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cross over

リュックサックが湿っている。雨がしとしと降り出した。玄関に折り畳み傘を置いたままだったことを思い出した。雨が水溜まりを打ちつける音を聞きながら、地面を踏みつける。公園でサンドイッチを食べて帰ろうとスマホのマップで公園を探しながら歩いていた。あ、と、ふと足を止める。自然と足がいつもの抜け道に向かった。高校生に会うということは高校生くらいの歳のトタにとっては辛かった。ただひたすらあの自動販売機を目指す。大通りはご飯屋さんの昼メニューと夜メニューの入れ替えがあっている時間であることに加えて雨が降っているからか人がまばらだった。自動販売機の横には高校生Aの姿がない。その場所で開封されていない水のペットボトルが雨で濡れていた。トタが置いたものよりずっと多い、キャップの近くまで入っている水。服の裾でペットボトルを拭いて、リュックサックに入れる。靴屋さんを曲がると見慣れた景色が広がっていた。喉が渇いていることに気づいて、ペットボトルを開ける。ごくごくと小気味良い音を立てて、喉を通るいつもの水はいつもに増して美味しかった。
「ただいま。」おう、おかえり。と返ってくると斜め前に視線を置いたまま、帽子を深く被り直した。くせっ毛のせいで上手く帽子が浮き上がってくる。何度も繰り返しているうちに、見ていたらしくクスッと笑われた。トタもつられて口角が上がる。目のやりどころを探して外を見ると、雨が降っていたことを思い出した。

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その⑮

「練音ちゃんから見て、どうだった?」
「私の守りの強さが露呈したと思います!」
「うん、自分でカスタムしてて思ったけど、君と戦うの絶対つまらないよね……全然当たらないんだもん」
「ナハツェーラーさん、すごい使い魔だって聞いてたのに……私の防御を抜けないなんて不思議でしたねぇ」
「そりゃそうさ。理論上、君の防御は『絶対』成功するんだもの」
「あ、あといっぱい逆凪させられました!」
「出目が味方したねぇ……。桐華さんとは正反対だ。とにかく、よく戦ってくれたね。……ところで質問なんだけど」
「はい」
「次、ナハツェーラーさんと戦ったとき、勝てると思う?」
「…………感覚としてはなんとも……ってところですかねぇ……」
「ふむ。理由を聞いても?」
「はい。まず、私の得意な間合いがバレました。近距離戦にはもう入ってもらえないでしょう」
「けど、ナハツェーラーさんには射程能力は無かったはずだよ」
「【神槍】です。キリカさんが技を盗まれました。私の術は全部、『蜘蛛』と『呪術』に由来してるので良いんですけど、キリカさんは体術メインですから……。こちらも【鎌鼬】はまだ見せていなかったので、恐らく1回は射程戦に食らいつけるでしょうけど…………あちらの方が間合いでは勝っているので。私が死ぬ前にあちらの『逆凪』を誘発して、あちらが慎重になってくれれば、あるいは」
「……うん。とにかく今日はお疲れ様」
「ごめんなさい、勝てなくて……」
「いや良い。別に本気で勝てるとも思ってなかったし。むしろ予想以上に届いたなって感じだよ。今日はゆっくり休みな、“ツファルスツァウル”。桐華さんと合わせて結構消耗したでしょ」
「はい。それではおやすみなさい、主殿」

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我流造物創作:ロール・アンド・ロール! その①

喫茶店の閉店からおよそ10分、ナハツェーラーは静かに店舗出入り口から店外へ姿を現わした。
「あー、やっと出てきたー」
そこに声を掛けたのは、ナツィ本人より小柄な、腰まである長い黒髪と蜘蛛の巣柄の金糸の刺繍が施された和装が特徴的な少女。
「……そりゃ、当然でしょ。こんな明らかに不審者な格好の奴がジロジロ見てきて。で、何の用だ?」
「何ってそりゃ……あ、ごめんなさい! 先に名乗った方が良いですよね?」
「勝手にしろ」
「えー、名乗らせていただきます。私は木下練音(キノシタ・ネリネ)。ネリネちゃんって呼んでいただければ幸いです。本日ナハツェーラーさんに相見えましたのは……」
ナツィは名前を呼ばれ、ぴくりと反応する。
「あれ? わざわざナハツェーラーさんを訪ねておいてナハツェーラーさんを知らないわけないですよね? そんな大げさに反応しなくても……」
(……大袈裟、だって? ほんの数㎜肩が上下しただけだろ)
ナツィの視線を無視して、練音は言葉を続ける。
「あ、それで御用なんですけど、とっても強くてすごいナハツェーラーさんと、1度本気で喧嘩してみたかったんです! 伝説のナントカって魔術師が創り出した、史上最高の使い魔! 泣く子も黙る“黒き蝶”! 魔術に関わる者なら、誰でも1回くらい見てみたいと思うのは当然でしょう? せっかくなら、その実力を1度この目で見てみたい!」
「……はぁー、そんな下らない動機で来たわけ? 帰って良い?」
踵を返したナツィの背後から、練音は更に声を掛ける。
「……かすみちゃん、でしたっけ?」
名前が出た瞬間、ナツィの動きが止まる。
「可愛い子ですよねぇ。ナハツェーラーさんもあの子のことが随分大好きみたいですね。仲良きことは美しきこと……」
練音が口を噤む。一瞬で距離を詰めたナツィが、喉元に大鎌を突き付けたためだ。
「……何が言いたい?」
「言ったじゃないですか。戦りましょう、って」

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造物茶会シリーズ現行公開設定まとめ! その6

・ピスケス Pisces
この物語のメインキャラの1人。
一人称は「私」。
背が高く(165cm)長い青髪が特徴的。
服装は白いノースリーブワンピースで、白いロングブーツと白い長手袋を身につけている。
性格は上品で淑やかだが少し意地悪。
自分より弱い者(かすみやキヲンや夏緒)には優しいが、自分より強い者(ナツィ)や中途半端に強い者(露夏)は「お前」と呼んで手厳しく扱ったりする。
かすみやキヲンとは仲良くやっているが、ナツィは“学会”の命令で監視しているからなのかあまりよく思われていない。
露夏のことは「私の狗」と呼んでよく共に行動している。
右手に仕込まれた術式で白い弓矢を生成したり、背中に鳥のような白い翼を生やして飛ぶことができる。
普段はかすみの所の喫茶店の2階の物置でナツィたちと溜まっていることが多い。
現マスターの鴻海 歳乃(こうのうみ としの)とは付き合いが長く、歳乃からは「友達みたい」に思われているそう。
“学会”からの依頼でナツィや露夏と共に“学会”の外の魔術師や人工精霊と戦うことが多々ある。

・露夏 Roka
この物語のメインキャラの1人。
通称露夏ちゃん。
一人称は「おれ」。
身長は小さい訳でも大きい訳でもなく(158cm)、赤い短髪で頭部に犬のような立ち耳が生えている(よく外ではキャップ帽を被って隠している)。
服装はTシャツの上に赤いジャンパーを羽織っており、下は青い膝丈半ズボンと赤いスニーカーを履いている。
性格は仲間思いで少し世話焼き。
ナツィからはあまりよく思われていないのか、たまに衝突している。
かすみとはそれなりに仲良くしているし、キヲンのことは可愛がってる。
ピスケスからは「私の狗」と呼ばれており、何かと共に行動している。
“きょうだい”の夏緒(かお)のことはいつも想っている。
懐に術式を組み込んだ包丁を隠し持っている。
普段はかすみの所の喫茶店の2階でナツィたちと溜まっていることが多い。
“学会”の依頼でナツィやピスケスと共に“学会”の外の魔術師や人工精霊と戦うことが多々ある。

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造物茶会シリーズ現行公開設定まとめ! その5

・かすみ Kasumi
この物語のメインキャラの1人。
一人称は「自分」。
背丈はそこそこ(161cm)あり、下ろすと肩につくくらいの長さの髪を後頭部でまとめている。
いつも白いブラウスと深緑色のジャンパースカートを着て、足元は薄緑色のパンプスと透ける素材のハイソックスを履いている。
普段後述の喫茶店にいる時は白いエプロンをつけていることが多い。
性格は大人しく優しいがちょっと流されやすい。
普段は小さな喫茶店で主人の手伝いをしており、2階の物置では溜まっているナツィたちとよく連んでいる。
ナツィにめちゃくちゃ好かれているし、かすみ自身もそれを受け入れている。

・キヲン Kiwon
この物語のメインキャラの1人。
通称きーちゃん。
一人称は「ボク」。
小柄(150cm)で金髪をボブカットにしており、鬼のようなツノが2本額に生えている(ツノを隠している時は白いカチューシャをつけている)。
服装はVネックのシャツの上に白いストリート風のロングジャケットで、下は白い半ズボンと黄色と白の縞ニーハイソックス、白系のダッドスニーカー。
また、首には黄色いチョーカーをつけている。
性格は明るくてテンション高め。
ナツィのことが(なぜか)好きで、何かにつけて引っ付いている(邪魔がられがちだけど)。
露夏の”きょうだい“である夏緒とは仲良し。
普段はかすみの所の喫茶店の2階の物置でナツィたちと溜まっていることが多い。
現在のマスターは玄龍大学の学生・万 寧依(よろず ねい)。
ただ寧依とは別の人物によって”造られた“と言っている。

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我流造物茶会:邪魔者と痩せ雀 その①

「せんせぇー、アルベド先生ぇー。ワカバが来ましたよー」
研究室に続く階段を下りながら、ワカバは室内にいるであろう“アルベド”に声を掛けた。
(……返事ないな。いつもみたいに術式構築の最中かな? それなら静かにしなくっちゃ)
そう考えながら、防音加工された扉を静かに開き、隙間から顔を覗かせる。
研究室の中央では、“アルベド”と呼ばれる魔術師の青年が、見知らぬ少女に組み伏せられていた。薄汚れた簡素な衣服を身に纏った痩身の少女は、両脚の膝より下が猛禽のそれを思わせる鱗に覆われ鋭い爪を具えたものに置き換わっており、背中ではところどころ羽根の抜け落ちた、痩せた茶色の小さな翼が生えていることから、人外存在であることは明白だった。
「あれ、先生。新しい娘さんですか? かわいいですねー」
言いながら、ワカバはデスクの上に荷物を下ろした。
「あぁっ⁉ ンなわけ無ェだろうが見て察せ!」
アルベドの言葉は無視して、ワカバは壁際の薬品棚を見上げ、その上に丸まっていた猫の特徴を表出した子供に声を掛ける。
「こんにちは、おネコちゃん」
「……んゃぁ…………」
“おネコ”と呼ばれたその使い魔は、小さく鳴き尾を軽く振って応えた。
「おーい向田ワカバァ、挨拶が済んだら助けてくれ頼む!」
「ん、どうしました先生?」
「見て分かんねーかなぁ⁉ 現在絶賛暗殺されかけてる真っ最中なんだよ!」
猛禽風の使い魔は鋭く伸びた足の爪をアルベドの喉元に突き刺さんと踏みつけを試みており、対するアルベドはその足を下から押し返し、残り数㎝のところで持ち堪えている。
「アルベド先生、結構恨み買ってますもんねぇ……」
「それは否定できねェけどさァ……」
「うーん……ちょっと待っててくださいね」
ワカバは格闘する二人の傍にしゃがみ込み、使い魔の顔を覗き込んだ。

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造物茶会シリーズ現行公開設定まとめ! その4

〈主要登場人物〉
・ナハツェーラー Nachzehrer
通称ナツィ。
二つ名は「黒い蝶」。
一人称は「俺」。
この物語の一応の主役にしてアイコン。
髪は短く癖のある黒髪と黒目で背丈はそんなに低くも高くもなく(156cm)、少年とも少女ともつかない容姿をしている。
服装は基本ゴスファッション(スカートは履かない)で、足元は黒タイツと厚底のショートブーツかメリージェーン(ストラップ付きパンプス)、手にはいつも黒手袋をはめている。
性格は面倒くさがりだけどツンデレ。
でもその強さは折り紙つきで、もしもの時は仲間をちゃんと守ってくれる。
数百年前、高名な魔術師“ヴンダーリッヒ”によって作り出された最高傑作の人工精霊にして使い魔。
人間嫌いだが、「緋い魔女」「緋い魔女と黒い蝶」では相方のグレートヒェンにデレてたりするのでものすごく嫌いって訳ではなさそう。
好きなものは紅茶と甘いもの(甘いものに関しては隠したがってる)。
ジークリンデと名付けた白いウサギのぬいぐるみを大事にしている。
右手に仕込まれた術式によって蝶が象られた黒鉄色の大鎌を生成したり、背中にコウモリのような黒い翼を生やして飛んだりできる。
普段はかすみやキヲン、ピスケス、露夏と共にかすみの主人の喫茶店の2階の物置に溜まってお茶をしていることが多い。
キヲンには好かれているし、隠したがってるけどかすみのことは好き。
ピスケスを通して“学会”から監視されている。
露夏のことはなんとなく気に食わない。
現在の主人は背の高い老紳士で、微妙な関係性。

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造物茶会シリーズ現行公開設定まとめ! その3

こちらは「造物茶会シリーズ現行公開設定まとめ! その2」の続きです。

・使い魔 Familiar
“人工精霊”に物質の身体を与えたもの。
様々な姿形のモノがいるが、この物語では人型が多く登場する。
一般的に自身を生み出した“魔術師”を“親”、自身の魔力の供給源となる魔術師やアイテムを持つ者を“マスター”として認識する。
元は人工精霊なので魔術師からは“生命“として見なされず、むしろ魔術師の“道具”“武器”として扱われ、当人たちもそう認識することが多い(だが現代においてはそう認識する魔術師も使い魔もあまりいない)。
性別はない(だから“そういう器官”はない)が、その人格には男性寄り・女性寄りといった違いがあったりする。
(以下未公開設定)魔力供給が尽きないか術式や頭部を破壊されない限り死なない(それ故に精神年齢が子どもっぽい見た目より老けていることもある)。
人型個体に関しては“人間との識別のため”学会による生成や使い方に関する制限が厳しく、人外的身体特徴を与えなければいけないとか感情や感覚の一部を欠けさせたり薄れさせた状態にしなければいけないとかなど学会によって色々決まっている(でも感情や感覚に関しては結構ガバガバで人間との違いがあまりない個体も少なくない)。
人型の場合子ども(第二次性徴前後くらい)のような容姿をしていることが多いのは、“魔術師への反抗などもしもの時に大人の魔術師の力で簡単に押さえつけられるように”するためだという。
身体能力は個体にもよるが一般の人間より高いことが多い。
その身体に術式を組み込むことで何もない所から武器を生成したりできるし、当人の意思で人外要素を隠すこともできる(少し面倒だけど)。

用語はここまで。
次はキャラクターについてですよ〜

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造物茶会シリーズ現行公開設定まとめ! その2

こちらは「造物茶会シリーズ現行公開設定まとめ! その1」の続きです。

・学会 Magic Association
この世界における“魔術師“たちが自分たちの派閥争いに一般人を巻き込まないために作った組織。
日本では”玄龍大学“という大学を拠点としている。
この世界の魔術師の大半は学会に所属しているが、未だに所属せず独自の派閥や集団で活動する魔術師もそれなりに存在し、そういった人たちと学会は度々衝突している。
(以下未公開設定)現代においては魔術師のなり手が不足した結果魔術という技術が失われることを防ぐため、新たな世代の魔術師を養成することも使命の1つとしている。
「魔術師同士の派閥争いに一般人を巻き込まない」ために作られたが、内部抗争はそこそこある。
正称・魔術学会。

・玄龍大学 Genryu University
“学会”が日本での拠点としている大学。
レンガ造りの建物が特徴的だが、地下など一般学生が入らないような場所には学会が押収したアイテムなどが保管されている。
附属校(小学校など)が近所に所在する。
(以下未公開設定)元ネタは東京のI駅の近所にある大学。
物語の舞台ももっぱらあの辺りをイメージしている(つもり)。

・人工精霊 Artificial Spirit
“魔術師”たちが特殊な“術式”を用いて生成する人工の精霊。
物質の材料をある程度用意した上で術式に魔力を通し、魔術師の肉体や魔石に刻み込んだ術式を発動させて魔力によるリンクをさせると“使い魔”になる。
あくまで世界に元々存在する魔力が寄り集まってできた存在である精霊を人工的に模したモノなので、魔術師たちはそれを“生命”とは見なさない(未公開設定)

その3にまだ続く。

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造物茶会シリーズ現行公開設定まとめ! その1

実験的プチ企画「我流造物創作」の要項を上げた所、「造物茶会シリーズ世界の現時点で分かっている設定をまとめて欲しい」と言われてしまったので自分の中での情報整理を兼ねて設定まとめです。
ただ設定解説の都合上、未公開設定が断片的(つーかかなり)に出てくる可能性があるかも…?
とりあえず最初は用語解説です。

〈用語〉
・魔術 Magic
「造物茶会シリーズ」の世界における、“魔力”を用いて物理法則や常識を無視した現象を引き起こす術。
“術式”を組むことで使うことができ、これを使う人間を“魔術師”と呼ぶ。
この世界における現代では「魔術は一般人に秘匿すべきもの」という暗黙の了解があり、多くの一般人はその存在を知らないか、おとぎ話の存在だと思っている。

・魔力 Magical power
“魔術”を使うために消費するエネルギー。
空間や無機物に宿る不可視の力。
生物など有機物には宿りにくいが、人間は後述の“術式”を上手く使いこなすことで魔力を扱い魔術を行使できる(未公開設定)。

・術式 Sigil
“魔術”を使うために組む、魔力を媒介する回路のようなもの。
(以下未公開設定)パッと見はいわゆる魔法陣のように見えることが多い。
魔力を媒介する物質を溶かした液体で平面に魔法陣的な模様を描いたり、魔力を宿しやすい無機物に模様を刻みつけるなど、様々な方法で組むことができる。
平面の模様として組まれるだけでなく、高度な術式は立体的な形で組まれることもある。
一般的な“魔術師”はその場で術式を組んだりせず、事前に術式を組み込んだアイテムに魔力を流すことで魔術を行使することが多い。

・魔術師 Wizard
“魔術”を使う人間。
色んな派閥に分かれている。
(以下未公開設定)魔術を習得するためには一般に“学会”と呼ばれる機関で術式の組み方や魔術師としての心得、魔術の歴史などなどを学ばなければいけない。
一瞬でも魔術を使った人間は魔術師と言っても問題ないのだが、一般的には“学会”などの機関や魔術師から魔術を教わり使いこなせるようになった者を魔術師と呼ぶことが多い。
最近はなり手不足が深刻。

とりあえず長いのでその2に続く。

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ハルク帝国建国神話 1

昔むかし、六百年以上昔。
帝国が、まだ名もない小国だった時のこと。
当時の皇帝は、何故帝国が弱いのか、と、ある占星術師に尋ねた。
占星術師は、「どうも、帝国より東の、ワルプルギス島がいけない」と言った。
「その島の邪気に当てられているからだ」と。
皇帝はすぐさま調査を命じた。
調査を命じられたのは、帝国最強と名高いサヌオス将軍と、将軍の部下である5人の騎士だった。
将軍一向は調査に出向き、帝国へ文を送り続けた。
その内容は酷いもので、
「島には邪悪な龍、ホムラが居り、島民たちはその邪龍を神として崇め奉っている。また、恐ろしい魔法を操る」と記されていた。
皇帝はすぐさま将軍一向を呼び戻し、島への出兵を命じた。
海に一千の軍艦を浮かべ、五十万以上の兵が島へ向かった。
その後、島へ着くや否や島民たちが襲いかかってきた。
島の内部に進むにつれ、老人や女子供までが襲ってきたという。
魔法が飛び交い、瞬く間に島は炎に包まれた。
将軍一向が何とか島の中心に辿り着くと、そこには神殿があった。
神殿の祭壇には宝珠があり、一人の少女がいた。
その少女の名はリム。
少女は龍を呼び出し、百の厄災と千の魔物で襲いかかってきた。
将軍たちは必死に戦ったが、どんどん限界が近づいてくる。
もう駄目か、と将軍たちが目を伏せたとき。
天からまばゆい光が降り注ぎ、獅子王ハルク・ド・リゼルが現れた。
獅子王ハルクは、聖なる光を放ち、百の厄災を打ち破り、将軍たちの傷を癒した。
傷の癒えた将軍たちは、千の魔物を破り、遂に邪龍と少女に迫った。
すると少女が宝珠に呪詛を呟いた。
それに応えるように邪龍が一声鳴くと、たちまち、島が沈み始めた。
将軍たちは仲間を連れて、慌てて船へ乗り込んだ。
一千あった軍艦は、たったの五つになっていた。
最後の一人が乗り込み、船が出航した瞬間に、島は海底へと姿を消した。

ーーーこの事件は、後に「ワルプルギスの悪夢」と呼ばれることになる。ーーー

その後、帝国は不思議と栄えてゆき、獅子王の加護、将軍を筆頭とした騎士、兵士たちへの感謝を込めて、国の名を「ハルク帝国」とした。

かくして、「旧ハルク帝国」は誕生した。

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【プチ企画】我流造物創作 〈企画要項〉

どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが、今月で自作小説「造物茶会シリーズ」は投稿開始2周年を迎えます。
めでたいですね、いえい。
これもひとえにKGBさんやスタンプやレスを付けてくれる皆さんのお陰です。
ありがとうございます。

…という訳でプチ企画です。
ポエム掲示板の皆さん、「造物茶会シリーズ」の世界観を使って創作、してみたくありませんか?
個人的には少し前に、「ぼくが企画とかとは無関係に書いている物語を他の人が書いたらどうなるんだろう?」と思うことがちょいちょいあったんですよ。
まぁ端的に言えば「二次創作」を見てみたいって訳です。
そういう訳で、プチ企画「我流造物創作」を開催します。
ルールは簡単、ぼくテトモンよ永遠に!が書いている小説「造物茶会シリーズ」の設定・キャラクターを利用して文芸作品を作り、タグ「我流造物創作」を付けて投稿する、これだけ。
ただ公序良俗には気を付けてね。
あとちゃんと「造物茶会シリーズ」を読まないと書けない(はず)なのでまとめやぼくのマイページの過去書き込みに目を通した方がいいかも。
開催期間はこの書き込みが反映されてから今月が終わるまでにします(多少の遅刻は大丈夫)。
「造物茶会」の設定とキャラクターを使っていれば内容は基本なんでもいいし、オリジナル設定やキャラクターをぶち込んでも大丈夫です(二次創作なんで)。
作品形態も問いませんし、タイトルも自由です。
まだ分からないことが多い作品なので、“伏せられている設定”はぼかして描写してもオリジナル設定で埋めちゃっても怒りませんよ。

超実験的な企画ですがよかったらご参加下さい。
ちなみに質問などはレスからお願いします(設定については答えられる範囲で答えます)。
では、よろしく〜

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Flowering Dolly あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
終了から一応1ヶ月くらい経ちましたが、企画「Flowering Dolly」のあとがきです。
よかったらお付き合いください。

今回の企画は5月に開催した企画「鉄路の魔女」の開催中に思いついた世界観になります。
元々中学時代に、“魔法”を使う人造の不老の少女“ドール”たちが適正ある人間を“マスター”として戦う世界観の物語が自分の中にあったんです。
でもやがてその物語は忙しくなったことによりストーリーを考えたり絵を描いたりすることはなくなってしまいました。
だけど(変な話ですが)今年の5月のある日曜日に、ふと脳裏に“ドーリィ”という言葉が閃いたんです。
最初は自分の造語のように感じられたけど調べてみると実在する言葉だということが分かり、そこからかつて自分の中で思い描いていた“ドール”たちの物語をベースに作り上げたのが「Flowering Dolly」の世界観でした。
ちなみにドーリィたちが花の名前を名乗っているのは前に作ったけどボツになった物語で鳥の名前をキャラ名として使っていたため、「今度は花の名前で行こう!」と思ったからですね。

そういう訳で、企画の裏話でした。
ちなみにこの企画の要項を出した時に「自分の企画開催は今度こそこれで最後」とか言ってましたが、また新しいアイデアが生まれたのでまだ続きます(笑)
ただ前に「今度はSFにしようかな」とか言ってたけどやっぱファンタジー系にします。
今度は(企画者的には)ブ◯ーアーカイブ風っぽい感じかもしれません(?)。
まぁ興味がある方は「蝶の学名」でも調べながら気長に待っててくださいな(ちなみに開催時期は未定、希望があればレスからどうぞ)。

そういう訳で、長くなりましたがこの辺で。
テトモンよ永遠に!でした〜

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皇帝の目・回復魔法のご利用は適切に_設定

前回のやってないですね。やってないのでどっちもまとめて書きます。

回復魔法のご利用は適切に
シオン:中学1年生、13歳。魔法はほぼ無知、あんまり頭はよろしくなく、ちょっと(かなり)脳筋な女の子。とにかくでかい。運動神経は全校一で回復魔法の持ち主。怪我を治したり壊れたものを直したり結構幅広い能力。一部の人に看護師呼びされている。出てきてないけどお兄ちゃんがいる。かっこいいので慕っている。

エリザベス:中学1年生、14歳。良家のお嬢様なので魔法に詳しく勉強もできるが残念ながら変人。ドリルな縦ロールでハーフツイン、しかもゴスロリでかなり目立つが上品な性格でもある。爆発魔法の持ち主。「シルバーバレット」と詠唱することで爆弾を銃弾のように打ち出せる。家族が過保護で面倒。

レオン:28歳教員。生徒との距離が近い。(物理精神ともに)重力・引力操作魔法の持ち主。

皇帝の目
梓:人付き合いの下手な中学2年生。自由人だが環境は大事にしたいタイプ。面倒事は嫌いで結構ズボラなところがあるため家族に呆れられている。小さくて貧弱で、ある日ビーストの襲撃に巻き込まれてなんか目も悪くなったので生きづらさを感じている。チトニアのことは好きなので彼女に対しては愛想が良く、可愛がっている。

チトニア:とにかく喧しくてよく叫ぶ元気なドーリィ。テンションが高く物理的距離も近く若干束縛気味なのでマスターになる人がいなかった。皇帝ひまわりのドーリィで、皇帝という名にふさわしく蝶や蜂の眷属がおり、ひまわりらしい明るい金髪と黄色の服が目立つ背の高い少女。武器などもいろいろ持っている。今は梓にべったり。

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エッセイ的な何か

世の中には「孤独が耐えられない!」「ひとりぼっちだと死んじゃう!」って人、結構いるよね。
それに対して今のウチは、ずっと1人でもなんとも思わないし、むしろ1人の方が気が楽な時があるのよ。
「孤独を好むのは発達障がいのせい」と言えばそれまでなんだけど、正直それじゃあ腑に落ちない。
じゃあなぜか、色々調べたり考察したりしてみると「自己を肯定できているか」って所に行き着く。
「孤独を感じない人」は自分のことを1人で評価できているから自己肯定感が高くなるが、「孤独を感じる人」は他人にばかり己の評価を求めているから寂しがってるそうなんだ(ネット調べ)。
まぁホントかどうかはさておき、寂しがってる人って他人に肯定されたがっているのかなとは思える。
そういう人って、認識の有無を問わず自己肯定感が低そうだしさ。
自分が一時期友達が欲しくて仕方なかった時も、自己肯定感が低かったんだよね(あと普通の人間は友達がいて当然という思想)。
それがどうでもよくなったのって、ある意味学力とか他人への信頼とか色んなものを失って最後に自分の中に己が愛した創作活動しか残らなくて、ひたすらそれを続けていたからだし。
あと歳の近い妹に「大学では好きなことをやっていい」って言われたこともある。
好きなこといっぱいやってる内に気付いたら寂しさを感じなくなっていったんだ。
だから孤独を感じる人は“(コンプライアンスに抵触しない程度に)1人でもできる”好きなことを見つけることから始めてみようぜ。
きっと好きなことに没頭してれば寂しさなんて感じないはずだからさ。

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魔狩造物茶会 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
予告通り「魔狩造物茶会」のあとがきです。
どうぞお付き合いください。

今回のエピソードは「とりあえずナツィたちがバトってるシーンを書きたい!」という願望から作りました。
ただそれだけじゃ無理があるので、今まで出してこなかった設定を出すことにしました(ナツィの“保護者”とか)。
まぁまだ謎は多いですが、次のエピソードはメインキャラのかなり重大な設定が出てくる予定ですので楽しみにしていてください。

さて、今回はかなり短いですがこの辺で…と言いたい所ですが、少し言っておきたいことがあるので少し。
いつも「ハブ ア ウィル」と「造物茶会シリーズ」を交互に投稿してきたので、「造物茶会」を投稿した次は「ハブ ア ウィル」を投稿しようとしているのですが…
なんと、次のエピソードを全く執筆できてないんですよね〜(笑)
ここ最近、大学での所属サークルの会誌の原稿のネームを描いたり、身内が危篤になってお見舞いに行ったり(ちなみに今は持ち直した)したので全然執筆している余裕がなかったんですよ。
あと今後も夏休みの最終盤になってゼミの発表会が2日連続であったり、学園祭実行委員会の活動があったり、実行委員会の仲間と遊びに行く約束してたりと怒涛の展開が待っているんです。
今さっきだって、学園祭で実施するスタンプラリーの台紙のデザインの下書きを急遽作ってたし…
まぁだいぶ忙しくて書いてる余裕がない訳です。
そういう訳で、次は結構前に書いた「ハブ ア ウィル」の番外編を投稿しようと思います。
いわゆる「過去話」ですが、お楽しみいただけたら幸いです。

という訳で、今度こそこの辺で。
「造物茶会シリーズ」第9弾もお楽しみに。
それでは、テトモンよ永遠に!でした〜

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Flowering Dolly:釣り人の日常 その⑩

結局、空間は広げてもらえないままバリア内部にて待つこと数分。ようやくいつものドーリィが来て、巨大ウミヘビを海の方まで押し返してくれた。
「ようやく安全になったか……。おいカリステジア、もうバリア解除して良いぞ」
「えー」
「何が『えー』だよ」
「せっかくだし、もう少しだけこのままじゃ駄目ですか?」
「駄目」
「むぅ…………まあ、お兄さんが言うなら……」
ようやく解放され、バリアの壁にもたれていたものだからそのまま倒れる。軽く頭を打った。
「痛って……」
「お兄さん、大丈夫ですか? 治しましょうか?」
「いや大丈、夫……あん?」
ふと、自分の右手首を見る。カリステジアのと同じ場所に、同じ紋様が刻まれていた。
「……あーお前と契約したからか…………これ、銭湯とか入れるのかな……」
「えっ可愛いドーリィと契約した証を見て最初に思うのが刺青判定されるかどうかなんですか?」
「そりゃまあ、そもそも押し売られたものだし。思い入れも何も無ェ」
「そんなぁ」
釣り道具を片付け、立ち上がる。
「あれ、今日はもう帰っちゃうんですか?」
「いや、場所変える。流石にあのウミヘビに粉砕された堤防で釣りは居心地悪いし」
「あっ釣りはやめないんですね」
「まーな。ドーリィが守ってくれるんだろ?」
「っ……! はい! 全身全霊を以て!」
この場所も気に入ってたんだが、壊された以上は仕方がない。新しいポイントの開拓といこうか。