らせた。
「んじゃ、行くぞー」
そう言って”コマイヌ”はおもむろに歩き出した。
その少し後ろにネロ、いや”ネクロマンサー”が付いて行った。
「そいじゃ俺たちも行くかーっ」
師郎のその言葉に、黎が微かにうなずいた。
「…ちょっと待って行くって…」
わたしはまた目の前でことがどんどん進んでいるせいで、混乱していた。
「ぐずぐずしてると置いてかれるぞ? アイツどんどん先へ行くから」
そう言って笑いながら師郎はコマイヌの背を指さした。
「そもそも彼…”コマイヌ”はどうやってわたしのストラップ探すの? 探す対象見たことないだろうし、そもそもわたしがどうやってここまで来たか知らないよね?」
思わずそう聞くと、師郎はちょっと驚いた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑫

「もう面倒くさいしいいじゃん、この通りベラベラ喋っちゃったし、そもそもある程度時間が経って定着しちゃったから、下手に記憶を奪えないよ。―記憶は人間の人格を、魂を構築する。それを下手に改変すれば、そいつだけじゃない…社会だってブッ壊す可能性があるんだ…」
どことなくこの言葉に、彼女が”ネクロマンサー”を名乗る理由があるような、そんな気がした。
「あ、そうだ―ちょっと聞いていい?」
わたしはふと、さっき聞こうと思ったことを尋ねた。
彼らの視線が、すっとわたしに注がれる。
「みんな仲いいけどさ…どうして?」
全員が、ほぼ同時に吹き出した。
「どうしてって…なぁ?」
「こうなってるのも多分縁とかってやつだろ?」
「そもそも、縁じゃなかったらこうも年齢層バラけないだろ?」
「それな」
薄々気づいてたけど、みんな歳違うの? じゃあなんで…
「この街異能力者多いもん…みんなここに集まっちゃうから、自然とこうなるよ」
ネロがショッピングモールの床を指さしながら言う。
「ここ結構田舎だからな~どーしてもここに…」
「学校のヤツに出会った時が一番嫌だ」
「それな、おいおいどこの誰だよとか聞かれそうだしな…」
またわたしのことを放置して話を進めているから、わたしはさっき気になったことを質問する。

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No music No life #8 アディショナルメモリー

結月視点

翌日、時雨ちゃんがあまりにも喋らなかったので、話しかけてみた。すると、突然、怒り出した。「なんで!なんで、涼香が死ななきゃいけないの!なんで、結月じゃないの!」あまりにも突然だったのと、目も、表情も、怒ってはいたが、
いつだって、時雨ちゃんの瞳の奥にあったはずの優しさは、なかった。まるで、機械のように、取ってつけたような表情をしていた。
僕はそんな時雨ちゃんを、突っ立って見ていた。そして、同様に、時雨ちゃんの異変に気づいて美月と玲が時雨ちゃんをなだめていた。すると、突然、時雨ちゃんは倒れた。その後、医務室に運ばれた。
僕達は、時雨ちゃんについて話していた。
「何があったんですかね?時雨さん。」
不安そうに、美月が言った。
「でも、一つ言えるのは、結月さんに怒っていたということですね。」美月に続けて玲が言う。

「でも、時雨ちゃんは怒ってなかったよ。」
僕のその言葉に二人は目を見開いた。

【続く】

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私、イカとにゃんこは先週金曜日、無事に小学校を卒業しました!ここまで頑張ってこられたのは、みなさんのおかげです!ありがとうございます!そして、これからもよろしくお願いします!


5

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑪

「…一応黎はちゃんと喋るからな」
驚きが顔に出ていることに気付かれたのか、師郎が真顔で言う。
黎自身は喋れないとでも思っていたのかと言わんばかりに冷たい視線を送ってきた。
「…なんか、すごいね…わたしなんかよりもずっとすごい」
「いや別にすごくなんかねーよ。某マンガや某アニメや某ラノベに出てくるヤツよりずっと地味だし、第一日常生活やっていく上では出番あんまないし」
わたしの誉め言葉に、耀平は苦笑する。わたしはそうかなと首を傾げた。
「なんだかんだ言って1番実用性あんの黎じゃね? 暗視効果なら暗い中でも便利じゃ…」
「現代社会生きる上ではあまり出番ない。あっても停電時。ぶっちゃけ師郎のが1番役立つだろ… 逆に実用性1番ないのは多分ネロの」
「ちょ、黎それはヒドイよ!」
師郎の発言を否定しながら、しれっと毒を吐いた例に、ネロは抗議する。
「んなこと言ったら1番使用率低いの耀平じゃん? ボクはちょいちょい『他人に能力使ってるとこバレたから証拠隠滅してくれ』って頼まれるけど、耀平のその能力はあんま使い道ないじゃん!」
「あるわ! 落とし物したときとか… あとさネロ、今回は自分の証拠隠滅忘れてるぞ」
多分わたしのことを指摘され、ネロは頬を膨らます。

4

雨の中

「…」
日本の夏は結構雨が多い。地域によっては違うけど、最近は地域に限らず本当によく降る。俗にいう、『ゲリラ豪雨』ってやつである。
あいにく、今自分はゲリラ豪雨に遭っていた。残念ながら折りたたみの傘すらない。
家まではそれなりに距離がある。別に誰かの傘に入れてもらうことは最初から考えていない。―そもそも、そんな友達などいない。
だから濡れても構わない、と豪雨の中を歩いていた。
でもさすがに雨のせいで風邪をひくのは嫌だから、普段通らない公園を突っ切る近道ルートを歩いていた。
あたりはもう暗いけど、公園の街灯でわりと明るかったし、―これぐらい暗くても、十分あたりは見えるから、困らない。
こういう時ばかりは、こんな自分でよかったなとちょっとだけ笑えた。もちろん心の中で。
ただ夜目がきくんじゃない―暗くてもほぼ平気なのだ。でもこんなことができるのはこういう”人がいない”ところだけ。
そういうことを考えながらぼんやりと歩いていると、後方から人が走ってくる音が聞こえた。自分と同じように、傘を持っていないから濡れたくなくて走っているのだろう。
近付く足音を聞きながら、パーカーのフードを深くかぶりなおした。
足音が近づき自分を追い越す、そう思ったその時―
「―ほい」
不意に、後ろから呼び留められた。ちょっと振り向くと、そこには小柄な少女がいた。
「…」
少女は真顔で折りたたみの傘を突き出している。
「…使いな」
「…」
「遠慮はいらない。この通りこっちには傘あるし…明日回収するからさ」
少女はちょっと笑って自分が持つ傘を傾けた。
こういう時は受け取るべきなのか―困惑していると向こうからもう1つの足音が。
「おい、急に走り出すなよ… 誰こいつ」
少女の友達らしき、走ってきた少年がチラッとこちらを見た。
「誰だか知らない…でもかわいそうでしょ? 傘ないし」
少女はなぜか面白そうに笑った。
「まぁそうだな… てかお前、早く帰らないと親にまた怒られるぞ?」
「はいはい分かってます~ それじゃあね、ちゃんとそれ回収するから」
少女はこっちに傘をやや強引に押し付けると、向こうへと歩き出した。
「あ、おめ…じゃ、気を付けて…」
少年はこちらにちょっと会釈してから少女を追いかけた。
あの2人にも、自分と同じような匂いがした。

4

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑩

細かく説明されると逆に意味が分からなくなる。困り果てたわたしに気付いたのか、耀平が補足してくれた。
「ま~どうやら人とかって一瞬でも1つの場所に留まってると、記憶というか感情ていうか…その手の”何か”を残していくんだってさ。それがこいつには見えるらしい」
へぇ~とわたしはうなずいた。
「じゃ、耀平や師郎は? 何か持ってるの?」
その何気ない質問に、ネロは眉を寄せた。
「…それも聞くのかよ」
「え、だって気になるじゃん」
まぁまぁまぁと耀平はネロをなだめた。そしてわたしに向き直る。
「おれのは―おれのヤツは”コマイヌ”っつーんだけど、『モノや人の行動の軌跡が見える』能力」
へーすごいじゃん、思わずそう呟くと、本人は少しわざとらしく照れた。
「で、俺のが『他者から見た自分の姿や聞こえる声を違うモノに見せたり聞こえさせたりする』能力。ま、要するに『他のモノに化けてるように見せたり聞こえさせたりする』能力だよ。―そして能力者としての名前は”イービルウルフ”。それで―」
師郎に続いて口を開いたのは、なんと―
「―『暗闇の中でも昼間と同じくモノを見ることができる』能力、要約すれば『暗視』がオレの能力。もう一つの名前は”サイレントレイヴン”」
急に黎が喋りだしたから、わたしは肝心の話の内容を理解できなかった。

7

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑨

「あの~…」
わたしのこのつぶやきに、師郎が反応した。
「あぁ、黎のことだろ? アイツ元々そんな喋んねーから。だろ?黎」
当の本人は無言でうなずいた。
「元々そーゆー奴だからねー黎は。分かっててボクらもやってるしー」
ネロは黎の方を見る。彼らはかなり仲が良いようだ。
「…とりあえず、異能力のことは大体分かった、かも…」
「うそこけ、本当は全然だろ?」
ネロはわたしをちょっと睨みつける。まさにその通りだった。
「とりあえず、異能力は生まれつきとかじゃなくて後天的なものであることと、発動すると目が光ることは分かった」
おかげで、初めて会った時と今でネロの目の色が違う理由が分かった。
「…でさ、ネロの能力は、『記憶を消すこと』?」
ふと思ったことを尋ねてみた。
「あれはボクじゃなくてネクロマンサー。『記憶を消す』というよりかは『記憶を奪う』が正しいかな」
「え それってすごくない?」
わたしの反応に、ネロは冷たく返す。
「…別に異能力があってもなくても変わらないよ? あと補足だけど、ネクロマンサーの能力は『過去その場にいた人やモノの記憶や、今いる人やモノの記憶を扱える』能力」

2

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑧

「…そしたらさ、異能力はどうやって引き継がれるの? 生まれつきとか…そんな感じ?」
この質問に、耀平が吹き出しかかった。
「あ~っ、もしそうだったら異能力なんぞ常人も知ってるハズだぞ~」
え、とわたしはちょっと思考停止した。じゃあどうやって…
「異能力っつーのはな、大体10歳前後で発現するんだよ。しかも、急じゃなくてジワジワとな~」
師郎は笑いをこらえながら言う。だが隣にいる黎は無表情だった。
「最初はなんか変だなって思ってたケド、完全発現して記憶が一気に来てから納得したー」
「あーそれな! でもさ、記憶が顕れる時結構キツくね? おれ気持ち悪くて仕方なかったー」
「ほんの数秒だけどヤバいよなあれ。けど、目が発光してんのに気付いた時が何気怖い」
「あ~あれはね~。でもボクはそれに気付いた時に記憶来たから、うん、平気だった」
「いいな~、俺はさ、友達になんか一瞬目が緑っぽかったって言われたからマジ怖かった」
「発光する目って一目で発動してるか分かるけど、地味に困るよな」
いつの間にか3人は、わたしそっちのけで雑談を始めていた。が、わたしはふと、黎だけが彼らの会話に入っていないことに気付いた。

0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑦

「”メモライザー”ってどういう意味?」
「それも聞くのかよ」
耀平が嫌そうに言う。説明が面倒だからだろうか。
「”メモライザー”って言うのは、ボクら”異能力者”は、前に同じ能力を持っていた人間の記憶を引き継ぐから。だから、”記憶する者”で”メモライザー” 」
…まぁそんな風に言う人はほぼいないんだけど、とネロは付け足す。
「ふーん…そういえば、ネロが言っていた”力”って、”異能力”?」
わたしがそう聞くと、ネロはちょっと舌打ちした。
「あれ言ってたのは”滋賀禰蕗”じゃない。”ネクロマンサー”だ。」
ネロの言っていることがよく分からない。どう考えても同一人物なのに、別人扱い?
「あ~、異能力者っつーのは、能力発動すると自分が意識する”自分の名前”が切り替わっちゃうんだよ~ 何でだか知らないけど」
耀平が慌てて解説する。要するに、異能力を発動している時と、していない時では、”同じ自分”だけど、”違う存在”になるということ? 全く意味が分からない。
「どれだけ多くの人に”力”が引き継がれても、異能力者としての名前は絶対に変わらねぇんだ…”力”は記憶そのものだ」
師郎はそう言ってにやりと笑った。時間をかけてなんとなく理解できたけど、ここで新たな疑問が。