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魔法少女学園都市レピドプテラ:天蟲の弔い合戦 その⑮

ボンビクスが『繭』を生成する前から、ロノミアは既に、結界術を解除していた。しかし、彼女に絡みつく細糸が、操り人形のように彼女の『時間』を動かしていた。
(ん、繭? モリ子の魔法か。)
「……嬉しいねぇ、自分の弟子が成長してくれるってのは」
ササキアの拳を“血籠”の刃で受け止め、ロノミアは呟いた。
「……この程度の魔法、ニファンダ・フスカにかかれば軽く捻り潰せる」
「どうだか」
迫り合う二人に割って入るように、繭の内壁から白糸の帯が放たれた。
「おっ、面白いことやってくれんじゃん!」
ロノミアが跳躍し、糸の帯を蹴ってササキアの背後に回る。ササキアは即座に反応し、身を翻して手刀を打ち込んだ。ロノミアは沈み込むように回避し、反動で跳躍して膝蹴りを打ち込む。ササキアはそれを片手で受け止め、投げで地面に叩きつけようとした。その直前、新たに現れた白糸の帯が、クッションのように受け止める。
「助かったぁ!」
足をばたつかせることでロノミアはササキアの手を逃れ、態勢を立て直す。
(さぁて……困ったことに、私は手を出し尽くした。どうやって押し切ったものか……っつーか、疲れてきたなぁ……)
ロノミアは既に大量に展開されていた白糸の帯を蹴り、空中に逃げる。新たに展開された帯に掴まり、息をつく。
「やーい、ここまで来てみろ生徒会長」
挑発するロノミアを見上げながらも、ササキアはその場を動かない。
(この『繭』が形成されてから、明らかに動きが重くなっている。『絡みつく魔力』に、補正がかかっているのか?)
「……まあ良い」
ササキアが、双子に目を向ける。その瞬間、ロノミアが糸帯の足場から手を放し、落下の勢いを乗せて斬りつけた。ササキアはそれを、籠手を身に着けた片腕で受け止める。
「可愛い弟子の大仕事、邪魔させるわけ無いだろ!」
「問題無い。貴様を倒してから、あの双子も捕える。それで片付く」
2人は再び、至近距離での激しい白兵戦を開始した。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 解説編 3

企画参加作品「魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white-」の解説編その3です。

・マイセリア サイアニリス Myscelia cyaniris
所属:リーリアメティヘンシューラ
学年:高等部2年
固有魔法:周囲の空間に溶け込む
メディウムの魔法:変身、武器(銃器)の生成、身体能力強化
一人称:私
ラパエを狙って襲来したリーリアメティヘンシューラの諜報員。
性格は生真面目で堅苦しく、上からの命令に従順。
サルペとは諜報員仲間だった。
魔法少女姿は青紫色の軍服のような服装。
髪はボブカットである。
通称はサイア。
名前の由来だが、和名がまだついていないような蝶のようだ(一応英語名は『blue wave』とか『blue-banded purplewing 』とのこと)。
ちなみに本編では「サイアニス」と表記していたが、正しくは「サイアニリス」である。

〈学園〉
・櫻女学院 Sakura Jogakuin
レピドプテラに所在する学園の1つ。
いわゆる無名の学園の1つではあるが、それ故に他の学園とのトラブルは少ない。
制服は桜色のセーラーワンピース。

・リーリアメティヘンシューラ Lilie Madchenschle
レピドプテラの有力な学園の1つ。
レピドプテラ内での勢力維持のため、生徒会直属の諜報員が存在し、レピドプテラ内で暗躍している。
制服は黒い軍服のようなもの。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 解説編 2

企画参加作品「魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white-」の解説編その2です。

・ポリゴニア シーアウレウム Polygonia c-aureum
所属:櫻女学院
学年:高等部1年
固有魔法:周囲の空間に溶け込む
メディウムの魔法:変身、武器(鉄扇)の生成
一人称:あたい
騒がしくてざっくばらんな魔法少女。
グッタータ、ピレタとともに都市伝説同好会に所属している。
レピドプテラに来たばかりのグッタータに優しくするなど親切な一面もある。
魔法少女姿は山吹色のキャミソールにバルーンパンツ。
髪をサイドテールにしている。
通称はシーア。
名前の由来はキタテハ。

・パルナラ グッタータ Parnara guttata
所属:櫻女学院
学年:中等部1年
固有魔法:高速移動
メディウムの魔法:変身
一人称:わたし
気弱で不器用な魔法少女。
シーア、ピレタとともに都市伝説同好会に所属している。
櫻女学院に来たばかりのころにシーアと出会い、以降慕っている。
魔法少女姿は緑と黄土色の和服のような衣装。
髪は黄土色である。
通称はぐっちゃん。
名前の由来はイチモンジセセリ。

・チタリアス ピレタ Citaerias pireta
所属:櫻女学院
学年:高等部2年
固有魔法:透明化
メディウムの魔法:変身、身体能力強化
一人称:私
真面目で現実主義者の魔法少女。
シーア、グッタータとともに都市伝説同好会に所属しているが、櫻女学院の生徒会長でもある。
魔法少女姿は赤いロリィタ服。
髪を三つ編みお下げにしている。
名前の由来はベニスカシジャノメ。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 解説編 1

企画参加作品「魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white-」の解説編その1です。

・ピエリス ラパエ Pieris rapae
所属:櫻女学院
学年:中等部2年
固有魔法:分身
メディウムの魔法:なし(持っていない)
一人称:あたし
当エピソードの主人公。
明るくて夢見がちな、櫻女学院の転入生。
元々は外の世界の“テロ組織”のようなところで魔法を利用されていたが、組織が国際警察によって壊滅させられた際に保護され、レピドプテラにやってきた。
過酷な環境に身を置いていたが“いつか魔法少女学園都市に行ける“と信じてレピドプテラに憧れを抱き続けてきた。
しかしその強力な固有魔法を持つが故にレピドプテラの勢力均衡を乱しかねないと判断され、レピドプテラの有力な学園”リーリアメティヘンシューラ“の諜報員・マイセリア サイアニスに襲撃されることになる。
髪を二つ結びにしている。
名前の由来はモンシロチョウ。

・グラフィウム サルペドン Graphium sarpedon
所属:櫻女学院
学年:高等部2年
固有魔法:見えないものを見る
メディウムの魔法:変身、飛行、身体能力強化、武器(刀)の生成
一人称:ボク
スポーティな印象を受ける落ち着いた魔法少女。
ラパエと同じ日に櫻女学院へ転入してきた。
以前はレピドプテラの有力な学園・リーリアメティヘンシューラの諜報員としてレピドプテラ内で暗躍していたが、リーリアのやり方に不満を持って学園を離れた。
マイセリア サイアニスはリーリアメティヘンシューラ時代の仲間。
魔法少女姿は黒と水色のサイバーパンク風ファッション。
普段は制服の上に黒いパーカーを羽織っており、髪をポニーテールにしている。
通称はサルペ。
名前の由来はアオスジアゲハ。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 16

こうして、リーリアメティヘンシューラのマイセリア サイアニス率いる魔法少女たちによる、櫻女学院襲撃は失敗に終わった。
生徒会長のピレタがレピドプテラ総務局に連絡したことで現場には総務局の局員が駆けつけ、サイアたちは連行されていったのである。
そうやって、櫻女学院に平穏が戻った。
「……あのサイアって人、このあとどうなるんでしょ?」
去り行く総務局の関係者を校舎の玄関から見送りつつ、ラパエはふと呟く。それに対し制服姿に戻ったピレタは「ま、良くも悪くも大事にはならないでしょうね」と返す。
「レピドプテラではかなり有力な学園の魔法少女だから、学園側が総務局に圧力をかけて、あの子たちもすぐに普段通りの生活を送れるようになると思うわ」
ピレタが呟くと、ラパエはなんか複雑ですねとこぼす。それに対し制服姿のサルペは仕方ないよと苦笑する。
「このレピドプテラにおいて総務局はそんなに強い存在じゃないから」
正直総務局よりも強い学園なんていくつもあるしね、とサルペは伸びをする。ラパエはへーと答えた。
「まぁまぁ、そんなことは置いといて……もうそろ帰ろうぜ」
日も暮れちゃうし、と制服姿に戻ったシーアはラパエの顔を覗き込む。制服姿のグッタータもそうですねと頷く。
「じゃー、もう帰ろっか」
みんな、とサルペはラパエたちを見やって笑う。ピレタはそうねと返し、シーアはおうよ、グッタータははい、と言う。そしてラパエは「帰りましょ、サルペ先輩」と微笑んだ。
そして5人は櫻女学院の校舎をあとにした。

〈おわり〉

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 14

「こんな子ども騙し、私には通じない!」
そう声を上げながらサイアは“ラパエ”たちが消失したことでがら空きになった場所を走り抜ける。それを見たサルペは「させない!」とサイアに飛びかかろうとするが、サルペの目の前でサイアの姿は見えなくなった。
「まさか、固有魔法‼︎」
サルペはそう叫ぶ。“周囲の空間に溶け込む”魔法を固有魔法とするサイアは姿を見せないまま校舎内に突入し、玄関を見回す。すると、柱の陰に座り込む二つ結びの少女が見えた。
サイアはそのままその少女……ラパエに近付こうとするが、不意に「シーア!」とサルペの声が後方から飛んでくる。その次の瞬間、サイアは誰かに横から体当たりされ、地面に倒される。
「⁈」
驚きの余り魔法を解除してしまったサイアの目の前には、山吹色のキャミソールとバルーンパンツを身に纏った、サイドテールの魔法少女が姿を現した。武器である鉄扇を突きつけているその少女……シーアに気付いた時、サイアは自身が罠にはめられたことに気付いた。
「そんな、無名の学園生ごときに!」
サイアはそう言ってマシンガンを構えようとするが、手に持っているマシンガンが突然飛んできた何者かに奪われる。混乱するサイアが飛んできた人物が着地した方を見やると、マシンガンを持った黄土色の髪で黄土色と緑の和服のような衣装を身に纏った少女……グッタータがサイアの方を振り向いていた。
「……これでキミたちの負けだね」
不意にそんな言葉をかけられて、サイアは玄関の扉の方を見る。ちょうど校舎の外からサルペが入ってきている所だった。
「キミが連れてきた魔法少女たちはみんなラパエの分身が無力化したし、キミもその状況じゃ動けない」
「もう、諦めた方が……」とサルペは言いかけるが、サイアはそうかと呟く。サルペは言葉を止める。
「これで私を無力化できたと思っているのか」
サイアの言葉に、サルペはまさかと目を見開く。その次の瞬間サイアは右手にマシンガンを生成し、サルペに突きつけようとした。
しかし彼女の腕は突然誰かに押さえつけられたように上がらなくなる。
「⁈」
サイアが困惑したように自らの腕を見ると、透明な手が自身の腕を掴んでいることに気付いた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 13

一方、サルペを櫻女学院の校舎内まで吹っ飛ばしたサイアや彼女に従う魔法少女たちは、校舎の目の前で武器を構えてサルペたちを待っていた。学園の入り口付近で違う学園同士の魔法少女が戦うことはまだしも、武力をもって櫻女学院の校舎に入ればそれこそ学園間の大問題になるため、サイアたちは下手に動けず暫く様子を見ていたのだ。しかし校舎内でサルペたちは話し込んでいる様子であるため、そろそろ校舎内に立ち入ることもサイアは考えていた。
「そろそろ、頃合いか」
早くしないと我が学園の生徒会長に怒られかねないからな、とサイアは校舎外壁に掲げられた時計を見やる。
「それに、あの魔法少女は早く捕縛せねばなるまい」
なにせあのまま放置すれば有力な学園同士での勢力均衡に影響が出かねん、とサイアは校舎の玄関口に目を向けた。
いつの間にか、サルペたちは玄関の柱の陰に隠れている。それを確認したサイアは周囲に従えた少女たちに対し声を上げた。
「総員に告ぐ!」
「これより……」とサイアが言いかけた時、不意に「サイア‼︎」という声が校舎の玄関から聞こえた。サイアが声のする方を見ると、そこにはサルペとラパエが玄関口から外に出てきていた。
それを見てサイアは驚く。
「どうした、気でも変わったか」
それに対しサルペは「まぁ、そんな所だよ」と返す。
「キミたちに、ピエリス ラパエを引き渡そう」
「……ただし」とサルペは続ける。
「“本物”を見分けられたらだけどね‼︎」
サルペがそう言った途端、周囲の地面に突き刺さった状態で水色の刀が何本も現れる。その直後、玄関の中から大勢の“ラパエ”が現れ、地面に刺さった刀を手に取ってサイアたちの方へ駆け出していった。
「まさか‼︎」
サイアは思わずそう叫ぶ。サイアに従う少女たちは一斉に銃器を構えるが、どの“ラパエ”が本物か分からず引き金を引くことができない。その隙に“ラパエ”たちはサルペの生成した刀で少女たちの銃器を弾き飛ばしていき、あっという間にサイアが従える少女たちの陣形は崩れていった。
しかしサイアはすぐに冷静さを取り戻し、マシンガンで“ラパエ”たちを撃ち抜いていく。“ラパエ”たちは魔力弾を喰らうとすぐに消えていった。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 12

「……それが、ボクの信条だから」
そして彼女は再度刀を構えた。
ラパエは暫く黙っていたが、やがて「……先輩」と呟く。その言葉にサルペが振り向くと、ラパエはお願いがありますとサルペの目を見た。
「あたしも、先輩と一緒に戦いたいです」
ラパエがそう言うと、サルペは「えっ」と驚く。
「でもキミはここに来たばかりでまだメディウムを持ってないじゃないか」
「どうするっていうんだい?」とサルペは尋ねる。するとラパエは「先輩って、刀を作る魔法を使えるんですよね?」と続ける。それに「まぁ、メディウムの効果で使えるんだけど」とサルペが答えると、ラパエは「じゃあそれをいっぱい作ってください!」と言った。
「あとはあたしがなんとかするんで!」
ラパエがそう明るく言うと、少しの沈黙ののちサルペは分かったと頷いた。
「あと、シーア先輩とぐっちゃんも、一緒に戦って欲しいです!」
さらにラパエがシーアとグッタータに目を向けて言うと、グッタータこそ驚いたもののシーアは「お、おうよ!」とサムズアップをしてみせた。
「とにかく皆さん、行きましょう!」
あたしたちの平穏を守るために!とラパエがいうと、サルペはうんと大きく頷いた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 11

「キミたちはボクが守るんだ」
「でもあたしに原因があるみたいですから!」
「だから先輩はもういいんです!」とラパエはサルペの手を握る。
「あたしが、あの人たちの元へ行けばいいんです」
「それはダメだ!」
ラパエの言葉に、サルペは語気を強める。ラパエ、シーア、グッタータは驚いて目を見開く。
「サイアたち……リーリアメティヘンシューラっていう学園は、このレピドプテラで他の有力な学園と覇権争いをしているような学園だ」
サルペは自らの左手を握るラパエの手に右手を重ねる。
「あの学園は、自分たちの邪魔をしかねない存在は徹底して叩き潰そうとするから、きっとなんらかの理由でキミが自分たちの邪魔になると思って襲撃してきたんだと思う」
でも、とサルペは続ける。
「ボクはそんなリーリアが許せない」
自分たちの邪魔になると思ったら、平気で相手を叩き潰しにかかるような学園だからねとサルペは呟く。
「そういう所があるから、ボクはあの学園で諜報員だったけどそれを抜けて、レピドプテラの闇と関わりの薄いような櫻女学院にやって来たんだ」
でも、とサルペは続ける。
「ボクやその周りの人の平穏を壊そうとする人がいるのなら、例え相手が魔法少女であってもボクは立ち向かう!」
そう言ってサルペはよろよろと立ち上がる。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 10

「有力な学園同士だと小競り合いがあるってことは聞いたことあるけど、うちみたいに大した力もない無名の学園が急に襲われるなんて聞いたことないよ……」
グッタータは不安げに身を震わせた。
一方ラパエは困惑しているような顔をしている。それに気付いたシーアは、大丈夫かラパエと声をかけた。
「あ、ごめんなさい」
多分あたしのせいでこんなことになっちゃったんですよね……とラパエは俯く。シーアは「アンタは悪くないよ」と肩に手を置くが、ラパエは違うんですと首を横に振る。
「あたし、実はここに来る前は外の世界のテロ組織みたいな所で、大人たちのいいように使われてたんです」
あたしの魔法は人を傷つけるのに向いているから、それで目をつけられてずっと……とラパエは続ける。シーアとグッタータは何も言えないまま話を聞いていた。
「だけど、魔法が使える女の子はみんな“魔法少女学園都市”っていう魔法少女の街に行けるって聞いてたから、いつかそこに行けると信じて生きてきたんです」
それでひと月前、組織が国際警察に壊滅させられた時にあたしは保護されて、それでここへやって来たんですよ、とラパエは言う。
「あたし、レピドプテラに憧れてたから、とっても素敵な楽園みたいな所だと思ってたけど、ここでもあたしのせいで人が傷ついて……」
どうしてこんなことに……とラパエは声を震わせる。その様子を見てシーアとグッタータはかける言葉を見つけられなかった。
「ぐっ!」
ラパエたちが黙り込んでいると、不意に玄関口にサルペが転がり込んでくる。それを見てラパエは、サルペ先輩!と思わず駆け寄る。シーアとグッタータも駆け寄ってきた。
サルペはみんな……と呟きながら立ち上がろうとするが、魔力弾でつけられた脚の傷が痛んで思うように立ち上がれない。ラパエは「先輩無理しないで!」と声をかけるが、サルペはいいやと拒否する。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 9

「フン、逃げるつもりか……撃てぇ‼︎」
サイアがそう声を上げると、彼女が従えている少女たちは一斉に銃器のトリガーを引く。サルペは咄嗟に展開している光壁を横方向に広げ、攻撃の飛んでこない上方向へ飛び上がった。光壁は少女たちが撃った光る弾丸を弾き飛ばす。
空中に飛び上がったサルペは右手に持つ水色の刀と同じ刀を周囲に生成し、地上にいる少女たちに向けて放つ。刀はそのまま少女たちが持つ武器目がけて飛んでいき、銃器を弾き飛ばす。しかしそれを避け切った少女もおり、そういった少女たちは塀から飛び降りて銃口をサルペに向けた。
サルペはそれに気付くと、飛行魔法を使って地上のサイア目がけて飛んでいく。サルペは飛びながら刀を構え、サイアも自身が持つマシンガンを向けてトリガーを引く。しかしサルペはサイアが放つ魔力弾を易々と避け、サイアの懐に入ろうとする。
だがサイアはサルペが自身まで3メートルほどの所まで近付いた時に魔力でできたバリアを展開する。サルペはバリアに弾かれ、小さくうめき声を上げてその場に転がった。
「……やっぱり、そう来るよねぇ」
サルペは立ち上がりながらそう呟く。当たり前だ、とサイアは答えた。
「私とお前は何年同じ学園にいたと思っている」
お前の作戦くらい簡単に分かる、とサイアはサルペにマシンガンを向ける。サルペは咄嗟に空中に飛び上がってそれを避けるが、すぐにサイアは銃口を空に向けて飛び回るサルペを追いかける。サイアが従える少女たちも各々の持つ銃器を空中のサルペに向けた。
「これは……だいぶマズくね⁇」
校門の前から校舎内に退避したシーアは、建物の柱の陰から外の様子を見て思わずこぼす。それに対し、グッタータもうん……と頷く。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 8

「我々はかつて同じ学園の仲間だったじゃないか」
恩を仇で返すとでも?とサイアはサルペに尋ねる。サルペは「……そうだね」と目を逸らす。
「ボクたちはかつて仲間だった」
だけど、とサルペは右手に青い刀身の刀を生成する。
「今のボクはキミたちと同じ諜報員ではない」
だからキミに従う理由はないよ、とサルペはサイアを睨む。
「……それに」
サルペは続ける。
「ボクの友達たちに武器を向ける人の言うことなんて、聞けるわけがないじゃん」
その言葉に驚いてラパエはサルペの方を見る。その視線に気付いたサルペはラパエを見てにこりと笑い、またサイアの方を見た。
「と、いう訳で、マイセリア サイアニス」
キミやその仲間たちにはお引き取り願いたいんだけど、とサルペは笑いかけた。
それを聞いて、サイアは「……そうか」と呟く。
「それなら我々は実力を行使するしかないな」
そう言うと、誰もいなかった学園の敷地を囲む塀の上に黒い軍服のような制服姿で、銃器を構えた少女たちが一斉に現れた。その光景を見たラパエ、シーア、グッタータは思わず身構えるが、サルペはそうかいと答える。
「キミたちが本気を出すというのなら、ボクもそうするしかないね」
そう言うと、サルペは背後にいるラパエたちに目を向けた。
「3人とも、危ないからどこかに隠れてて」
今からちょっと手荒なことをするから、とサルペは言う。それを聞いたラパエたちは頷いて校舎内へ戻り始めた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 7

「えっ、なに⁈」
真っ白な煙の中、ラパエは慌てて周囲を見回す。グッタータとシーアもなにが起きたのか分からず立ちすくむが、サルペだけは冷静に首のペンダントについた水色で六角柱の宝石のようなアイテム……メディウムを握りしめる。その次の瞬間、煙の外から光る弾丸が飛んでくると共にサルペの周囲から光が放たれた。
「⁈」
光が止んでからラパエ、グッタータ、シーアの3人は恐る恐る顔を上げる。彼女らの目の前では黒と水色のサイバーパンク風ファッションに身を包んだサルペが手を前に出して光の壁を展開していた。
そして彼女の数メートル前方の校門の前には、青紫の軍服のような服装に身を包むボブカットの少女がマシンガンを携えて立っていた。
「久しぶりだね」
サイア、とサルペは相手を睨みつける。サイアと呼ばれた少女はああ、そうだなと淡々と答える。
「まさかお前がこんな所にいるとは思わなかったが」
我々の邪魔か?とサイアは尋ねる。サルペは「いや、ボクはなにも知らないね」と返す。
「あの学園を去ったボクにとって、キミたち諜報員の動向は最早無関係だよ」
サルペはそう続けるが、サイアはそうかと呟く。
「……なら、そのバリアを解除してほしい」
我々はそこのピエリス ラパエに用があるんだ、とサイアはラパエに目をやる。ラパエは驚いて目を見開いた。
「あ、あたし……?」
なんで……⁇とラパエは困惑する。その言葉に驚いてグッタータとシーアもラパエに目を向けた。
「理由は今ここで言えないが、ピエリスさんには我々についてきてもらいたいのだ」
だから頼むとサイアはサルペの目を見る。暫くの間その場に沈黙が降りたが、やがてサルペが口を開く。
「……残念ながら、ボクにはそれができない」
その言葉を聞いてサイアはなぜ?と聞き返す。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 6

「えーどうして〜?」
シーアが口を尖らせると、ピレタはどうしてってと腕を組む。
「ポリゴニアさんはよくやらかすからよ」
「そ〜う〜?」
シーアは笑いながら首を傾げる。ピレタは呆れたようにため息をついた。
「…とにかく、私はここで留守番してるわ」
やることあるし、とピレタは組んでいる腕を解いた。
それを見てシーアはつまんないの、と呟くが、すぐにサルペとラパエに向き直り「…じゃ、行こうか!」とイスから勢いよく立ち上がる。ラパエも行きましょ〜とイスから立ち、サルペも黄土色の髪の少女も立ち上がって荷物をまとめると、教室から去っていった。

そんなこんなで、ラパエとサルペはピレタ以外の都市伝説同好会の面々と広い校舎内から外へ向かった。
この学園に前々から所属しているシーアと黄土色の髪の少女は複雑な校舎の構造がしっかり頭に入っているらしく、あっという間にラパエとサルペは校舎を抜けて校門の手前まで辿り着いた。
「へー、“グッタータ”だからぐっちゃんなんだ〜」
「はい、その方が呼びやすいとシーア先輩が言ってくれたので」
ラパエの言葉に黄土色の髪の少女は答える。
「先輩はこんな気弱でできないことの方が多いわたしに最初からすっごく優しくしてくれたんです」
だから先輩と同じ同好会に入ったんです、とグッタータは恥ずかしげに言う。それを聞いてシーアは「照れるよぐっちゃ〜ん」と頭を掻いた。
「あたいは困ってる奴を放っとけないだけなんだよー」
ピレタみたいに冷たくないんだし、とシーアは笑う。
…とここでサルペが不意に足を止めた。
「あれ、どうしたんですサルペ先輩」
ラパエが気になって尋ねると、サルペは「……ねぇ」と周囲の少女たちに話しかける。
「あそこ、何かいる」
サルペは学園の敷地を囲む柵の上を指さす。
しかしそこに目を向けるラパエたちには何も見えない。
「なにも……見えないですよ」
「そうですね」
ラパエとグッタータはそれぞれそう答える。シーアも「なにが見えるんだ?」とサルペの方を向いた。
サルペは「いや、それは……」と口ごもるが、その瞬間缶のようなものが投げ込まれる音がした。4人がハッと音のした方を見た瞬間、辺りに煙が立ち込め始めた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 5

「……なるほど」
アンタたちは転入生で、それで校舎の中で迷子になってたんだねとサイドテールの少女は教室のイスに座りつつ腕を組む。「うん、そうなの」とサイドテールの少女が座るイスの、目の前の席に座るラパエは頷く。
それを聞いてサイドテールの少女は「まーそうだよね〜」と笑う。
「この学園は生徒数の割に敷地が広くて校舎デカいから初見は迷子になりやすいんだよ〜」
あたいも初めてここに来た頃はよく迷子になったし、とサイドテールの少女は頷く。
「ぐっちゃんなんか迷子になり過ぎて泣いてたもんな」
「ちょ、ちょっとシーア先輩〜」
わたし1回しか泣いてないですよーと、サイドテールの少女の隣に座るぐっちゃんと呼ばれた黄土色の髪の少女は恥ずかしそうにする。それに対しシーアと呼ばれたサイドテールの少女は「泣いたこと認めてるじゃん」と笑う。
「……まぁとにかく、グラフィウムさんとピエリスさんは仲良く迷子してる内にこの都市伝説同好会の溜まり場に辿り着いてしまった、と」
話を切り替えるように、少女たちの近くに立つ三つ編みお下げの少女は腕を組んだ。その言葉にシーアは「おいおいピレタ、言葉に棘があるぞぅ」と三つ編みお下げの少女をからかう。ピレタと呼ばれた三つ編みお下げの少女は「そのつもりはありませんよポリゴニアさん」とシーアから目を逸らした。
「……まぁともかく、ボクたちはこの校舎内で迷子になっちゃったんだ」
という訳でここから出るためにキミたちの力を借りたいんだけど、いいかな?とサルペは笑いかける。
それに対しシーアは「いいよ〜」と威勢よく答えた。
「あたいたち暇してたし」
ね、ぐっちゃん?とシーアが黄土色の髪の少女に目をやると、彼女はあ、うんと頷く。しかし不意に私は行かないわとピレタは冷たく答えた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 4

「いや、そこの教室に誰かいるみたいでさ」
気になるんだよね、とサルペは教室の窓を睨む。ラパエは「えっ」と驚く。
「そこの教室に誰かいるんですか?」
全然分かんないけど……とラパエは教室の方を見ながら目をこする。
サルペは足音を殺してそっと教室の扉に近付くと、勢いよく扉を開けた。
「わぁっ‼︎」
サルペが開いた扉の向こうからは、3人の少女が転がり出てきた。サルペは軽い身のこなしでそれを避ける。
「ぐえー、ぐっちゃん重い〜」
「そ、そんなこと言わないでくださいよシーア先輩〜」
「あぁもう、アンタたちねぇ……」
廊下の床に倒れる3人を見ながらサルペは微笑み、ラパエはポカンとする。3人の少女たちは暫くうだうだ話していたが、その内の黄土色の髪の少女はが顔を上げてラパエとサルペに気付くと「ひぇっ」と声を上げた。黄土色の髪の少女の下敷きになっていたサイドテールの少女は不思議そうに顔を上げ、そのそばで手と膝をついていた三つ編みお下げの少女は顔を上げてラパエとサルペに気付くと顔をしかめた。
「あなた……」
三つ編みお下げの少女がそう呟くと、サルペは「よっ」と手を小さく上げるとこう尋ねた。
「ちょっとキミたちに訊きたいことがあるんだけどさ」
「いいかな?」とサルペは笑いかける。3人の少女は顔を見合わせた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 3

「……キミも迷子?」
ポニーテールの少女の言葉に、ラパエはついずっこける。
「き、キミ“も”?」
ラパエが聞き返すと、ポニーテールの少女はうんと頷く。
「だってボクも迷子だし」
「えええ⁈」
そう、なんですか……?とラパエが近付くと、ポニーテールの少女は苦笑いする。
「実はボク、今日からこの学園に所属することになってさ、まだ校舎の構造が頭に入ってないんだよね」
「だから迷子に……」とポニーテールの少女は言いかけるが、ラパエは「えっ、あなたも転入生なんですか⁈」と驚く。ポニーテールの少女はあぁ、うん……と答える。
「もしかしてキミも転入生なの?」
「はい! 中等部2年1組のピエリス ラパエですっ‼︎」
ポニーテールの少女の質問に、ラパエは姿勢を正して明るく答える。その様子を見てポニーテールの少女はそんなにかしこまらなくていいよと笑ったが、ラパエは「いえ! 先輩相手に失礼なので‼︎」と背筋を伸ばしたままだ。それを見てポニーテールの少女はふふと微笑む。
「……ボクはグラフィウム サルペドン、高等部2年3組だ」
ボクのことはサルぺと呼んでとポニーテールの少女が言うと、ラパエは「じゃーサルぺ先輩!」と声をかけた。
「一緒にこの校舎から脱出しましょう!」
ラパエは元気よくサルペの両手を取る。サルペはあぁ、そうだねと言ってちらと真横にある教室の扉に目をやった。それに気付いたラパエは「……どうしたんです?」と首を傾げた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 2

午後3時半、今日の授業が終わって多くの生徒たちが教室を去る頃。
櫻女学院の中等部2年1組の教室もまた、今日の授業を終えた生徒たちが去ってがらんとしている。そんな中、髪を二つ結びした少女・ラパエはリュックサックを背負って教室をあとにした。
「“学園”ってこんな感じなんだ〜」
「広いし綺麗だし、すごーい」と独り言を言いながら、ラパエは校舎の階段を下り、下の階の廊下を歩いていく。
「きっと素敵な魔法少女がいっぱいいて、賑やかな環境なんだろうな〜」
ラパエはそうスキップしながら進むが、不意に立ち止まり辺りを見回した。
「…あれっ?」
「ここ、どこ…?」とラパエは不安げな顔をする。自分は校舎の玄関に向かっていたはずなのに、今は同じような教室がいくつも並ぶ廊下に立っている。1階まで下りたはずなのに、別のフロアで下りてしまったのだろうか。
ラパエはここがどこか分かる手がかりはないかと辺りを見回す。しかし壁に貼ってある掲示物や教室の入り口に下がっている教室名が書かれた看板を見ても、ここが何階なのかは分からなかった。
「わたし、迷子になっちゃったのかな…?」
ラパエは不安そうに俯くが、ここで不意に背後から「おや?」と誰かの声が聞こえてきた。ラパエが振り向くと、そこには黒いパーカーを羽織り髪をポニーテールにした、スポーティーな印象で高校生くらいの少女が立っていた。
救世主が現れた、と言わんばかりにラパエの顔は明るくなる。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 1

よく晴れた春の朝。
白い外壁が特徴的な校舎の学園・櫻女学院の中等部2年1組の教室では、転入生の紹介が行われている。教室の前には桜色のセーラーワンピースの制服を着て、髪を二つ結びにした少女が担任の教師の隣に立っていた。
「えー、今日からうちのクラスで勉強することになったピエリス ラパエさんだ」
みんな仲良くするようにと言ってから、女教師は少女に目くばせして自己紹介するよう促す。少女は「ピエリス ラパエです!」と明るく名乗り、こう続けた。
「あたし、ずっと魔法少女学園都市に憧れてたので、ここに来れてすっごく嬉しいんです‼︎」
「だからよろしくお願いします!」とラパエはおじぎをする。それを見てクラスの生徒たちはどよめいた。
というのも、この櫻女学院がある人工島・レピドプテラは“魔法少女学園都市”とも呼ばれるように、世界各地から“魔法”と呼ばれる一種の特殊能力を発現させた少女たちが集められ、魔法を失うまで隔離される場所なのだ。魔法を失うまで、一度レピドプテラに隔離された魔法少女はまず出ることはできないため、大抵の人間にとってはあまりいいイメージのある場所ではないし、ここにいる魔法少女の多くは自ら望んでここに来た訳ではない。
しかしこのラパエという少女は“魔法少女学園都市に憧れていた”と言うのである。自らの意思でレピドプテラに来た訳ではない多くの魔法少女たちにとって、違和感でしかない発言だった。
「はいはい、騒ぐのはあとにして」
教師は手を叩き、「ピエリス、あなたの席は窓際の1番後ろだからな」とラパエに声をかける。ラパエははーいと返事をして言われた座席に向かった。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ⑥

「ちょっとした、興味って奴?」
そう言って師郎はにやりと笑ってみせた。
その様子を師郎の左隣から不思議そうに黎が覗き込み、前を歩くネクロマンサーとコマイヌは立ち止まってこちらを見ている。
わたしは思わずポカンとしてしまうが、師郎は上着のポケットから濃いピンク色のキーホルダーを取り出した。
「ま、あの少年はコレ置いてってるし」
届けてやらにゃいかんだろ、と師郎はそれを眺めつつこぼした。
わたしは何も言えずその様子を見ていたが、やがて師郎が行くぞと言って歩き出す。
ネクロマンサー、コマイヌ、黎も前を向いて歩き出し、わたしもそれに続く。
暫く歩いて、わたし達は人気のない階段へと向かった。
そしてわたし達は階段を下っていった。
階段はほんのり薄暗く、人は誰もいなかったのでわたし達の足音だけが響いていた。
…と、わたし達の前を歩いているネクロマンサーとコマイヌが1階と2階の間の踊り場で立ち止まる。
わたし達の目の前の踊り場には、先程師郎とぶつかった少年が壁に背中を預けた状態でうずくまっていた。
「…」
少年はわたし達の気配に気付いたのか顔を上げるが、わたし達の姿を見とめた途端にひっと震え上がった。

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魔法少女学園都市レピドプテラ 〈企画要項〉(再掲)

どうも、テトモンよ永遠に!です。
3月も折り返し地点に達しましたので、現在開催中の企画のリマインドです。
「何それ気になる!」って方はタグ「魔法少女学園都市レピドプテラ」かテトモンよ永遠に!のマイページから企画設定などを探してみてください。
では以下要項の再掲。

だいぶ前の予告通り、企画です。
タイトルは「魔法少女学園都市レピドプテラ」。
“魔法”と呼ばれる特殊能力を持つ少女たち“魔法少女”が集まる学園都市“レピドプテラ”で巻き起こる物語を皆さんに描いて頂く企画です。
開催期間は3/3(月)〜3/31(月)まで(遅刻投稿大歓迎)で、ルールはこの後投稿する設定と公序良俗を守った上でタグ「魔法少女学園都市レピドプテラ」を付けていただければあとはなんでもOKです!
作品形式・分量・数は問いません。
自由に設定に沿った作品を作って投稿し合うだけの企画ですので、よかったら気軽にご参加ください。

ちなみに企画者はまだ参加作品を完成させておりません(笑)
見切り発車で投稿し始めてもうまくいかない気がするので最後まで書き切ってから投稿しようと思ってるのですが…企画期間内に最後まで投稿できるかどうか。
ちなみに今回以降も企画を開催する予定はあるのですが、正直最近の参加者数を鑑みると期間を設けずにやった方がいい気がしてきたのでこの形での企画開催は最後になるかもしれません。
なので「期間を設けた形がいい!」って方はぜひ参加してみましょう(一文だけのポエムでも構いませんので)。
という訳で皆さんのご参加待ってまーす。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.キリン ①

寿々谷市中心部のショッピングモールには”イベントスペース”がある。
建物1階の真ん中、いわゆる吹き抜けの真下に、広々としたスペースがあるのだ。
ここでは年末にお歳暮、夏にお中元と色々な催事が行われることが多い。
常に何がしかのイベントが行われているのがイベントスペースだが、基本的にわたしたちのよなコドモにとって興味のあるイベントが行われることは中々なかった。
しかし、今日ばかりは違ったのである。
「”ZIRCONフリーライブ”か」
ショッピングモールのイベントスペース近くの柱に貼られたポスターを見ながら師郎は呟く。
「今日の3時からここのイベントスペースで開催だってさ」
赤いウィンドブレーカーを着た耀平はそう言って頭の後ろに手を回す。
紺色のパーカーを着てフードを目深に被った黎は静かにうなずいた。
しかしネロは何の話かよく分からないように目をぱちくりさせる。
「ねぇ、”じるこん”って何?」
ボクよく分かんないんだけど、とネロは耀平の上着の裾を引っ張る。
耀平はえ、知らない?と驚く。
「最近話題のご当地アイドルって奴だぞ」
寿々谷を拠点に活動してるっていうさ、と耀平は言う。
しかしネロはよく分からないのかポカンとしている。

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魔法少女学園都市レピドプテラ:天蟲の弔い合戦 キャラクター紹介

ロノミア・オブリクァ
Lonomia obliqua(ベネズエラヤママユガ)
年齢:19  身長:168㎝
固有魔法:「刀」の生成
メディウムの魔法:変身、結界術、身体強化、壁や天井への接地
説明:もうすぐ20歳になる魔法少女。自分の魔法の消失を予感しており、最後に何かド派手にバカやりたいと思っている。双子からの渾名は「くぁちゃん」。

ボンビクス・モリ
Bombyx mori(カイコガ)
年齢:12  身長:140㎝
固有魔法:糸による拘束
メディウムの魔法:変身、耐熱性強化、耐寒性強化、固有魔法強化
説明:アンテレアとは双子。こっちがお姉ちゃん。本名は華燦(カサン)。妹と一緒に悪い大人(くぁちゃん)に捕まり、今日も元気に悪さしています。くぁちゃんからの渾名は「モリ子」。

アンテレア・ヤママイ
Antheraea yamamai(ヤママユガ)
年齢:12  身長:140㎝
固有魔法:結界の展開
メディウムの魔法:変身、耐熱性強化、耐寒性強化、固有魔法強化
説明:ボンビクスとは双子。こっちが妹。本名は纏燦(テンサン)。姉貴と一緒に悪い大人(くぁちゃん)に捕まり、どんどん悪いことを覚えていっています。くぁちゃんからの渾名は「ヤマ子」。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 連載再開3周年&連載開始6周年記念! 作者からのごあいさつ

どうも、テトモンよ永遠に!です。
この度、「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」は連載再開3周年&連載開始6周年を迎えましたーっ‼︎
いやーこれもひとえにスタンプをくれる生徒の皆さんや掲示板に載せてくれるKGBさんのお陰でもあります。
いつもありがとうございます。
…それでは、近況報告を少し。

「ハブ ア ウィル」は書き溜めが尽きた結果去年の秋くらいから投稿が止まっていますが、今年の春休みに入ってから日々ちまちまと新しいエピソードを書いています。
その結果2エピソード分書くことができましたので、この調子で書いていけば今年の内に最後まで書き切れるんじゃないかって気もします。
…本当に終わりが見えてきたのでちょっと寂しい気もしますね。
まぁまだ書きたい番外編・過去編がいくらかあるので、学生を卒業するまでは暫くこの物語と付き合い続けるかもしれません(笑)
よかったらお付き合いください。

という訳で、今回はこれくらいにして。
作者や「ハブ ア ウィル」に対して何か質問などあったらレスからお願いしまーす。
あと来週から最新エピソード「23.」を投稿予定です、お楽しみに。
では次は「25個目のエピソード記念! 作者からのごあいさつ」でお会いしましょう!
では、テトモンよ永遠に!でした〜!

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仔鬼造物茶会 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
毎度お馴染み「造物茶会シリーズ」のあとがきです。
どうぞお付き合いください。

今回のエピソードは、きーちゃんの過去話でした。
初期の頃から構想していたエピソードの1つで、色々情報を詰め込もうとした結果だいぶ長い話になってしまいましたね。
しかもこの話を語るために長い番外編(過去話)を書いていたので、総合するとだいぶ長々としたものになってしまいました。
これが原因で一旦投稿休止せざるを得なくなった節もありますし、これからはもっと書き溜めねばと思います。
でもここからのエピソードはだいぶ話が長くなる予定なので、難しいところです。

そういう訳で、今回はここまで。
「造物茶会シリーズ」第10弾もお楽しみに。
…ていうか、造物茶会シリーズももう10エピソード目に突入するんか。
第1弾からもう3年たつもんな〜…それくらい書くものか。
せっかくだから何か記念エピソードでも作りたいですね(余裕があればね)。
あと「ハブ ア ウィル」も投稿開始から今日で6年経ちますね。
そっちも記念エピソードを投稿したいなぁ…

てなことで、テトモンよ永遠に!でした〜
来週からは「ハブ ア ウィル」新エピソードを投稿するし、企画「魔法少女学園都市レピドプテラ」もよろしくね〜!

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魔法少女学園都市レピドプテラ 〈設定〉その3

・学園 Academy
“レピドプテラ”に暮らす“魔法少女”が通う教育機関。
“魔法少女”は基本的に10代の少女たちであり、“魔法”を失えば“レピドプテラ”の外へ戻ることができるため、故郷に戻った時に生活で困らないよう設立された。
“レピドプテラ”の外の企業や機関によって設立されており、それぞれが特色ある教育を行なっている。
基本6・3・3制(しかし初等教育の前半部に当たる“魔法少女”はほとんどいない)で、1学期は9月始まり(世界的に見ればそっちの方がメジャーだもんね)。
“学園”ごとに“学区”が存在しており、ある“学園”に通う者はその“学園”の“学区”内に住んでいないといけない。
ある“学園”所属の“魔法少女”が他の“学園”の“学区”に出入りすることは自由だが、仲の悪い“学園”同士だとトラブルに発展しかねないので注意が必要。
一部の“学園”は“レピドプテラ”内で“レピドプテラ総務局”をしのぐ程の勢力を持つ。

・レピドプテラ総務局 General affair office of Lepidoptera
“レピドプテラ”の政治や治安維持、“魔法少女”の管理などを担う機関。
“レピドプテラ”の中心街にある。
トップは市長でその下に市議会がある。

・ヒオドシ本舗 Hiodoshi Store
“レピドプテラ”内で有名な雑貨店。
“レピドプテラ”の中心街にあり、この街の“魔法少女”の必須アイテム“メディウム”の受注販売を行なっていることで有名。
店主は大人になっても“魔法”が使える人間・ニンファリス クサントメラスである。

これにて〈設定〉は以上になります。
何か分からないことがあればレスからお願いします。

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魔法少女学園都市レピドプテラ 〈設定〉その2

・魔法少女 Magical Girl
“魔法”を持つ少女たちのこと。
基本“魔法”を1人1種類持っているが、“レピドプテラ”で暮らすほとんどの“魔法少女”は“メディウム”と呼ばれるアイテムを媒介に変身などの“魔法”を行使したりもできる。
“レピドプテラ総務局”の管理のために“レピドプテラ”の中では「蝶の学名」が魔法少女名として与えられ、“レピドプテラ”内では本名ではなく魔法少女名の方を名乗る。
この世界では“魔法少女”によって世界情勢の不安定化を防ぐため、“魔法”を発現させた少女はその国のしかるべき機関によって否応なく“レピドプテラ”へ連れていかれる。
しかし国や地域によってはその情勢が故に“レピドプテラ”への連行がうまくいかないことがあり、それが原因で悪い組織などに利用されることも少なくない。
最近では20代になっても“魔法”を失わない者が出現し始めており、そういった者たちは大人になっても“レピドプテラ”に留まることになっている。
また、“魔法”を失っても“レピドプテラ”に留まる元“魔法少女”も一定数いる。

・メディウム Medium
“レピドプテラ”に暮らす“魔法少女”のほとんどが持っているアイテム。
高さ5cmほどの六角柱状の宝石っぽい形をしており、お好みでキーホルダーにしたりアクセサリーにしたりできる。
“魔法少女”が固有の“魔法”以外の“魔法”を行使する際に必要で、“レピドプテラ”内で有名な雑貨屋“ヒオドシ本舗”で注文することで作ってもらえる。
使える“魔法”の種類・数は“ヒオドシ本舗”の店主との相談で決めることができるが、高度な“魔法”を使えるようにしたり、使える“魔法”の数を多めにしようとしたりすると制作コストがかかって料金も上がってしまうので、使用“魔法”の種類は比較的高度でないもの、数は多くても5つくらいに留めるのが無難、とされる。
使い方は使い手の半径3m圏内に“メディウム”がある状態で念じるだけ。
とりあえず大抵の“魔法少女”は“魔法少女”姿に変身できるようにするのが定番で、その場合変身すると“メディウム”は衣装の一部になる。
壊れたり紛失したりしても持ち主しか使えないし何か問題が発生する訳ではない。
製法は企業秘密。

〈設定〉その3に続く。

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魔法少女学園都市レピドプテラ 〈設定〉その1

この書き込みは企画「魔法少女学園都市レピドプテラ」の〈設定〉書き込みその1です。
それでは以下設定。

・レピドプテラ Lepidoptera
魔法少女学園都市とも呼ばれる、“魔法少女”たちが暮らす人工島。
太平洋某所にあり、国連の管理下にある。
様々な“学園”が存在しているが、それぞれ共存していたり覇権争いをしていたりする。
また、“魔法少女”たちが暮らす“学園”の寮やアパート、シェアハウスも存在している。
都市の中心部には“レピドプテラ総務局”と呼ばれる、都市の政治や治安維持を担う機関がある。
正直すごく広い訳ではないので背の高い建物がだいぶ乱立している。
主な交通網は路面電車と路線バス。
もちろん“魔法少女”たちの生活を支えるために世界各地から人々が集まっており、そういった人々が営業するお店や施設が数多く並んでいる。

・魔法 Magic
この世界で一部の少女が発現する特殊能力的なもの。
種類は様々で、物理法則に干渉するものや精神に干渉するもの、使い道がよく分からないものが存在する。
10代前半から中盤にかけて発現し、これを持つ少女は“魔法少女”と呼ばれる。
基本1人1種類しか使うことができないが、“レピドプテラ”内で入手できるアイテム“メディウム”を媒介にすることで変身や身体能力強化などの“魔法”を行使できる。
10代後半から20代前半にかけて失うことが多い。
その正体はハッキリしていないが、持ち主の精神から強い影響を受けるものであることは分かっている。

〈設定〉その2に続く。