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ファミリア達と夏祭り act 1

「お待たせしました。キリマンジャロコーヒーです」
「おお、いつも悪いね」
「いえ、とんでもない」
いつものように常連客と言葉を交わして、ぼくはさっきまでいたカウンターに戻った。
ちょうど、火にかけているティーポットが鳴いている。
そろそろ頃合いかな、とぼくはポットの蓋を開けた。
「…おや、また頼まれたのかい」
この喫茶店の主であるマスターが、カウンターに肘をつきながら尋ねる。
「ええ、いい茶葉が手に入ったから頼む、と… 自分でできるのだから、自分でやればいいのに」
「ハハハ、彼らしい。でも彼としては皆と雑談しながら紅茶を嗜みたいのだろう? なら、応えてやってくれ」
「はいはい、マスター」
ぼくはそう返してから、銀色のお盆にティーポットとカップを載せ、カウンターの奥へと向かった。
店内から見えないところにある急な階段を、ポットをひっくり返さないように上っていく。
一段一段上っていくうちに、2階にいる者たちの話声が聞こえてきた。
ぼくはその声に負けないように、面倒だけど階段を上り切った時に声を上げた。
「はいは~い、紅茶持ってきたよ~」
「あ、来た」
「遅いよ、カシミールぅ」
下で接客してたから仕方ないでしょ、と言いながら、ぼくは紅茶を頼んだ張本人の前にポットとカップを置いた。
「えーと、ローズ…何だっけ?」
「ローズスィーテ。別に覚えなくてもいい、そもそもお前は覚えられないだろう?」
紅茶を頼んだ黒服の人物は、ぼくに向かって嫌味っぽいことを言う。
「カシミールは匂いでそういうの見分けるからね~ ところでナハツェ、ホットじゃ熱くない? 今は夏だし」
ナハツェ、と呼ばれた黒服の人物の隣にいる、細い角が額に生えた鬼のような人物が、にこにこと笑いながら尋ねる。

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世にも不思議な人々㉚ 呪う人・信じ込む人その1

所変わって、ここはある人物の私室である。もちろん物語には初出だ。ベッドに少女が一人、寝そべって本を読んでいた。日本人にも拘らず、髪はプラチナブロンド、目は赤みを帯びていて、肌は陶磁器のように白い。先天性白皮症、所謂アルビノというやつだ。
と、そこに、窓から別の少女が侵入してきた。
「ヘイヘイヘーイ、ハローアリスちゃん」
窓から入ってきた方が部屋で本を読んでいた方に呼びかける。
「その呼び方やめてって言ってるじゃないのつーさん。僕、これでも一応立派な男よ?」
呼びかけられた方がベッドに座り直して言い返す。ていうかごめん、男だったの?じゃあ少年だな。ほんとごめんね、雰囲気が男っぽくなかったからさ。
「ここで『これでも一応』とかつけるあたり立派な男じゃないよ」
つーさん、と呼ばれた少女が言い返す。
「大体アリスちゃんは男のくせに名前も外見も可愛らしすぎるのだよ。髪だって伸ばしてるしさ。身長いくつだっけ?120?130だった?」
「140は超えてるよ!」
「私152−。うふふ、勝った」
「つーさんこそ背が高すぎるんじゃない?」
「そうかな?普通だよ?それに呼び方についてなら私にも文句があるよ。君はいつもいつも私のことを『つーさん』と渾名でしか読んでくれない。普段から『つくば』と呼び捨てにしてくれと言ってるでしょう?」
ちょっと待って。つくば?今そう言った?キラキラネーム過ぎん?
「いや、何かもうつーさんで定着してると言いますか、何といいますか……」
「ええいうだうだと!私が下の名前で呼び捨てにするのを許してるのなんて君くらいなのだよ!友達にだって許してないのだから!このヘタレ!甲斐性無し!アルティメットチキン!」
それは別の人だ。止めてあげなさい。というかそろそろ本題に入れ。
「ああそうそう、で、本題なんだけど」
「うん、何?」
「ちょっと目を瞑って!」
「え、何でさ、怖い」
「まあ良いから良いから」
「わ、分かった」
アリスと呼ばれていた少年が目を閉じると、つーさんなる少女は彼に近寄り、耳元で囁いた。

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誕生日も終わりが近づいて参りました。

 こんばんは、今日は本当に特別な日にしてもらいました、ちょっぴり成長したピーターパンです。大切な人たちから頂いた素敵な言葉の数々、本当に本当に嬉しかったです。バックアップとって保存しておきました()
 正直、誕生日のこと、当日まで完全に忘れていたんです。それくらい、自分のなかでの誕生日の位置づけって大したことのないものだったのだけれど、気付いてくれた人からの派生がすごくって。自分でも、こんなにお祝いしてもらえるだなんて予想だにしていなかったものですから、本当に驚きと嬉しさで、どうにかなってしまいそうだったんです。他人事みたいですけれど、私、愛されているんだなって。
 顔を合わせたことがなくて、文字や言葉だけで、掲示板という繋がりだけと言えばその通りでもあって。どこかで軽く話したことがあるのだけれど、私たちは出逢っていなかったかもしれない集まりなんですよね。私も含めて、たまたま、今、ここにいるだけで。ただ、そのたまたまのおかげで出逢って、しかも、自分がこの世に生を受けた日を祝ってもらえることって、それだけで特別なことだと思うんです。
 今日1日祝ってもらって気付いたんですけど、喜んでいるのが、感動しているのが、私だけじゃないんですよね。それがまた、嬉しくって。大好きな人と同じ時間を共有できることの幸せを強く感じました。みんなには感謝しかありません。私と出逢ってくれてありがとう。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 番外編 待ち合わせ中のお話

みんなで集まるときの集合場所である、ショッピングモールの屋上は、遮るものがほとんどなく、今の時期は本当に暑い。
夏場に限らず人がたくさんいるような場所ではないので、同類同士で集まったり、普通の人に聞かれちゃいけないような話をするにはぴったり―
「…」
つつっ、と腕をつつかれて思わず隣を見ると、パーカーの袖にちょっと隠れた手がスッと棒の付いたアメを突き出してきた。
「…黎?」
「…やる」
さっさと受け取れと言わんばかりに、黎はアメを突き出した。
「…なんで?」
こいつが他人にモノをあげるのは珍しーなー…と思いながら、おれはそれを受け取った。
なんかのお礼のつもりか、それとも…
暫くの沈黙の後、黎は口を開いた。
「…誕生日」
「?」
「お前、こないだ誕生日だったじゃん」
「…あー、そうだったな。1週間前だけど」
確かに先週…21日はおれの誕生日だった。バースデーケーキを除けば、誰かから何ももらってないけど。
「…1週間遅れだけどはぴば」
なんかこの人にしては珍しいセリフを聞いて、おれは思わず吹き出してしまった。
「待って、今のちょっとだけかわいい」
「…」
当の本人は照れているのか、つっと向こうを向く。
おれは、ははは…と笑いながら、もらったアメの包装を剥いた。

「あっ、このアメ黄色だ」
何気なく呟くと、黎がちらとこっちを見る。
「…それお前の目の色と揃えたから」
「ん?」
何のことだかよく分からなくて、おれは首をかしげる。
「…だって”コマイヌ”の目は黄金色…大体一緒じゃん」
あ、そっか…と自分の手に目を落とし、再度隣に目を向けた。
「え、お前やっぱかわいい」
「…かわいかない」
また黎はぷいとそっぽを向いた。

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世にも不思議な人々㉗ 乙鳥の世界その①

ある日の朝目覚めると、時間が止まっていた。
こんにちは皆さん、伏見清次です。
何を言っているのか分からないと思う。僕もよく分かっていない。けど、外の様子を見たところ、どうやらマジに時間が止まっているようなのだ。空の鳥は空中に固定されているし、自動車も全て動いていない。歩行者(止まっている)に話しかけてみたけども、やはり反応無し。
では何故僕が動けているのかというと、昨夜懐中時計手に持ったまま寝落ちしたからだ。何故そうなったかは聞くな。『時間に縛られずに行動できる能力』がある。
しばらく街を探索していたところ、僕と同じように動いている人間を見つけた。何と驚き、皆さんご存知、安芸華世さんですよ。
「やァお華さん」
「あれ、チャチャさん。動けるんですね」
「うん。懐中時計の能力」
「懐中時計持ってるんですか?格好良い!」
「そうかい?ところで、これは君が止めたんじゃないんだな?」
「はい。誰なんでしょうね?」
「分からない。にしても長過ぎないか?もう体感三時間くらいは経ってるぜ」
「おー。……あれ、もしかして今、私たちこの世界に二人っきりですかね?」
「えっ、ん、んー……、いや、これをやった奴がいるから最低三人な筈だ」
「今どこか分からないじゃないですか」
「それもそうか。とりあえず早くもとに戻してほしい」
「あ、そうだ!」
「お、どうした?」
「チャチャさんって、一人暮らしなんですか?」
「え、そうだけど」
「お家に連れてってください」
「ごめん、どこでどう繋がればそうなるんだ?」
「私、犯人はチャチャさんの回りの人だと思うんです」
「何故?」
「だって語り手が……」
「分かった。それ以上言うな。つまり僕に関わる場所にいるだろうと?」
「はい、という訳で」
「ええ……。あー……分かった。けど君、あんまり不用意に男の家に行きたいとか言うもんじゃないぞ?」
「チャチャさんのこと信じてるので大丈夫です」
「お、おう。じゃあ行こうか」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ②

でも気付いたらいなくなっていた。いやむしろ、わたしが”彼ら”とはぐれたと言った方が正しいか。
事の発端は20分ぐらい前、あのショッピングモールでのこと。
さっきまでわたしと一緒にいたメンバーの1人、ネロが、ココアシガレットなくなったから買いに行くー、と言い出したのがキッカケだった。
それで耀平が、んじゃ駄菓子屋行こー、と言って、あとの2人もそれに賛同して…
…で、わたし達は商店街の裏路地にある駄菓子屋に向かっていたのだ。
でも今はこの通り、わたしは置いてけぼりだ。多分今頃、彼らは目的地に着いているだろう。
…なんとなく、この状況は仕組まれたもののような気がした。
というのも、彼らと辿ったルートは無駄に回りくどくて遠回りのような気がして。
多分彼らは、最初からわたしとはぐれるつもりで、わざと遠回りしたのだろう。
もちろんわたしの考えすぎかもしれないけれど、正直彼ら―特にネロは、わたしの事をあまりよくは思っていないからこうしたのだろう。
今日だって、わたしがショッピングモールで彼らに会った時、ちょっと微妙な雰囲気になってしまったし。
こうなっても仕方がないのかもしれない、本当に。

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世にも不思議な人々㉖ 開ける人

どーも読者の皆さん。俺っすよ。ラモスこと滝沢真琴ですよ。
いやね、先日ちと困った目に遭ったんだがよ、ちょっと面白い奴に助けてもらって、そいつのことをお話しようかと思って。
あれは確か、先週だったかな?覚えてねぇ。親が帰り遅くなるんでその日鍵持ってけって言われてたんだが、どうしたことか家の鍵忘れちまって。ヤッベどうしよー困ったなー、なんて思ってたら同級生に声をかけられた。
「オッス真琴ー。何か困ってたりすんのかい?」
「お前は確か……小鬼田平子!」
「違う。鬼怒川達彦だ。かすってもねえぞ。雑草みたいな呼び方すんな。ってか同級生の名前くらい覚えとけや」
「いやすまん。同級生の名前なんか半分ほどしか覚えてないんでな」
「ええ………。で、お前さっきから何困ってたのさ?」
「いや…家の鍵持って出るの忘れちまって」
「ああ、それなら俺が何とかしちゃる。確か俺、お前んちに行ったことあったよな?」
「おお。少し前に来たな」
「そんな奴の名前を覚えてないって……」

んで、俺の家にそいつがついて来たんだが、そいつは俺の家の鍵穴の辺りをちょっといじって、
「ほれ、開いた」
って。おかしいよな?ピッキングとか隠れて作ってた合鍵とかそんなチャチなものじゃあ断じて無い。もっと恐ろしいものの片鱗を以下略。
「おいオメー……。今何をした……?」
「ん?ああ、これは……あ、いや、何でも無い。気にしないで」
「ん?お、おお。……ってなるかァ!今のどう考えたっておかしいだろうが!ああ!テメェ、まさか……!」
「な、何だよ……。と、とりあえず俺帰る。じゃあな!」
帰ろうとするコオニ……じゃなかった、鬼怒川の野郎に、俺はカバンに忍ばせていた五寸釘を数本投げつけた。釘は奴の靴だけを綺麗に貫通しアスファルトに縫いつけた。
「おいお前よォ……。逃げようったってそうは問屋が卸さないぜ……?」
「おいおい、嘘だろ……?まさかお前も……あ」
「え」
「え?」
「お、おお」

「俺の能力は『一度開閉の確認をしたことがある鍵を開ける』能力。能力名は『アイアイ』だ。頭の中にあの曲がちょくちょく流れてくんだよ。しかしすげえな。俺の指の隙間抜けて靴だけ通すんだもんな」
「おお。すげえだろ」

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世にも不思議な人々㉕ ハッピーバースデー

安芸「あれ、こんにちはチャチャさん。奇遇ですねこんなところで」
伏見「お、おう、お華さん、奇遇だね……」
安芸「こんな所で何をしてるのです?」
伏見「うっ、いや、それは……」
安芸「んー、具体的には、10代女子向けの雑貨店の前で何をしてたんですか?」
伏見「うあー、仕方無い。話してしまおう」
安芸「はい」
伏見「いやさ、君、もうすぐ誕生日じゃない」
安芸「はい、7月13日です」
伏見「そう、明日なんだよなぁ」
安芸「何故に知ってるのです?」
伏見「……キタさんに聞いた………」
安芸「あの人でしたか」
伏見「で、話を戻すけど。まあ折角だから君に何か贈答品でもくれてやろうと思ってね。けどどうにも君のような子の好みは分からなくって」
安芸「へえ。それはなんか、照れますね…」
伏見「ちょうど良いや。何か欲しいものを言ってくれないか?買ってあげるからさ」
安芸「良いんですか?ありがとうございます」

伏見「で、何が欲しい?」
安芸「んー………。あ、これ可愛い」
伏見「………操り人形?」
安芸「はい。この木目が浮いた、何も描いてないシンプルな顔がまた、素敵です」
伏見「へえ…(変わってるなあ)」
安芸「今の間は?」
伏見「いや、別に。じゃあこれで良いね?」
安芸「じゃあ、お願いします」

伏見「では改めて、ハッピーバースデー、安芸ちゃん。祝いの品を贈呈しよう」
安芸「はい、ありがとうございます」
伏見「この人形には僕の能力を込めたから、きっと役立つよ」
安芸「何ができるのです?」
伏見「まあ、発動しないに越したことは無いんだが、まあある種身代わりみたいなものだね」
安芸「ほう」
伏見「ああ、あとこれ」
安芸「これは…造花?」
伏見「うん。枯れない花なんて素敵だろう?造花って個人的に好きなんだ」
安芸「わあ素敵。ありがとうございます」
伏見「どういたしまして」
安芸「今日は色々と、本当にありがとうございました」
伏見「良いの良いの。気にしないで」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑰

「あ、いやそんなに気にしないで! …同じようなこと、前にもあったから」
だから謝らなくても、とわたしは言った。
2回目だから慣れてるってワケじゃないけれど…なぜかあまりビックリしなかった。
あの時は普通に友達だと思ってたから、興味の対象として見られていた事に気付いた時はショックが大きかったけど、今回は友達とかそういうのは考えていなかったから、意外と平気だったのかもしれない。
…もしかしたら、近くの席になったころからちょこちょこ笛吹さんが接触してくるようになったのは、シンプルに”興味”があったからなのかも…そう思った。
そう考えると、やっぱり異能力者って恐ろしい。
笛吹さんとか、あの”彼ら”とか、パッと見た感じは普通の人間とあまり変わらないのに、どこか”普通じゃない”ところがある―それは、彼ら”異能力者”は、過去の”異能力者”の記憶を引き継ぎ続けるからなのかもしれない。ずっと人々を見続けているのなら、ちょっとぐらい常識から外れていてもなんとなくおかしくないような気がする。
「…そうだ、不見崎(みずさき)さん」
ふと何かを思いついたように笛吹さんが手を叩く音で、わたしはフッと現実世界に引き戻された。

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世にも不思議な人々㉓ 回避の限界にチャレンジ

安芸「こんにち…うわっ。何やってるんです?」
萩『おーやっと来た。リー…安芸ちゃんも早く来て!』
安芸「ちょっと皆さん?何故にその人吊られてるのです?」
キタ「前回言ったろ?回避性能の限界にチャレンジするのさね」
初「おーい早く始めておくれェ……。頭に血が登るゥ………」
キタ「了解!さあさあ皆様。こちらに用意されましたのは、ナーフ都合125台。X-shot都合70台。弾はそれぞれ五回は再装填できます。BB弾を撃ち出すエアガンが合計8丁。弾は全部で2000発。スリングショットも3台。弾は…確か500発くらいあったかな?ダーツが80本。あとはブーメランが7本。これら全部初君に向かって撃ち込みます!全て避け切ったら拍手喝采モノ!ああ、因みに初君には目隠しもしてもらいます」
伏見「うへえ無慈悲」
滝沢「日頃の仕返し、させてもらうぜ!」
キタ「全員銃は持ったね?撃ち方ー、始め!」
 ・
 ・
 ・
伏見「全弾撃ち尽くしたかな……」
キタ「予想はしてたけどまさか全部避けるとは」
那由多「こいつも化物だったか」
初「こいつって言うな…僕年上ぞ…。あー疲れた。どこから何が来るかは分かるんだがよ……集中しなきゃなんないのがキツイな」
安芸「ところで一つ良いですか?さっきまで逆さ吊りにしてた縄を支えてたその巨人は何者なのです?」
萩『ああ、それについては私が説明するよ。彼はこの間会った能力者の…』
阿蘇「オーイお嬢。萩美帆嬢。俺の本名ハ言うなと言ってるヨナ?言わないトは思うガ念を押しトクゼ」
萩『おっと。えっと、彼は…阿蘇さんです。能力は「森のくまさん」。人外になる能力だとか』
安芸「へえ……。阿蘇さん、初めまして。安芸華世と申します。以後お見知りおきを」
阿蘇「オウヨロシク」
キタ「まあ、僕は君の本名知ってるんだけどな?言ってやろうか?フフフ」
阿蘇「アア?テメーぺっちゃんこに潰シテくれようカ?」
キタ「おお怖い怖い」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑮

「いや、別に、わたしは不見崎(みずさき)さんは何もしてないって思ったからだけど」
「あ~ それは分かってるんだけど… そもそも、あの時能力使って大丈夫だったのかな~って…”異能力”って、バレちゃいけないって言うし」
わたしはちょっと恥ずかしそうに尋ねた。
「あ、そこらへんは…大丈夫! あん時目細めたから多分バレてないし、それに、茉花達とかはさ、わたしの『自分の言う事を相手に信じ込ませる』能力の副効果みたいなので、多分能力の影響が及んでいる間の記憶が曖昧になってるからさ、少なくともバレてないよ?」
ま、後で何か聞かれてもどうにかして言いくるめるからさ、と彼女は笑う。
「はぁ…ていうか、『自分の言う事を相手に信じ込ませる』って、すごくない⁈」
結構強力な能力だよね、とわたしが言うと、笛吹さんははにかみながら言った。
「え…あーいやアレ、できるのは、『自分の言う事を相手に”強制的に”信じ込ませる』ことで、『相手を自分の意のままに操る』ことはできないんだよね~。言う事はきかせられても、絶対に特定の行動させられるワケじゃないし…だから、意外と使い道限られちゃうんだけど…」
「やっぱり、すごいよ…」
わたしは思わず呟いた。それに比べてわたしは…

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ザ フール イズ オールソー ザ クラウン

「中身、何だった?」
よくスーパーのお菓子売り場に売っている、ウエハースがおまけに付いているカードの袋を開封しながら、友達が尋ねる。
「…これだよ」
うちはすっと彼女に袋の中のカードを見せた。
「The Fool…”愚者”、か。タロットカードの大アルカナの1番最初…」
「愚者?」
「そ、愚者。自由人。放浪者。このカードの絵柄の通り、道化師とも言う」
友達は自慢げに自らの知識―いや趣味を披露する。
「…うちにはさっぱりだなぁ」
うちはカードに描かれた愚者、いやむしろ道化師を眺めながら呟く。
「いつも自由にやってるあんたにピッタリだよ」
「そぉ?」
うちはちょっと首を傾げる。
「うち、これウエハース目当てで買ったんだけどなぁ」
「ホント、あんたらしい」
そう言って友達は自分のカードを見せる。
「あたしは…魔術師。どぉ? よくない⁇」
「さぁね…」
うちはカードのおまけのウエハースをかじりながら言う。
「にしてもあんたホントこういうの好きだね。集めてんの?」
「あー、お小遣いが許す限り、かな。まぁすでに何枚かダブってるんだけど」
「ふーん」
前々からそうだけど、こいつの趣味ってなんか変わってる。
変なカード集めてたり、変わった曲聴いてたり、オッドアイの変なぬいぐるみ連れてたり、ファッションだって個性的…ホント自由人、タロットの愚者、道化師そのもの。
「あんたって自由な人間ね」
ぽつり、と何気なくうちは呟いた。
「ふふ、ま、小さいころは周りに滅茶苦茶振り回されてきてきたからねぇ… 今は自分の意志で自由にやらせていただいてるよ」
彼女はそう笑って、ショッピングモールの屋上の柵から下界を見下ろした。
上から見える、ショッピングモールの入り口では道化師…いや大道芸人が芸を披露している。
彼女はそれをここから眺めているのだろう。
「なぁあんた、あれ…大道芸見たいんなら、下行けばいいんじゃない?」
彼女は長い髪を揺らしながら振り返る。
「ここからでも、あたしには十分見えるわ」
ああそうだったな、とうちは笑い返した。
フフフッ、とどこかわざとらしく笑う友達の瞳は、綺麗なネオンパープルに輝いていた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑬

確かに、「異能力者は普通少ない」って、セレンさんも言ってたっけ。
笛吹さんはさらに続ける。
「まぁ…この街は普通よりちょっと異能力者が多いんだけどね。その分、情報とかはが伝わるスピードが速いし…あと、いわゆる”情報屋”みたいなのもいるから」
「”情報屋”…?」
わたしは思わず彼女の言葉を繰り返す。
「そういう感じのだね、その人は。寿々谷で起こった異能力にまつわる情報を、勝手に集めて他の異能力者に教えたりするんだ。もちろん、教えてもらうには、それ相応の”代価”が必要だけど」
彼女は階段を1段、トンっと下りた。
「”異能力”のことを知ってしまった常人がいるって言うのは皆がチラチラ言ってたから知ってたけど、名前はその人から教えてもらったんだ~。…そしたらビックリ、まさかそれは後ろの席の人だったとはね」
そう言って笛吹さんはわたしに笑いかける。
わたしは終始笑顔でいる彼女の話を聞きながら、ふと疑問が浮かんだ。
―なぜ”情報屋”は、わたしの名前を知っているのだろう。
「”異能力”を知ってしまった常人がいる」ことは、”彼ら”が周りに喋って噂になってもおかしくない。…でも、本名まで言うだろうか? 
第一、わたしの名前を知っている異能力者は、あの4人と駅前で路上ライブをしているあの人ぐらいしかいない。
”情報屋”はわたしが今までに出会った異能力者たちなのか、それとも―

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世にも不思議な人々㉑ キタさん難受けるその3

で、どこまで話したっけ……ロバに乗って地雷原を突っ走ったところまでだっけ?あ!違う。これ別の話だった!
で、続きだけど。落ちてきた紙に書かれてた内容だよね。こんな感じ。
『これを読むに至った何処ぞの誰かさんへ
これを読んでいるということは、私の作った空間に入り、脱出できた能力者ということだろう。能力者しか入れないように空間を作ったのだから。さて、私がなぜこのようなことをしたのか教えよう。私はかつてただの路上でパントマイムを披露する芸人だった。それがある日突然不思議な能力を手に入れたのだ。しかもパントマイマーの私にぴったりの「パントマイムを現実に投影する」能力、というものだ。とはいえ、特にそれを使ってやることも無かったので、普段通り芸をやっていた。
そんなある日、私は大いなる意思により、死ななければならなくなった。しかし、せっかく能力を身に着けたのだ。その力と私の存在を少しもこの世に遺さずして死ねるだろうか。それでこの道を選んだのだ。少々驚いただろうが勘弁してくれ。誰だってこの世に産まれた意味というものを欲しいと思うのが道理だろう?
この空間は誰かが脱出すると消滅するようになっている。それを恨まぬわけでは無いが、これは言うなれば幽霊みたいなものだ。しがない一人の男の残留思念だ。これで成仏できるのだ。それについては心から感謝する。
最後に私の能力を紹介しておく。
 能力発動時の楽曲 からくりピエロ
 能力 パントマイムを現実に投影する能力。
私をこの世から開放してくれた君に幸あれ。』
こういうことだ。つまり、あのマイマーは……いや、止めよう。きっと僕の能力と彼の思いが変に影響し合っただけなのだ。
しかし、大いなる意思ねぇ…。確かに、『童謡』じゃあないからなぁ。作者は無情である。

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