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魔法譚キャラクターまとめ1

作者 flactorさん
作品名 霧の魔法譚
・イツキ
願い 空飛ぶ車でドライブしたい
マジックアイテム ミニカー
魔法 ミニカーの巨大化。巨大化したミニカーは実際に運転できるようになる上、空を飛ぶ。

・シオン
願い 不明
マジックアイテム 不明
魔法 不明

作者 白昼夢見人さん
作品名 田中の日常
・田中
願い 目を良くして欲しい
マジックアイテム サングラス(既に破壊)
魔法 不明。戦闘力は高い。

作者 テトモンよ永遠に!さん
作品名 魔法譚〜エンドレスジャーニィ
・前埜アキ
願い 空を飛びたい
マジックアイテム 革製のマント
魔法 空を飛ぶ魔法と思われる。変身後の衣装に付属する刃のついたグローブで攻撃も可能。

作品名 魔法譚〜ウィザードパーティ
・サワラ
願い 不明
マジックアイテム 不明
魔法 治癒魔法の類

・アツマ
願い ここで死にたくない
マジックアイテム おもちゃみたいな銃
魔法 銃が小瓶に変身し、その中の錠剤を飲んだものは最低限死ぬことだけは回避できる

・フリード
願い 不明
マジックアイテム 不明
魔法 不明。戦闘力のある魔法と思われる。

・ユウキ
願い 不明
マジックアイテム 不明
魔法 不明。杖を使用する。状況から補助系の魔法と思われる。

・エリ
願い 不明
マジックアイテム 不明
魔法 不明

・少女
願い 不明
マジックアイテム 鞄
魔法 不明。ある程度の戦闘は可能らしい。 

作品名 因果応報
・センヤ
願い いじめてくる奴らに、同じ痛みを味わせたい
マジックアイテム オルゴール
魔法 自分が受けた痛みをそのまま相手に返す

少し前にテトモンよ永遠に!さんが企画した魔法譚、今も少し続いていますが、個人的興味で登場した魔法使いの皆さんをまとめようと思い立ちました。

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霧の魔法譚 #7

「じゃあイツキ君、パパっとやっちゃって」
「へいへい」
大賢者に促され、イツキは面倒くさそうにポケットからミニカーを取り出す。彼が魔法を発動させると手に持っていたミニカーがみるみるうちに大きくなり、やがて通常の車と同じサイズにまで巨大化した。
「これがイツキさんの魔法……」
「おう、すごいだろ?」
シオンが驚いていると、イツキが後部座席のドアを開けてくれる。中にはしっかりとした座席がしつらえており、先ほどまでミニカーだったとは思えない。
イツキのマジックアイテムは小さなミニカー。プルバック式のこの玩具は魔法を発動すると同時に巨大化し、おまけに内部構造も運転できるように改変されるため乗ることができるようになる。
大賢者は慣れた手つきで助手席へと腰を下ろした。
「イツキも今はこんなんだけど、昔はかわいいとこあったんだよねぇ。空飛ぶ車でドライブしたい! って純粋というかなんというか」
「うるさい。ミニカーを運転したいという小さな子供が持つにしては真っ当な夢だろ。てか我が物顔で乗り込むな大賢者」
「シオンにはドアまで開けてあげてたのに私には雑な扱いすぎない?」
言いあいながらしっかりとシートベルトを締め、イツキもため息を百回くらい吐きたそうな顔をしながら運転席へと乗り込んだ。
さきほどは仲が悪いのだろうかと二人を心配していたシオンだったが、どうやら彼らにとってはこれが通常運転らしいと気づいてからは何も言わなくなった。きっと旧知の仲というか腐れ縁というか、とにかく険悪な関係ではなさそうなのを見て取って安心する。いまでは軽口をたたきあう二人をほほえましく見ていた。
「シオン、シートベルトは締めたか? ……って何笑ってるのさ」
「いえ、すみません。では早速出発しましょうか」

***
#7更新です。
スタンプやレスありがとうございます。遅筆な私の励みとなっております……。そろそろ期末レポートも終わりそうなのでこっちの作業に集中できそうです。もうしばしお付き合いをば。

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霧の魔法譚 #5

「申し訳ない! この通り!」

転移魔法のタイミングが完璧すぎたせいでみんなの気合を根こそぎ刈り取った大賢者は、今はもう解散してイツキしか残っていないブリーフィングルームで平謝りしていた。
「大賢者の存在自体が全力で謝罪から誠意というものを奪っていってる気がする」
「ごめんって! いやこの格好については謝るつもりはないけども!」
「はぁ……、もういいっすよ。それよりこんな時に何の用ですか」
大賢者の中身のない謝罪は適当にぶった切っておいて本題に移る。
「なんだか謝罪を適当に受け流されたような気がするが……。まあ確かに時間を無駄にするわけにはいかないからな。それで今回はイツキに素晴らしい提案をしにやってきた」
「なんすか、それ」
「聞いて驚け、“空の旅”のご案内だ」
「……」
「…………」
「話したいことはそれだけですか? それじゃ僕はいろいろ確認することがあるのでこれで」
イツキが話は終わりとばかりに踵を返す。
「いやいやちょっと待ってくれ! 比喩! ジョーク! 空の旅はほら、あの、例え話だから!」
「ッ」
「舌打ちした!?」
「ふざけた言い回しすっからでしょうが!!」
「大賢者様、出立はまだですか?」
イツキが本気でイラつき始めたその時、大賢者の影から進み出てくる者がいた。
雪のような白い髪に藍色の着物。下駄をカランコロンと鳴らして大賢者の横に並び立つ。
「ちょっとふざけすぎたらイツキが怒っちゃって」
「あら大賢者様。人をからかうのもよろしいのですが、そろそろ話をお決めになられて?」
「うーん正論」
ごめんねと女の子に言うと、イツキのほうに向きなおった。

「すまないイツキ、少し手伝ってほしいことがある」

***
数日空きまして投稿です。
最近ばっちり期末に差し掛かってまして更新だいぶ遅いですが、しっかり完結させるのが誠意かなと思うので頑張ります。

イツキ相手にふざけて怒らせてしまった大賢者ですが、気を取り直してお手伝いを頼みます。

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魔法譚 ~エンドレスライフ、エンドレスジャーニィ Ⅲ

「…そうかい? でもこの歳になっても魔法使いとして生きられるなんてすごいと思うよ? だって…」
「…ほとんどの魔法使いは、大人になる前に死んでしまうから」
大賢者が先に言う前に私が答えると、…そうね、と少し悲しげに答えた。
「みんな、幸せになるために魔法使いになったのに、みんな、悲劇の死を遂げてしまう…」
大賢者は悲しそうにうつむいた。
「そんな風に悲しむのなら、魔法使いなんて生み出さなきゃいいのに」
どうして生み出し続けるのよ、と私は言った。
それを聞いた大賢者は、私の目を見つめながら答えた。
「…だって、この世で魔法を使えるのが、わたし1人だけじゃ寂しいじゃないか…」
もちろん、魔法を持たないキミ達に魔法を与えて、どんなことをするのか眺めて楽しむってのもあるけど、と彼女は付け足す。
「…わがままね」
私は少しだけため息をついた。
「…でも、どんな願いもわがままと変わらないじゃないか」
「私のはちょっと違うと思いますけど」
大賢者のツッコミに、わたしはさらっと反論した。
「…オカルトなんて、基本信じてなかったから。だからあの時は、適当に『空を飛びたい』と願ったのよ」
私は彼女から目をそらしながら呟いた。
「…まぁ、いいわ」
そう言って、大賢者はふわりと飛翔した。
「わたしはこれからも、誰かのわがままを、自分のわがままを、叶えるために世界を巡るわ」
あなたも頑張るのよ、そう笑って、大賢者は夜空へと消えていった。

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魔法譚 ~エンドレスライフ、エンドレスジャーニィ Ⅱ

「…」
とん、と地面に着地し、元の姿に戻った私は、さっきまでバケモノがいた方を向いた。
凶刃、いや凶爪に敗れたバケモノは、すでにチリとなって消えていた。
やっと帰れる、そう思って元来た方へ戻ろうとすると、どこからか、乾いた拍手が聞こえた。
音がする方を向くと、電柱の上に見知った顔がたたずんでいた。
「お見事」
金髪に青いエプロン、白い帽子と白い日傘。
どこかおかしいような、おかしくないような恰好をした人物は、数メートルある電柱のてっぺんから、軽やかに飛び降りた。
「…やはり、キミは戦闘のセンスがあるねぇ」
いっそ警官や自衛官にでもなれば?と女は笑う。
「…大賢者」
私はぽつりと呟いた。
「いやぁ、元気そうで何よりだ…”前埜アキ”」
大賢者は笑顔で私に歩み寄ってくる。
「さすが、わたしの自慢の魔法使いだ」
「自慢することないと思うんですけど」
私はいつものように彼女の言葉を流した。
「…自慢することないって、キミ、自分がいくつなのか分かってる? にじゅぅ…」
「それ以上はやめてください」
私はきっぱりと大賢者の言葉を遮った。
さすがに、この歳になると年齢が気になってくる。
大賢者はつまらなさそうな顔をした。

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魔法譚 ~エンドレスライフ、エンドレスジャーニィ Ⅰ

すっかり日も暮れた駅前、バスロータリーにしろ駅の構内にしろ、どこもサラリーマンやOLでごった返していた。
騒がしい人混みを尻目に、私は駅の入り口へとまっすぐ向かっていた、が。
「…」
背後から気配を感じる。
振り向くと、自分の後方約20メートルのところに、まるで油絵の具を塗り重ねたような、としか形容しようがない”何か”がいた。
見るからに高さは2メートルほどあってかなり目立つが、道行く人々の目には見えていないように見えた。
…面倒な。
私は心の中でそう呟くと、人気のない路地裏へと足早に向かった。
そして、路地の奥の方まで入ったところで、私は手提げ鞄の中から革製のマントのようなマジックアイテムを取り出し、勢いよく羽織った。
マントを羽織ると、いつも着ているスーツはオレンジ色のワンピースに変わり、頭には魔女が被っているような帽子が現れた。
そして手には、巨大なかぎ爪のついたグローブ。
「…いるわね」
ちら、とさっき来た方を見やると、そこにはさっき駅前でみたバケモノがたたずんでいた。
少しの間それを見つめたのち、私は路地の奥へと走り出した。
もちろんバケモノも、見た目に見合わぬスピードで私を追いかけだした。
「…フッ!」
10メートルほど走ったところで、私はコンクリの地面を蹴り上げ、文字通り飛翔した。
そのまま猛禽のように加速し、時々進行方向を曲げながら徐々にバケモノとの距離を離していく。
「!"#$%&'()=~|~{}*?_>+*`{|~=!!」
バケモノもバケモノで、意味の分からない喚き声をあげながら、私に追い付こうと飛行、加速していく。
「…面倒な奴」
ちょっとだけ舌打ちしたのち、私は丁度目の前に迫ったビルの外壁ギリギリのところで減速した。
そして思いっきり壁を蹴っ飛ばして方向転換すると、そのまま両手のかぎ爪でバケモノに斬りかかった。
「!!」
突然自分に向かってきた魔法使いに思わずひるんだバケモノは、為す術もなくわたしのかぎ爪に斬り裂かれた。

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魔法譚 ~ウィザードパーティ Ⅱ

「…すごい」
倒れていた少女はゆっくり上体を起こしながら呟く。
「皆さんすごいですね、チームワークとか、魔法とか、本当…」
そうかな?と周囲のコドモ達は顔を見合わせる。
「…別に、ぼくらの魔法自体は特別すごいモノじゃないと思う」
「だよね! ていうか、ここにいるメンバーって魔法使いになったことに対してネガティブな感情を持ってる子多いし…」
へ?と倒れていた少女は驚く。
「あ、ここにいるメンバーはね、魔法使いになったのは良かったんだけど、手に入れた魔法が思ってたのと違ったとか、願いを叶えてしまって魔法を持て余してしまったとか、そもそも魔法使いになったことを後悔してる子とか、色々いるんだ…」
「うちらはそういう集まりなんです」
周囲の魔法使い達がそう説明すると、倒れていた少女は、そうなんですか?と聞き返した。
「うん、そうだよ。さっきのアツマ先輩も、何年か前まであんなすごい魔法を手に入れたことを後悔してたって言うし」
「『ここで死にたくない!』って願ったのに、手に入れたのを後悔するなんて変だよねぇ」
「ちょっとエリ! それじゃ先輩に失礼でしょ」
魔法使い達の中のよさそうな会話を聞きながら、少女は自分の手元にある鞄型のマジックアイテムを見つめた。
「…あの、わたしも仲間に入って良いでしょうか?」
魔法使い達の視線が一瞬にして少女に注がれた。
「…わたしも、自分が手に入れた魔法の使い道があまり見当たらなくて…だから」
少女は魔法使い達をまっすぐ見据えた。
「だからわたしも、な…」
「あ、仲間になってもOKだよ!」
和服のような恰好をした魔法使いの言葉に、少女はぽかんとした。
「うちらの集まりは、来るもの拒まず、去るもの追わずのゆるい集まりだからね! 出会ったその時から、仲間みたいなもんだよ!」

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魔法譚 ~ウィザードパーティ Ⅰ

「先輩! こっちです!」
和服のような恰好をした少女に導かれ、蛍光色の妙な格好をした少年が家々の屋根の上を走っていく。
少年が着いた先では、他のコドモ達に介抱されている変わったセーラー服姿の少女が倒れていた。
「うちらが来る前から戦ってたみたいなんですけど、ついさっき”アイツ”の攻撃をモロに食らって、それで…」
周りのコドモ達の話を聞きながら、少年は倒れている少女に目をやった。
目に見えるケガは見当たらないが、少女は苦しそうに呼吸している。
「…さっきからサワラが治癒魔法何回も掛けてんですけど、あんまり効果がないみたいで…」
うん、うん、とうなずきながら、手の中のおもちゃみたいな銃を小瓶に変身させた。
「とりあえずおれの出番って事だな」
少年は小瓶の蓋を開けながら呟いた。
「…」
倒れている少女はちらりと少年の方を見た。
「あ、大丈夫だから、とりあえず応急処置をするだけ。安心して」
少年はそう少女に言いながら、小瓶の中の蛍光色の錠剤のようなものを少女の口に放り込んだ。
「これで平気。とりあえずこれで”死ぬこと”だけは回避できっから。あとおれの手でマジックアイテムを使ったから、ちゃんと効果は発動する、大丈夫」
訳の分からないまま錠剤を飲まされた少女は、とりあえず少年の言葉にうなずいていた。
「サワラ、もう1回治癒魔法掛けてくれ。多分今なら効くと思う」
あ、はい!と聖職者みたいな恰好をした少年は答え、倒れている少女の方へ駆け寄った。
「…そういえば、他のみんなは?」
さっきの錠剤の入った小瓶をまた銃に変えながら、少年は周りのコドモ達に尋ねる。
「フリード先輩とかはあっちでまだファントムと戦ってます!」
和服のような恰好をした少女は空を指差した。
その方向に目をやると、コドモが何人か、表面が木目のような模様になっているクビナガリュウのようなバケモノと戦っている。
「OK! ユウキ!」
はい! 先輩!と背の高い少女が杖を振るうと、少年は少しの助走をつけてから、そのまま住宅の屋根を蹴ってファントムの方へ跳んで行った。

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無幻の月-戒放-

埠頭までの直線距離自体は比較的近かったが少し寄り道することにした。魔力のテストのためだ。
通行人数人に思い付く限りの呪文をかけてみたが確かに制限は外れており、どんな魔法でも自在に行使できるようになっていた。
ふむ...考察は正しかった...なら...
桜改めサクラは気配を消して今度こそ埠頭まで行くことにした。

埠頭は既に地獄の門と化していた。哭羅はファントムに怒ったように何か指示を出している。多分、私を探しているのだろう。
そんな時、一体のファントムが哭羅へ反乱した。だが触れるより前に喰われてしまった。
「(まぁ...一体ならこんなものか)」
無感動に海に向かってサクラが呪文を唱えると海が沸き立ち始める。
「甦れ亡者よ!私がお前たちの新たな主人だ!」
サクラの切り伏せたファントムが海から哭羅めがけて突撃する。
哭羅はもちろん、周りのファントムたちも何が起きたのか理解できなかったようで動きが止まるがすぐに応戦を始める。
しかしこの一瞬が命取りで皆防戦一方だった。
「...散れ!」
サクラが一瞬ずらして突撃し、魔力で巨大化させた鎌を振り下ろす。
傀儡ごとファントムは全滅させたが、哭羅に対しては腕と足を持っていったものの避けられてしまった。
これだけ斬れれば十分だろう...
哭羅の真上まで上昇し、鎌を天に掲げて呪文を唱える。
同時に哭羅も咆哮と共にサクラへ手を伸ばす。
「届くまい...己の部下と共に砕け散れ!」
先ほど全滅させたファントムの傀儡が哭羅の足をつかむ。
無慈悲に振り下ろされた鎌は空の亀裂ごと哭羅を斬り裂いた。

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魔法譚 〜因果応報 Ⅱ

「…やぁ」
バケモノを退治した後の少年の背後から、声が聞こえた。
少年が振り向くと、そこには見覚えのある顔があった。
「…大賢者さん」
「そうだよ、わたしさ。久しぶりだね、“村雨 千夜”くん」
センヤ、と呼ばれた少年に、大賢者は笑いかける。
「随分戦いに慣れてきたね」
「そうですか?」
そう答えるセンヤの服装は、昔風の軍服から学校の制服に変わった。
「…まぁ、魔法使いになってから2年くらい経ってますからね」
センヤはオルゴールの形をしたマジックアイテムをポケットの中に入れながら言った。
その様子を見ながら、ふと思い出したように大賢者は呟いた。
「…そういえば、キミの願いは何だったかな」
センヤは笑顔で答える。
「いじめてくる奴らに、同じ痛みを味わせたい」
「…まさに因果応報ね」
大賢者はボソっと言った。
「手に入れたのが、“自分が受けた痛みをそのまま相手に返す”魔法で本当によかったですよ。お陰であいつらに復讐することができたし、ファントムの退治もできるし」
本当にありがたい、とセンヤはにこりと笑う。
そうかい、と大賢者は素っ気なく答える。
「キミが後悔してないみたいで本当に良かった」
こういう願いっていうのは、途中で後悔することがよくあってね…と大賢者は苦笑する。
「…後悔なんてするわけないじゃないですか」
センヤは明るく返答した。
なら、本当に良かったわね、と大賢者は呟い
た。
そしてぽつりと一言こぼした。
「…やっぱり、人間って面白いわね」
「?」
センヤは不思議そうに大賢者の顔を見た。
「…色々な願いを抱えて生きてるからねぇ」
大賢者はセンヤの目を見据えたまま答えた。


***********************
どうも、大賢者の代弁者です。
企画は早くも後半戦に突入しますね。
今からでも、企画への参戦は大歓迎ですよ。
あと参加するときは作品に「魔法譚」のタグを忘れずに付けてくださいね。
…さぁ、後半戦も、楽しんで参りましょう!

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魔法譚 〜因果応報 Ⅰ

ーひゅん、ひゅぅん、と何かが風を切る音が聞こえる。
音のする方角では、昔風の軍服を着た少年が、鞭を振りまわしながら奇怪な生物に立ち向かっていた。
「…っ」
伸び縮みする鞭で、ライオンの胴体に観葉植物のような頭のついたバケモノに少年は攻撃を加えていたが、怪物の側頭部から伸びた蔓のようなものに弾き飛ばされてしまった。
だが、少年は地面に打ち付けられた衝撃をものともせずに起き上がると、手の中の鞭をオルゴールに変身させ、そのゼンマイを巻き始めた。
「={${*}”{>;‘,$\>\<;’;!」
無防備になった少年に向かって、バケモノは悠々と唸り声をあげながら近づいてくる。
しかし、あと数メートルのところで、バケモノは足元から崩れ落ちた。
「$;“\<\<⁈」
バケモノが己の身体をよく見ると、全身のあちこちにミミズ腫れやアザのような傷ができている。
何が起きたのか分からないバケモノは、必死になって立ち上がろうとするが、痛みに耐えきれないのかすぐに動けなくなった。
少年は音の鳴らないオルゴールを片手に、静かに化け物に近づいていった。
「”これ”が、さっき君が僕に与えた痛みなんだよ?」
少年は笑みを浮かべながら、オルゴールを鞭に変化させた。
そして無言で鞭を思い切りバケモノに振るった。

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無幻の月-宿痾-

「哭羅(コクラ)...そんなものまで出てくるなんてねぇ...」
桜は戦場から少し離れたところにワープさせられてた。
「賢者...なぜ助ける...」
「緊急事態なんでね。本来はこんなことはしないけど哭羅が出てきちゃったからねぇ...絶対にキミにはヤツを倒してもらいたい」
コクラ...あのでかいヤツのことか?
「だからキミの腕は魔術的に繋げさせてもらった」
なるほど、まだ変身状態なのはそういうことか
「賢者、二つ聞かせろ」
「なんだい?今さら降りるとかは無しだよ?」
「一つ、コクラとか言うあの怪物はなんだ、あれを放置すると何が起こる」
「あれはファントムの上位種。いわば支配者、王様みたいなものだ。この世界では...なんだっけ...あーそうそう、ダゴンって呼ばれてる」
ダゴン...昔何かで読んだな...どっかの宗教の神様だったか?なるほど、それであんなに強いわけだ
「そして、あれを放っておくとこちらの世界がメチャクチャになる」
さした影響は無さそうだな
「では二つ、私があの指輪を取り込んだらどうなる」
一緒にワープさせられた右腕を手に取りながら言う。
これは前々から考えていたことだ
取り込めれば恐らく指輪のリミッターを外せる
もっともこれが危険な賭けなのがわからないほど私も馬鹿ではないのだが
「...あなた正気?」
いつも飄々してた大賢者の顔が険しくなる。
「正気だ。お前が私の前に現れた時と同じくらいにはには」
「...そもそもマジックアイテムの力にその肉体が耐えきれない。仮にそこをクリアしたとしてもキミは常に変身状態でいるここと同じになる。人の精神がそれに耐えられるはずがない」
「なるほど...面白い!」
聞き終わった後、指ごと指輪を飲み込んだ。
体内で力が駆け巡る。耐えきれないというのは納得だった。
だが...これなら...
暴れだしそうな魔力を精神力でねじ伏せる。
それはもう、人に非らざる魔なる者だった。
「あなた...何を...!?」
「...いい気分だ...」
「この魔力...ファントム!?まさかあなた、アレも取り込んだの!?」
どうやら、あれは禁じ手だったらしい
持ってかれた右腕を魔術で生やし、焦る大賢者を尻目に再び戦場へ飛び去った。

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魔法譚 死にたくない魔法使い2

突然、身体を丸めるようにして苦しんでいた少年が、耳を塞ぐのを止めて姿勢を正した。
「僕はさ……、ただ願っただけなんだよ。『死ぬのが怖い、死ぬのは嫌だ』って。それだけなんだ。そしたらあの人は、僕に言ったんだよ……」
少年の頭に、『大賢者』と出会ったときの会話が思い出される。

『少年、死ぬのが怖いと言ったな?』
「うん、言った」
『そうか、ところでお前さん、自分を怖いと思うか?』
「いや、思わない」
『そうか、それは幸せなことだ』
「そうなのです?」
『ああ、世の中には、自分自身が怖いなんてことを言う奴だって居る』
「それはまた奇妙な。どんなに怖がったって自分からは逃げられないでしょう?」
『死もまた、決して逃げられないことさ』
「そりゃあ、運命による死はそうでしょう。けど、何か悪いものが僕を害して、そのせいで勝手に死なされる、それが怖いのです」
『ふむ、……それなら少し……、いや、よそう。結局はお前が決めることだ』
「何の話です?」
『いや、「お前は幸せ者だ」という話だよ。さあ、これをくれてやろう。後はお前と、お前の願いが決めることさ』

少年は懐から小さな白い何かを取り出した。それは、『骨片』。何かの生き物のどこかの部位の、ほんの小さな、少年の指の長さほどの骨の欠片。
「つまりはさ、何も分からないから怖いんだ。いつ来るのか、そもそも何なのか。未知こそが恐怖の正体なんだよ。なるほど確かに僕は僕を怖がらない。その答えが『自分』ならさ……」
少年の姿と服装がが少しずつ、変化していく。
「少しハ、マシなんじャア、無いカナ?」
あまり高くなかった背丈は、いつの間にか大の大人さえ軽く見下ろせるほどのものになっていて。ボロボロの黒いローブから覗くは、骨だけの腕と顔面。トレードマークの大鎌こそ持ってはいないが、その姿は確かに『死神』だった。

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魔法譚 死にたくない魔法使い

ある時ある場所にて。その少年は、友人数名と学校からの帰り道にいた。
少年がふと気付くと、道の脇に一匹の黒猫がいた。
「あ、ネコ……」
「ネコ?どこに?」
「ねこはいます?」
「ミームか?」
どうやら少年以外には見えなかったらしい。その黒猫が、とても不自然なことなのだが、ニタリと笑った。さながら、童話に書かれたチェシャ猫のように。
「……ごめん。今ちょっと急に用事ができた」
「お、また用事か」
「お前よく用事召喚するよな」
「なに、今更止めやしねーよ。さっさと行ってきな」
「うん、ありがとう。それじゃ、また明日」
少年は友人達と別れて、黒猫とは反対側に、体力不足故にときどき歩きつつも、走りに走った。そして、三方を塀に囲まれた行き止まりに行き着いた。
『クックックックックッ………。わざわざこんな始末しやすい場所に来てくれるとは、何とも親切じゃあないか、魔法使い様ヨォ?』
先程の黒猫が現れ、話しかけてきた。しかも、人間のように二本足で器用に歩きながら。
「うう、何なんだよお前ら……。確か、ファンタズムとか何とか……」
『阿呆。ファントムだ。お前らはそう呼んでるんだろう?え?』
「そうそれ。何で僕ばっかり虐めるのさ……。せっかく人間からのいじめも無くなって友達もだんだんできてきたっていうのに……」
『そんなこと知ったことか。さて……』
いつの間にか周りの塀の上には、何匹ものネコが集まっていた。
『冥土の土産に名乗ってくれよう。我こそは猫を統べる〈ケットシー〉!闇に生きる王、不可解の魔獣!これから貴様を殺す者なり!』
ケットシーが周りのネコに呼びかける。
『さあお前達!歌え、【人を殺す歌】!死肉は好きにくれてやる!』
その合図と共に、ネコ達が一斉にニャアニャアと鳴き出した。何十、何百と重なり、不快なハーモニーを生み出すその鳴き声に、少年もたまらず耳を塞ぐ。
「うう、頭痛がする……吐き気もだ……。何だよこの鳴き声……。一体何匹居るんだよ、このネコ共は」
『お前には知る必要の無いことよ!しかしこれだけは教えてやる!この歌は音の重なり合いによって特殊な周波数を生み出し、貴様らのような人間の脳味噌と肉体を直接に殺す、必殺技なのだ!魔法を使うといったところで、所詮は人間!このままくたばりやがれェッ!』

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魔法譚 〜開幕篇

「…中止になった最後の公演をしたい」
目の前の1人の少女は、力強く言った。
「本当に、それで良いのかい?」
これで確定させちゃったら後には戻れないよ?とわたしは尋ねる。
「いいの、これがわたしの叶えたい願いだから」
少女は毅然と答えた。
「ふーん、そうなの」
じゃぁ分かった、とわたしは答えて、1つ指を鳴らした。
すると、宙に1冊の軽そうな本が現れた。
落ちてきた本を手で受け止めてから、わたしは少女にそれを手渡した。
「はい。ご注文の品だよ」
少女は作られたばかりのマジックアイテムを恐る恐る手に取った。
「…これ、どうやって使うんです?」
少女は本をパラパラしながら呟く。
「そんなの、わたしにも分からないけど?」
「え」
わたしの回答に、少女はフリーズした。
「…まぁ、分からないって言っても、そのマジックアイテムで魔法を使う方法とか、使える魔法の種類が分からない程度だからね。変身機能は念じれば使えるってのは分かってるでしょ」
相手が勘違いしないように説明したが、少女は呆然としたままだった。
「…とりあえず、色々と試してみると良い。どんな魔法が使えるのか、どうやったら魔法が使えるのか」
キミの望みを叶えられる魔法が使えることは確かなんだから、とわたしは諭した。
…暫くの間、少女は手の中のマジックアイテムを眺めていたがふと顔を上げた。
「…ありがとうございます」
そうかい、まぁ頑張って、とわたしが答えると、少女は一礼してその場から去っていった。

「…最後の公演をしたい、か」
少女の後ろ姿を見届けてから、わたしはぽつりと呟いた。
「やっぱり、人の願いは十人十色だね〜」
だから面白いんだけど、とわたしは1人笑う。
「そういや、この国では今日、願い事を短冊に書く行事があるんだっけ」
そんな夜に、短冊に書かれた願いを文字通り叶えてやるのも面白いかもしれない。
…なら。
わたしは日傘片手に地面を蹴り上げ、舞い上がった。
…どこかにいる、魔法使いの“原石”を探しに行くために。

待ってくれていた方、お待たせしました。
企画「魔法譚」の開幕です。
7月10日24時まで、のんびりと楽しみましょう!

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魔法譚 〜開催前夜

知ってる人はこんばんは、初めての人ははじめまして。
テトモンよ永遠に!改め、“魔法の伝道師”大賢者の代弁者です。
早くも企画「魔法譚」(読み:まほうたん)のスタートが、明日に迫ってきました。
…え、なにそれ?って人もいると思うので、ここで改めて企画の概要説明をしようと思います。

文明の発達により、非科学的なものがほとんど否定された現代。
だがそんな世界で、“魔法の伝道師”大賢者は魔法を扱う素質があるコドモ達に、願いを叶えるための魔法の道具“マジックアイテム”を作り与えていた。
大賢者によってマジックアイテムを手渡された人々、“魔法使い”は、その命を狙うバケモノ“ファントム”とマジックアイテムの変身機能を使って人知れず戦っている…

そんな世界を舞台に、魔法使い達のお話を詩や小説という形でみんなで作って楽しもう!というのが、この企画の概要です。
(詳しくはタグ「魔法譚」から「企画概要」を見てね)

企画の参加方法は、自分の作品に「魔法譚」のタグを付けるだけ!

投稿作品は詩でも小説でも何でもOKです!
三人称や魔法使い視点じゃなくても、大賢者視点のお話も良いですよ。

開催期間は、7月7日21時〜7月10日24時までです!
あと予定ですが、企画終了後に企画「魔法譚」のまとめを作ろうと思っているのであしからず。

細かいこと(用語解説など)はタグ「魔法譚」から「企画概要」や「用語解説」を見ることをおすすめします。
あと、質問や気になることがあったら、どんなことでもレスからどうぞ。
初めての企画なので慣れないところもありますが、頑張って進めていきたいと思います。

皆さんのご参加、楽しみに待っています。

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魔法譚 〜用語解説 Ⅲ

企画「魔法譚」の用語解説、Ⅱの続きです。
企画概要はタグ「魔法譚」から。

〈魔法使い〉
大賢者からマジックアイテムを受け取って魔法を使えるようになった人のこと。
マジックアイテムを使うことで魔法を使用できるが、1つのマジックアイテムで使える魔法は1種類までなので、実質1種類しか魔法を使えない。
異方からやってくる“ファントム”に命を狙われる運命にあるが、マジックアイテムの変身機能を使うことで戦うことが可能。
変身後の姿は人によって様々である。

基本的に大賢者からマジックアイテムをもらって魔法使いになれるのは子供のうち(10代くらい)である。
だが世の中には少数だが大人の魔法使いもいる。
それでもコドモの魔法使いが多い。
なぜならほとんどの魔法使いは、大人になる前にファントムに命を奪われるからだ。

〈ファントム〉
異方からやってくるバケモノ。
理由は不明だが魔法使いの命を奪いにやってくる。
実在する生物っぽい姿から、なんとも言えない異形の姿まで、様々な姿形をしている。
普通の人には見えない。
そのくせして魔法使い達に物理攻撃や精神攻撃などを仕掛けてくる。
魔法使い達にできる唯一の対処法は、マジックアイテムの変身機能を使って戦うことのみである。

たまに大賢者に手を出すことがあるが、チート級に強いので一撃でやられる。

これで用語解説は終了っと…
何か分からないことがあったら、レスで質問してくださいね。

企画「魔法譚」は7月7日21時よりスタート!

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魔法譚 〜用語解説 Ⅱ

企画「魔法譚」の用語解説、Ⅰの続きです。
企画概要はタグ「魔法譚」から。

〈マジックアイテム〉
文字通り、「魔法を使うための道具」。
大賢者が、魔法を扱う素質のあるコドモに「願いを叶えさせるため」に作り与えている。
ただし、マジックアイテムで使える魔法は基本的に1種類、持ち主の願いを叶えることができる魔法のみである。
使える魔法は持ち主の願いによって決まってしまうそう(例:あの人と結ばれたい→魅了魔法)。
基本的に持ち主しか使うことができないので、持ち主以外が使おうとしても魔法は使えない。

ちなみに、マジックアイテムの形は持ち主によって千差万別。
王道っぽいステッキやコンパクトから、ホウキ、スマホ、ガラケー、ペンダントに指輪、リストバンドにナイフまで、何でもありである(でも手のひらに収まるくらいのサイズがいいよね)。

魔法使いを狩る“ファントム”と戦うための「変身」機能もついており、その気になったらいつでも変身できる。
変身後の姿も人によりけり。変身ヒーロー・ヒロイン的な感じから、かなり地味な格好まで、個性が出やすい。
そして変身後は大抵の場合マジックアイテムは武器に姿を変えたりする(そもそも武器の形をしているのでそのまま、マジックアイテムとは別に武器が出てくる、など例外はあるが)。

お一人様1つまで。
もう1つ欲しいなんて言ってもくれはしない。
あと紛失したり壊したりしても、大賢者から新しいマジックアイテムをもらうことはできない。
大賢者曰く、同じ物は二度と作れないから無理、とのこと。

Ⅲに続く。

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無幻の月-契約- 前編

やけに月明かりが強い夜だった。
やはり血というものはいい、生きてる実感が湧く。
とりあえず、「これ」を処理しなくてはな...選定に不備はないはずだが見つかるのは厄介だ...
そんなことを考えていた時だ、大賢者とかいうヤツが現れたのは

「ほう、面白い話だ」
「だからどうだい?朧木 桜(オボロギ サクラ)ちゃん、キミの望みを言ってみなさい?」
はて、私は名前なんて言ったか?それにしても自分の名など久々に聞いたな
「まずは真偽だ...そのファントムというのはどこにいる」
「ありゃ、珍しいねぇそっちを聞くの?まぁいいか、ヤツなら...」
大賢者が指差したのはさっき己の浴びた血の海だった。
「...どこだ」
「そうだった、普通の人には見えないんだった!...それならためしにこれを握りしめてみて」
拳大の石が手渡された。そうしてさっきのところに目線を戻す。
「あれは遊撃手ってところかな?キミが覚醒するのを待っている」
「...なるほど、亡霊(ファントム)というだけのことはある...」
そこにいたのは翼の生えた人型の怪物だった
「ならばいいだろう、お前を信用することにする...して一つ聞きたい」
「なんだい?」
「願いというのは必ず必要なものか?」
「それはどういうことだい?」
「そのままの意味だ」
「全く不思議な子だなぁ君は。確かに私は言ったはずだよ?アイテムはあくまで願いの対価だ」
そういえばそんなことを聞いた気はする...ある種、快感とは恐ろしいものだ。
...まてよ?こいつらなら人間を相手取るより楽しいか?ふむ、試してみる価値はあるな。
「私を戦わせろ」

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魔法譚 〜とりあえず企画概要

突然ですが知ってる人はこんばんは、そして初めての人ははじめまして。
テトモンよ永遠に!改め、“魔法の伝道師”大賢者の代弁者です。
突然ですが企画です。
タイトルは「魔法譚」(読み:まほうたん)
現代の魔法使い達の戦いと日常を皆さんと一緒に描いてもらおうという企画になっています。

世界観は、我々が住むこの世界とほとんど変わらない世界。
文明が発達し、魔法なんて非科学なものの存在がほぼ否定された世界で、“魔法の伝道師”「大賢者」は、魔法を扱う素質を持つコドモ達に願いを叶えるための“マジックアイテム”を与えて回っている。
そして、「大賢者」にマジックアイテムを渡された人々、“魔法使い”は、魔法使いを狩るバケモノ“ファントム”と人知れず戦いながら、日々を過ごしていた…

こんな感じです。
こういう世界観で、いろんな人たちに詩や小説を作って楽しんで欲しい、というのが今回のキモです。

お次は企画の開催期間&参加方法です。
開催期間:7月7日21時〜7月10日24時
参加方法は自分が作った作品に、「魔法譚」のタグをくっつけるだけでOK!

企画は初めてで自信がないって人でも大丈夫です!
自分も企画を作るの初めてだし…
設定もまだまだだし…

とりあえず、今回はここまで!
細かい用語設定はまた今度!

企画「魔法譚」は7月7日21時より開始‼︎

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魔法譚 〜イントロダクション Ⅱ

…まぁいいじゃないか。
人というのは変身願望を持つ生き物だし。
わたしはこういうの好きだよ?
だから変身機能ってものをマジックアイテムに付けたのさ。
あ、でも、マジックアイテムがなかったら変身できないからね?
そもそも、魔法は使えない。
例えマジックアイテムをなくしたり、壊しちゃったりしても、わたしは二度と同じものを作らない、というか作れない。
だからマジックアイテムをまた作って欲しいってわたしに言わないこと。
マジックアイテムをなくしてもファントムは変わらず襲ってくるから、絶対になくさないように。
あと、マジックアイテムを使うには、キミ達の精神の力が必要だ。
説明が難しいんだけど、マジックアイテムを使うってことは、自分の精神を削ることと同義なんだよ。
マジックアイテム自体に使用制限はないけれど、しょっちゅう使ってるとキミ達の精神が削れて、キミ達が壊れちゃうかもしれないんだ。
だからご使用は計画的に。
ま、時間が経てば、精神は回復するっちゃするからね、考えて使うべきだよ。
…どうだい?
キミ、魔法を使ってキミの望みを叶えないかい?
この通り、リスクもある。
でも、たった1つのマジックアイテムで、キミの望みは叶うんだ。
どんなことだってできる。
キミの可能性が、世界が、もっともっと広がるんだ。
…さぁ、どうするかい?
わたしに願いを伝えてくれれば、わたしの魔法でキミにピッタリのマジックアイテムを作ってあげることができる。
もちろん、願いはないとか、ファントムが怖いとか、嘘だ!って思うなら、さっさとこの場を離れても良い。
少し考えさせて…っていうのも、もちろんOK。
何をしてもキミの自由だ。
…さぁ、キミは、何を望む?

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魔法譚 〜イントロダクション Ⅰ

キミ、叶えたい願いはあるかい?
…え、なに? 何が言いたいのかって?
そりゃぁさっき言った通りさ。
叶えたい願い事はあるかいって。
ん? そもそもお前は何者かって?
わたしかい?
わたしはねぇ…そうだねぇ、たくさんの人から、「大賢者」と呼ばれている者さ。
は? 意味が分からないって?
まぁ、大抵の人はそう言うよ。
…わたしはね、一言で言うと、“魔法の伝道師”なのさ。
世界中を飛び回りながら、魔法を扱う素質があるコドモに、願いを叶えるための”マジックアイテム“を授けているんだ。
…そう、“願い”。
どんな願いも、わたしのマジックアイテムの力なら叶えることができる。
ちょっとしたお願い事から、叶いそうにない壮大な夢も。
わたしに任せれば実現することができるのさ。
…え、胡散臭い?
そう聞こえても仕方ないか。
よく言われるんだ、絶対ウラがあるでしょ、リスクがあるでしょって。
もちろん、それはイェスだ。
キミが魔法を使えるようになったとしても、きっと避けられない脅威がある。
…“ファントム”。
異方からやってくる、この世界の魔法が使える人を狩りに来るバケモノだ。
ファントムはみんなとてもとても恐ろしい姿をしていて、魔法が使える人の命を奪いに来る。
じゃあ魔法が使える人達は、ファントムから逃げて回ることしかできないって?
とんでもない!
実はね、マジックアイテムにはファントムと戦うための機能が付いてるんだよ。
使い方は簡単。
マジックアイテムを持って、変身しようと思えば一瞬さ。
ファントムと戦える姿になれて、ついでにマジックアイテムは武器になる。
これでファントムと戦える。
…あ〜、それ思いっきり魔法少女じゃん、プ○キュアじゃんって?
…うん、そうだね。
キミ達が知ってる言葉を使えば、まさにそんな感じだ。
でもこっちは男の子だって変身できるし、子供の頃にマジックアイテムを貰ってれば、大人だってできるよ⁇

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半分

「正午って一日の半分って感じしなくね?」
「なんだよ急に、今授業中だぞ」
「しなくね?」
「いや『しなくね?』じゃねえよ。確かに言いたいことはわかるけどさ。急にどうしたよ」
「今日で今年ちょうど半分過ぎたらしいじゃんか」
「らしいね」
「でもあんまりそんな実感無いじゃんか」
「そうでも無いと思うけど」
「そこは同意しろよ」
「なんでだよ」
「まあとにかく『もう半分?!』って思うわけよ。半分も経った感じしないわけよ。なんでだろうなぁって」
「いや知るかよ。人それぞれだろ」
「そんなん言っちまったらおしまいだろ!」
「うわあ大声出すなよ怒られるだろ」
「そこ、さっきから喋りすぎだ、言いたいことがあるなら前に来い」
「す、すんませーん。ほら怒られた」
「で、これって正午が一日の半分な感じしないのと同じ理由なのではと思うわけよ」
「まるで聞いてねえな。まあいいや。それで?」
「朝、いくら起きるのが早くても学校とか仕事とか、そういうのが始まるのってだいたい8時から9時くらいだろ」
「うん」
「対して夜寝るのは早くても10時、遅いと日付を越したりする」
「つまり実際俺たちが活動してる時間だけで見ると正午はもうちょい前半よりってことか」
「ご明察」
「いや別に大して明察ってねえよ」
「それと同じことが今日という日にも言えるんじゃあないか」
「と言うと」
「俺ら今年の前半、活動してないじゃん?」
「あ―――……。自粛?」
「それ。つまりこの半年間、俺らは半年分の活動ができてないんだ。ゆえに、なんだか短いような気がする。イベントが無さすぎるんだよ」
「まあそれはコービッドくんに言うしか」
「キャラっぽく言うなよ。とまあこう結論づけるわけだ」
「なるほどね」
「ハインフタンアイッヘオン」
「待て待て待て食いながら話すな。てか弁当食うなよ。まだ25分も授業あるぞ」
「アインシュタインが言ってた相対性理論的なあれだよ」
「あー、あれか。素敵な女性の隣に座ってる時はーってやつ。あ、お前後ろ」
「そうそう、それそれ。要するにあっ、俺の弁と……」
「…………」
「…………」
「昼休み職員室に来なさい」



「お、おかえり。どうだった?」
「3時間くらい経った気がする」

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口裂け女

ある日の夕方の事だった。
外出先からの帰り、ちょうど進行方向が西向きだったので、夕日の光を避けるために、地面に目をやりながら歩いていた。
ふと気付くと、目の前の地面に人の影が差していた。どうやら誰かが目の前に立ち止まっているようだ。そして、目を上げてしまった。今思えば、なぜあんな事をしてしまったのだろうか。ほんのちょっとだけ、進路を右か左にずらすだけで、それ以降の出来事を全て回避できたかもしれないのに。
そこには、一人の女性が立っていた。今の季節には合わない、真っ赤なコートを着て、顔の下半分をマスクで覆っている、やけに背の高い女性が。自分も決して背が高い方ではないが、それを鑑みても、185cm以上はあった。
『私、キレイ?』
「ポマ……」
しかし、そこより先を言うことはできなかった。『奴』の隠し持っていた草刈鎌の冷たい刃が、首筋にぴたりと当てられたのだ。
『私、キレイ?』
『奴』が再び訊いてきた。その笑っているようにも怒り狂っているようにも、はたまた泣きそうにも見える不気味で狂気的な目つきは、『普通』だの『まあまあです』だの、そういう中途半端な答えは一切受け付けない、という強い意志を感じさせた。
『私、キレイ?』
『奴』が少しいらいらしたように、再び訊いてきた。先程より首筋に当てられた鎌を持つ手に力が入る。どうやらよく手入れされているらしく、このまますっと刃を引けば、流血沙汰は避けられないだろう。
もはや猶予は無い。
「………答えは『NO』だ」
そう言いながら、『奴』が動き出す前に、持っていた鞄を『奴』の顔面目がけて、思い切り投げつけた。『奴』が咄嗟に空いている左手で顔を覆ったそのタイミングで、首に当てられた鎌の刃を避けて、元来た方向に全力で駆け出した。

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メリーさん3

あれから『奴』の攻撃をぎりぎりで躱しながら、夜の町を素足で逃げ回り続けていた。驚いたことに、『奴』は先程自分が投げ捨てた包丁を拾い、それで斬りかかってくるのだ。
「今、あなたの、後ろに居るの」
その『台詞』を聞くと同時に、転がるように避けてそのまま走る。足裏に感じるじっとりと気持ち悪い湿り気は冷や汗か、はたまたついに出血しだしたか。
しかし、いくら命がかかっていると言っても、体力には限界がある。一度立ち止まり、息を整えながらそこで『奴』を迎え撃つことにした。
「もしもし、私メリーさん。今、あなたの」
タイミングを合わせて自分の後ろに向けて回し蹴りを放つ。
「後ろに居るの」
『奴』は自分に向けて振るわれる蹴りを防ごうと腕を出した。しかし、その腕の出し方が以前とは若干異なるように見えた。
(ま、まずいッ!)
こちらが足を引っ込めてしまった。その直後、『奴』の手がそのままなら確かに『奴』に当たっていたであろう脚を掴むように空を切った。
慌てて距離を取る。
(何故だ……、包丁の攻撃は二撃とも腕を直撃した。逆に言えばそれらは『受けるしかなかった』攻撃なんだ。……まさか!)
今度は右手で殴るふりをして、当たる前にさっと引っ込める。やはり、この攻撃も『奴』は捕らえにきた。今度は道端に落ちていた石ころを投げると、また腕でガードした。
(なるほど。どうやらその攻撃が『人間の』、いや、恐らく『標的の体を直接使ったものの場合』はこちらを積極的に捕らえにくるが、それ以外は防御するだけなのか。避けたりはしないのか。しかし……)
それが分かったところで、今の自分にできることはひたすら逃げることだけである。

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NO MUSIC NO LIFE #1

先日お伝えした通り、新しく一から書き始めます!
あ、変わらずいろんな人物の視点で書きますよ!(基本的には結月視点ですが)それでは本編どうぞ!
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結月視点

「はあ、もう高校生か。意外と早かったな。」
そうつぶやく僕。桜が咲き乱れる学校の前。季節はもう、すっかり春だった。きっと、学校が始まったところで、僕らの日々は大して変わらないのだろう。
そうやってため息をついていれば、後ろから高いかわいらしい声が聞こえてきた。
「おはよう!結月!」
相変わらず元気なその子——中村 時雨に「おはよ。」そう返すと
「えー、なんかテンション低いね。」と返ってきた。お前が元気すぎるんだよ、と思っていればまた後ろから声がした。それから間もなく、体に衝撃が走る。
「結月ー!学校楽しみだね!」と言いながら僕に抱きついてきたのは、涼花ーー高嶺 涼花だった。涼花の言葉に「そうだな。」なんて適当に返事をした。
すると、「結月ちゃん、制服似合ってるよ。かわいい!普段からもっとスカートはいてよー。」と声がした。
この声は蒼汰——夏目 蒼汰だ。僕は言葉を返さなかった。そうしていれば、
「結月ちゃん!?無視!?ねえ、ひどい!返事ぐらいしてよ!」そんな懇願に一言返した。
「うるせえ。」
僕は正直に言えば、女子っぽく振舞うのが苦手だし、好きではない。女子なのに口調も男っぽいし、一人称も僕なので、いじめられることや、気味悪がられることも少なくなかった。こんな僕でも仲良くしてくれる今の友達にはとても感謝している。
「ねえ、塩対応過ぎない!?」
「相変わらず、蒼汰は結月に冷たくされてるね。」と時雨ちゃんが言う。
「本当に可哀想だよね~。あ、結月、学校終わったら一緒にゲーセン行かない?」蒼汰に対して可哀想とか全く思ってないであろう爽やかな笑顔で、
僕をゲーセンに誘ったのは春樹——橘 春樹だった。
「うん、行く。」そう答えると涼花が「私も行くー!!」と言った。
それを聞いた春樹が小さく舌打ちをしてから、「いいよ、涼花ちゃんもおいで。」と爽やかな笑顔で返した。今日なんか、春樹機嫌悪いな。
【続く】

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『愛憎劇の幕、その名はカーテン。』#1

 空いている窓から風が吹き抜ける。カーテンが揺れた。窓の外は快晴、奥に広がるは昼下がりの森林。どこからともなく狼の遠吠えのようなものが、風に運ばれてくるようでさえあった。
 扉を軽く叩く音がする。
「失礼いたします。お茶を持って参りました。少し、休憩なさってはいかがですか」
 メイドである。
「そうしよう」
 ほっと息をつき、応えたのは王。名を、ライオネルという。
 香るは果実、透き通った赤い色が、白い陶器に注がれた。
「今日はローズヒップか」
「はい」
 そう微笑むメイドの手は、心なしか震えて見えた。
 ライオネルは、眉を顰める。
「……具合が悪いのか?給仕などいい。休め」
再びカーテンが揺れた。椅子から立ち上がりかけたライオネルは、これ以上ないというほど、顔を顰めた。
「……お前は何をしている、リアム」
「何って、それはこっちのセリフだよ、おうさま」
 注ぎ終えたカップを持つメイドの手は、完全に震えていた。カップの中に生まれていく波紋が痛々しい。
 リアムと呼ばれた青年は、どこから現れたのかメイドの背後に立ち、メイドの喉元にナイフをあてがっている。
「キミ、何してるの?」
「お、お茶を……」
震えた声で応えるメイドに、リアムは口角を上げた。ぞっとするほど優しい微笑みだった。
「へぇ……苦しみながらそのお茶飲むのと、一瞬で喉かっ裂かれるの、どっちがいい?選ばせてあげるよ」

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緋い魔女 Part 9

彼女の視界に何かがうつり込んだ。
ばさっ、と音を立てて現れた”それ”が、手に持った黒鉄色の大鎌(デスサイズ)を目の前の精霊に振りかざす。
突然の乱入者に驚いた精霊は、振り下ろされた刃が当たる前に姿を消した。
「…」
大鎌を抱えた”それ”は何もいなくなった雪原を見つめて立っていた。
「…お前、」
グレートヒェンはぽつりと呟く。
「…勝手に戻ったんじゃないのね」
”それ”は無言で振り向いた。
「…別に」
”それ”ことナツィは視線を逸らしながら答える。
「ただ…気になっただけ」
「ふーん。何それ」
グレートヒェンは鼻で笑う。
「まぁ良いわ、助けてもらったんだし…にしても」
彼女はナツィが持つ大鎌に目をやった。
「蝶がかたどられた鎌、ね…やっぱり、”黒い蝶”と呼ばれるだけあるわ」
それを聞くと、ナツィの手から大鎌が消えた。
「…なぁに、隠さなくたっていいのよ。お前の武器なのだから…とりあえず、帰るわよ」
もう寒いでしょう、と言って、グレートヒェンは元来た方に向かって歩き出した。
少し経ってから、ナツィは黙って彼女の後を歩き始めた。


「…という訳で件の精霊を見つけられたのだけど」
「…撤退した、と…」
まぁ仕方ないのよ、とグレートヒェンはテーブルの上に紅茶のカップを置きながら言う。
「もう辺りも暗くなり始めていたし、第一こちらもまだ準備が整っていなかった。―下手に抵抗するよりはマシだと思うのだけど」

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キツネ

「…いるなぁ」
今日は近所の神社で縁日。つったって小さな小さな稲荷神社の縁日である。夏祭りの縁日に比べれば、ちっぽけでちゃちい。
それでも休日の暇を潰すのにはピッタリだった。
…ここは田舎で、遊べる場所が少ない。
あってショッピングモールくらい。
だからこういう縁日はちょっとでも遊べる良い機会なのだ。
…だが。
「…面倒なアイツらめ」
面倒な事に、クラスの男子たちの姿が見える。
正直言って、学校の外で関わりたくないメンツだ。
ここは田舎だからな~、みんな行くところは一緒なんだよね…
仕方ない、そう思いながら、わたしは狐の面を被った。

「…よぉ」
あぁ、やっぱりか、と心の中で呟いてわたしは振り向く。
そこには、昔から見慣れた男子の姿があった。
「なぁに、それでお前は化けたつもりなのか?」
彼はいつも通り意地悪気に言う。
「フン、あんたみたいなのにはバレるけど、ほとんどの人間にはバレないのよ」
そう言いながら、わたしは仮面を外す。
それと同時に、彼の目に見えるわたしの姿も陽炎のように揺れて変わったことだろう。
「実質この仮面は、わたしの顔を隠すためじゃなくて、うっかり何も知らない人間に、顔を見られないようにするためなのよ。そのためのカモフラージュ」
これは保険なのよ、とわたしは説明する。
それを聞き、ふ~ん、と彼はうなずいて、にやりと笑った。
「…もしや、自分の”力”に自信がないのか⁇」
「ちょっと! 別にそういうわけではないわ…アンタだって、指定した人間以外には化けが通用しないじゃない!」
そう言い放つと、彼は…面白い、と言うような表情をした。
そしてこう聞いてきた。
「…じゃあ、また勝負でもするか?」
「ええ、するわ」
わたしはいつものように答えた。
どっちがより優れてるか…なんて小学生みたいだけど、自分の力をなめられちゃ困る。
…なら。
「あ、でも、また今度機会がある時ね。今日はもう無理があるし…何より、審判がいないわ」
だからまた別の機会に、そう言ってわたしはにやっとした。
ああ、そうだな、そう応える彼の目は暗緑色だった。

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緋い魔女 Part5

「…ていうか、何で報酬に”俺”を要求した?」
”使い魔”からの質問に、少女はぴた、と足を止める。
「やっぱり有名な魔術師の”最高傑作”だから? それとも…」
「別に、お前なんか欲しくなかったけど?」
想像の斜め上の発言に、…はぁ⁈と”使い魔”は叫んだ。
「大体、私に何か依頼してくる魔術師はねぇ、単純に自分の手元では手に負えない面倒ごとを、今話題の”緋い魔女”に解決してもらおうって考えてるのよ。魔術の世界で”神童”だの”魔女”だのって呼ばれてる魔術師が、自分の元に来るだけで立派な自慢にもなるし」
少女はくるりと振り向く。
「この間も1つ依頼を引き受けたのにまた依頼。しかも今度は面倒くさそうな精霊退治。だから、依頼を引き受ける代わりに報酬で、そこに”置いてあるだけ”になっている使い魔が欲しいって言ったら、依頼のこと考え直してくれるかしらって思っただけなんだけどね」
「でも実際、あの男はお前に退治を依頼したじゃねぇか」
”使い魔”は真顔で言う。
少女は、そうねぇ、と呟いてさらに続けた。
「…でも、少し気になっていたのよ。遠い昔、”孤高の天才”と謳われた魔術師の”最高傑作”がどんなものなのか。だから別に、お試しでも”マスター”やっても良いって思ってたわ」
…ふぅん、と”使い魔”は返す。
「まぁ、お前を報酬にしてもしなくても、あの依頼を受けるならお前を借りるつもりでいたわよ…その逆さ十字の耳飾りを見た時から」
少女はそう言ってにやりと笑った。
”使い魔”は、あのクソ野郎…と腹立たしげにつぶやいた。
その様子を見て少女はクスクスと笑う。
「造った人のことをそんなにひどく言う使い魔なんて初めて見たわ…まぁあんな悪趣味な名前を付けられたらねぇ」
その言葉を聞いた”使い魔”は少女を強めに睨みつけた。

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とっても頭の軽いお話です。

「なんでこんなに散らかっているの!勝手に部屋に入られるのが嫌ならちゃんと掃除してよね!
……なにこれ…30点のテスト⁉どうしたらこんな点数が取れるの⁉どうしてこんなことになった⁉さすがにこれは言わなきゃ……せめて問1は答えようよ……問1.春は[    ]なんて、小学生だってわかるよ……むしろ何が合っていたの…」

「ただいまーおなかすいたー」
「おかえりなさい。おやつの前にそこに座って」
「? 何かした?」
「ベッドの下にあったあれは何ですか」
「んー……?(なんかあったっけ…?あ、昨日もらったラブレターかな。そういえば昨日読んで、広げたまんま寝ちゃったっけ。ベッドの下に落ちてたのかー)あーあれね」
「どうしてあんなことになったの……」
「え……おれがカッコいいからじゃん?」
「すごい開き直り方!!!先生が嫉妬して点数下げたってこと……?そんなことあるの……?」(ぶつぶつ)
「母さん?」
「……そうだとしてもよ…、問1くらいは答えてほしかったな……」
「問1?(1行目ってことか?なんて書いてあったっけ。『めっちゃかっこよくてまじあげぽよ~ってカンジ』……?)ああ、あげぽよ?」
「随分と現代的!むしろ書かなくてよかった!!!」

 問1.春は [ あげぽよ ] 。

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緋い魔女 Part4

「…こちらにございます」
雪に覆われた村外れ。この辺りを治める領主―あの屋敷の主人は、人気のない森の入り口で立ち止まった。
「…どうぞ先へお進みください、わたくしはここで見張っておきますから―何も知らない一般人に、魔術のことなど知られる訳にはいかないので」
そう言って屋敷の主人は少女らを促した。
「…ご案内どうも」
少女はすれ違いざまに屋敷の主人に言った。
”使い魔”もその後に続く。
…暫くの間、少女らは黙って新雪の中を進んでいたが、ある程度進んだ所で少女は立ち止まった。
「…あいつ、逃げたわね」
呟いて、少女は振り返る。
「…まぁ、あれでも貴族なのよね。貴族同士の覇権争いでいつ命を狙われるか分からないのに、ただの精霊に殺されるのは死んでも御免よね」
言い終えた後、少しの間沈黙が下りた。
が、すぐに思い出したように少女は言った。
「…そういえば、お前…名前は?」
”使い魔”はフッと顔を上げた。
「名前を知らなければ、何て呼べば良いのか分からないでしょう?」
少女はにこにこと笑いながら尋ねる。
暫しの間、”使い魔”は黙っていた―が、不意に口を開いた。
「…”ナハツェーラー”」
ふーん、と少女はうなずいた。
「あの魔術師らしいわね。自分が作ったモノに、”吸血鬼”の名前を与えるなんて」
「何か文句?」
間髪入れずにそう訊かれて、少女は笑いながらいいえ、と答えた。
「ただただ、あの人らしいと思っただけよ」
少女はそう言いながら、また歩き出した。